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旅のチカラ、旅のカケラ

1000ピースのジグソーパズル

2008.09.06 11:20


シリアで一番期待してる場所「パルミラ」。

ここは腰を据えて見学したいので、宿も2泊とった。

しかもツインをひとり占めで。



午前5時、ケータイの目覚ましが鳴り響く。

もぞもぞと起き上がり、出かける準備をした。

リンゴを齧りながら徒歩15分、パルミラ遺跡を目指した。

外はまだ薄暗く、風も涼しい。

砂漠のど真ん中をひとり歩いていく。


パルミラの遺跡群は、砂漠のオアシスに忽然と姿を現した。


パルミラは2世紀に栄華を博したシルクロードの隊商都市で、

かつての交易で栄えた夢の跡。

夜明けとともにそのシルエットに色がつき、

黄土色の温かみのある列柱や神殿跡が美しく輝いた。

まるで、あの頃のように。


遺跡を歩くときは、ガイドブックは使わないことにしている。

あらかじめどんな場所か、見所はどこかなどを簡単に頭に入れておき、

現地に着いたら思いのままに散策したい。

だって、本を見ながら歩いていたら、

いつまでたっても今の時間しか感じられないもの。

ここに神殿があって、じゃあここはメインストリートかぁ。

こんなところに劇場があったんだ!? ん、この建物はなんだろう?

当時を情景に思いを馳せながら、悠久の時間をトリップしたい。


パルミラは期待以上の遺跡だった。

早朝に訪れたことで、ほとんど観光客の姿はないし、

砂塵に吹かれながら、気ままに歩き回ることができた。

観光地には付き物のしつこい客引きも、まだ布団の中だし、

客引きといえば、彼らはみな共通して同じ論法を使う。

例えばこうだ。


―10ドルでどうだい?

「いや、いらない」

―5ドルでいいから?

「いいえ、結構です」

―ハウマッチ?

「だから、いらないんだって」

―おいおい、いったいいくらなら買うんだ?(ちょっと怒りながら)

「値段の問題じゃなくて、必要ないの」

―じゃあ、3ドルでいいよ!(手渡してくる)

「おたく、話聞いてます?」

―おいおい、3ドルだぜ?君の言い値はいくらなんだい?

以後、無限ループがつづく…(汗)


争点のすり替えというか、

まったく観点がズレているというか。

つくづく疲れるひとコマなのである。

顧客対象は日本人のみ。顔が似てる韓国人はというと、

彼らは怒るから苦手らしい…(客引き談)


さて、話をパルミラに戻そう。

これだけ立派(←妙な表現…)な遺跡にも関わらず、

入場料は一部を除いて無料とは、シリアも太っ腹である。

日差しが強くなる午前9時前には、ホテルへと戻ってきた。


日本では寺や仏閣が好きだったし、

この旅では遺跡が一番楽しい。

それらは現在社会とは対照的な位置に存在していて

そのギャップ、違和感が気持ちいい。

過去の産物でありながら今なお輝き続けている永劫。

宗教も、世界史も、ほとんど知識を持ち合わせていないが、

目に見える以上に、頭で考える以上に、

そこにある“パワー”を感じられればいいと思う。


うまく説明できないけど、

ジグソーパズルのピースがはまるように、

ピタっ!と来るんだよねぇ。


今日の夕方にもう一度。

明日の朝にももう一度。

その不思議なパワーを感じに行ってきます♪


こうやって毎日違う風に吹かれ、

疲れた身体で夜よりも深く眠る。

新しい光、新しい風、新しい自分。

たとえこの瞬間が過去になっても、

未来永劫輝いていたいものだ。