「宇田川源流」 新宿東口の凋落が激しい中で地方の町おこしはいまだに「都会化」を狙っているという時代錯誤
「宇田川源流」 新宿東口の凋落が激しい中で地方の町おこしはいまだに「都会化」を狙っているという時代錯誤
新宿の三越跡地に、家電量販店のビックカメラと、ファストファッション店ユニクロが郷戸で店を出して「ビックロ」として騒がれたのは、10年前の2012年9月の事である。家電とファッションという者が手を組んで一つの店舗の同居するということは、かなり異例の事であり、なかなか話題になったものだ。もちろん本人たちは「音楽もファッション」と異様な感覚を持っているのであり、基本的に双方ともに「生活を豊かにする」というようなコンセプトが共通しているということであったのだから、別段不思議なことではなかったと思う人もいたかもしれない。しかし、当時の「縦割り」といっては失礼かもしれないが、ある意味のカテゴリー毎の単体出店ということが普通になっていた人々にとっては、なかなか大きな内容になってくるのではないか。
しかし、そのビックロからユニクロが撤退するという。6月19日にユニクロが閉店しビックカメラはそのアマ営業を継続するというのである。なかなか興味深い話であるが、ここに何があったのか。
はっきり言って、ユニクロは銀座などに単体の出店を行っているばかりで反買う、全国に店舗展開をしていて、別段経営が悪化しているわけではない。つまり、「新宿東口」という今までで言えば「一等地」において、ユニクロの顧客の集客が見込めなくなったということに他ならないのである。つまり「ユニクロの顧客が新宿の元三越のあった場所に来なくなった」ということなのである。
このように考えれば、「新宿に何があったのか」ということになる。
これと似たようなことは以前にもあった。そもそも「新宿」や「六本木」が一等地になり、「銀座」が凋落したバブル時代から1990年代にかけて、やはり銀座は様々な問題があったと思う。その時と今の新宿はどのような問題があるのであろうか。
ビックロ閉店が意味する「新宿駅東口の凋落」…ユニクロ撤退の理由はインバウンド激減だけじゃなかった
2012年9月にオープンした「ビックロ ユニクロ新宿東口店」(以下ビックロ)。家電量販店とファストファッションのブランドが異例のタッグを組んだことで大いに話題を呼んだが、10年で力尽き、6月19日に閉店することになった。
ユニクロが同店から撤退し、ビックカメラはそのまま営業を続けるという。ランドマークのひとつとなっていたビックロが閉店する理由について、マーケティングライターの牛窪恵さんに話を聞いた。
「ビックロは、もともと新宿三越アルコット店が入っていた場所で、そこにビックカメラが入り、ユニクロがその一部を転借する形で入りました。
ビックカメラにとっては、賃料の負担が軽減されるうえ、女性を中心とした新規顧客の開拓につながることから、大きなメリットがあったと考えられます。ユニクロにしても、家電を買いに来た外国人観光客だけでなく、男性やシニア層を改めて顧客に取り込むことを想定していたはずです。
そうしたなか、やはりコロナ禍が大きな影響を与えたのは間違いありません。人々があまり出歩かなくなり、それによってネットショッピングがさらに普及しました。
ファーストリテイリングは、アパレル界で国内ナンバーワンの売上高を誇ります。ただ、今年の上半期は閉店した店舗の方が多いんですね。スクラップアンドビルドというか、ファーストリテイリングの柳井正社長はそういった取捨選択を果敢に見極める方だと思います。
ただでさえECサイトをかなり強化しているユニクロですから、新宿の大型店とはいえ、人の流れが減った実店舗はバッサリ切るということでしょう」
もうひとつ、新宿固有の理由もあるという。
「実は、新宿駅周辺の人の流れが大きく変化しているんです。
『ビックロ』のあった東口は、これまで伊勢丹が大きな吸引力を持っていたんですが、若い世代への訴求は明らかに落ちています。私が取材していても、駅を出て新宿三丁目のあたりまで歩くのが面倒だ、なんて言う人も多いんです。
一方、西口はいま再開発に入っていて、小田急が9月末に閉店したあと、駅の機能を取り込んだ大規模な再編がおこなわれます。今後、さらに人が集まるでしょうから、ユニクロも大型店舗でブランドをアピールする可能性はあるでしょう」(牛窪さん)
その大型店舗も、イメージするようなものとは違う可能性があるという。
「ユニクロは駅ナカにもかなり出店していますが、原宿店などは、リアルとバーチャルを融合させた店舗になっています。『オムニチャネル』を多分に意識していて、ディスプレイ上で旬の着こなしを見たり、自分の服とのコーディネイト例を表示して購入することができます。
今後、実店舗とネットショッピングが融合していくなかで、企業も両者をどう使い分けていくかがポイントになってくるでしょう」(同)
街の景色は、目まぐるしく移り変わっていく――。
2022年5月29日 11時0分 Smart FLASH
https://news.livedoor.com/article/detail/22242089/
記事にの書いてあるが、基本的には「店舗型」と「ECサイト型」ということで、十店舗型の方が徐々に亡くなってきつつある。ユニクロのような「実際に見てみないとわからない」というような商品ではない場合、または、家電製品のように「店員に説明を聞かないと不安」というような商品ではない商品の場合、ECサイトで十分であるということになる。
さて「店舗」と「サイト」では何か異なるのであろうか。実際に売り上げに関しては、それなりの集客ができるという意味ではあまり変わりがない。もちろん、市場がサイトを見る人ということで、その母数が異なるということはあるが、しかしそれは他の商品でも同じであるということにほかならず、そのことでユニクロだけが効率的ということではない。実際にアマゾンなどを見ていると「人件費」「装飾品」という経費がしあ提言でよくなるということになる。アマゾンの倉庫などをテレビで見れbわかるとおりに、すべてがオートメーション化しており、その中で人間が最低限の仕事をしているということになるのであるが、その内容は、「経費の削減」であって、「売り上げが多くなる」という話ではない。
逆になぜ今でも地方のスーパーマーケットはそのまま残っているのかということになれば、それは「商材が見てみないと信用できない(生鮮三品などは自分の目で確かめてから購入したい)」ということや、「『ついで需要』で他の買い物をする」ということがある。例えばネットで必要食材を買った場合は、夕飯のおかずしか買わないかもしれないが、子供と一緒にスーパーに買い物に行けばどうしてもお菓子やアイスクリームを買ってしまうということになるし、また、生鮮商品の良さによって急にメニューを変える場合もあるからだ。そのように考えると、実はECサイトビズネスにも限界が生じるということになるのではないか。
このようにビジネス形態によって様々な違いが見えてくる場合、ユニクロはECサイトビジネスに適した商材をしており、店舗型商品は主力ではないということになる。店舗型ビジネス(商品説明型ビジネス)のビックカメラと同居して、その商材の特性の違いから顧客を広げるということが、逆に「うまく融合しない」ということになってしまった。
それがトップの都会である新宿でも同じで、その特性を見ないで都市化しても新宿であっても集客ができなくなるということになる。
さて、以前より地方都市の町おこしなどを行っているが、いまだに地方都市の人々は「地方都市に都会を持ち込むことでの町おこし」を考える人が少なくない。はっきり言って時代遅れもよいところで、ここ10年でもこれだけ変わっているのに、何を見ているのかといいたくなるのである。
上記にはそのようなことが気づかれないように「新宿特有の事情」のようなことを書いているが、実際にはそのようなものではなく「商材ごとに有利な買い物をしている賢い消費者が増えた」ということに尽きるのではないか。それは、「都市型町おこしをしてもそこに集客できない可能性がある」ということを意味しており、同時に「年を作らなくても便利な街をつくることが可能である」ということを意味しているのである。そのようなトレンドをいち早く見つけ出すことが必要なのではないか。