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「屍人荘の殺人」を読んで

2018.01.04 03:13

こんばんは、三輪 忍です。

正月休みの最中、どうしても読み切りたかった本「屍人荘の殺人」。ミステリー界に衝撃が走った、本格ミステリーの針が動いたなど、様々な謳い文句を受けて、「一体何が始まるんです?」と興味津々でした。そして、無事に読了いたしましたので、その感想をネタバレなしで書いていこうと思います。


率直な感想ですが、「綺麗にすべてがやさしく纏まっている」と思いました。


思えば、深層心理で重く、ひたすら重く、救いようのない漆黒の闇を求めていたのかもしれません。

そう書くとよく分からないので、ラーメンで例えますと、「超こってりラーメンが欲しい!これでなければラーメンではない!」とまで思い至っていたような感じです。

そこに颯爽と現れた今作は、あっさり塩ラーメン。シンプルに上品でそれでいて余韻にキレがある……。私の凝り固まったブイヨンをさらりと解き流してくれたような、「これも同じ、一杯のラーメンなんだよ」と、清涼感のある気持ちにさせてくれました。(この例えで伝わるのかしら)


とにかく、「月光ゲーム」のような青春を感じさせる、人生は思ったより「-うまくいかないものだな」という感じです。読み終わった後の濁りがなく、間違いなく良作と言って過言ではないでしょう。

一読の価値は絶対にあります!ミステリーを読んだことがないというのなら尚更です。


とまぁ、私が本作を薦めたところで「よし、三輪忍が言うなら読んでみよう」とはならないと思いますので、ここからは私事を書いていきます。


私は大学時代心理学を専攻していました。人間の様々な感情形態を解き明かそうと努力していました。が、煩悩だけでも108あると言われる人間です。そのすべてなどとてもとても……と、途中で一つの感情に絞ることにしました。それは「恐怖」です。怖いという感情はどこからくるのか……死こそが恐怖の源なのか……。私が研究材料として取り上げたのが、「ホラー映画」でした。なので、古今東西ありとあらゆるホラー映画は観てきたつもりです。

それもあってか、今作で明示された知識の多くに同調することができました。もっと言いますと「こんなクローズドサークル今までなかった!」という意見を見るたび「いやいや、何年も前からありましたよ!」とツッコミたくなります。ただ、確かに「本格ミステリー」という様式ではありませんでした。パニックの中、事件があったところで主人公が犯人を殺せば解決!という、海外ホラーでした。この着眼点を変えて昇華させたことは、一重に素晴らしいの一言です。


「がっこうぐらし!」や「~オブ・ザ・デッド」が流行りだして数年、下地が完成したタイミングと噛み合ったというタイミングもあったのでしょう。それでもそこに目を向けられたのは才能以外にないと思います。


私は自分に才能があると思って活動していませんが、「youtubeに投稿し続けられるなんて天才か」と言われることがあります。そう言われるたび、心苦しいと言いますか、「たまたま誰もいなかっただけ」だと感じます。むしろ、こんなネットの海の端っこに気づいた皆様が素晴らしく、私は何が正解か分からずもがき苦しんでいる最中です。



それでも、いつか、私も今作の著者のように、ミステリーに何か刻印を残せるよう頑張ります。今作を通して、そのエネルギーは十分にもらえましたので。


なので、何か発表したときには、どうぞ、ご贔屓に。


三輪 忍