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中村鏡とクック25cm望遠鏡

中村要とR.スコフィールドの往復書簡(1)

2022.06.04 04:34

R.スコフィールド氏(Richard Schofield)


 R.スコフィールド氏(1890?-1940)は、中村 要氏(1904-1932)と火星観測を通じて親交がありました。

 「わが国で惑星を真に本格的に観測した最初の人は中村 要氏である。彼は中学を卒業すると山本一清博士をたよって京都大学天文台の志願助手になった人であるが、1920年から火星を猛烈な勢いで観測して数々の立派な成果をあげた。木星も熱心に観測している。1922年には神戸に住んでいたイギリス人スコフィールド(Richard Schofield)が中村氏と協同観測を開始し、24年には二人してW.H.ピッカリング教授の火星観測者連盟に加入して、国際的にも大いに気を吐いた。中村氏は1931年まで火星を熱心に観測したが、1932年9月24日、28才5か月の若さで突然亡くなったのは極めて悲しむべきことであった。彼はまた反射鏡やレンズの研磨法を独力で研究し、誰でも天体望遠鏡を持てる時代への突破口を開いた人である。彼の技術は木辺成麿氏に受けつがれ、それからさらに多くの人々に伝えられて、現在のアマチュア天文学の隆盛のもとになったのである。」(引用:惑星ガイドブック1より)

 以前、冨田良雄先生(元京都大学宇宙物理学教室)に、「中村要とR.スコフィールドの往復書簡」(第7回天文台アーカイブプロジェクト報告会集録 (2016), 7: 23-73)を教えていただきました。その時からずっと、火星観測に情熱を注いだ二人の奇跡のような3年間の交流を、どうしても多くの方々にお伝えしたいと思うようになりました。

 今回、冨田先生から、二人の書簡のやりとりを、日本語訳(原文は英語)で公開することを快くお許しいただきました。

 (神戸市にあった、スコフィールドの自宅の観測所)

 (カルバー8インチ反射鏡と同架されたアーウィング鏡)

 日本の火星観測の二人のパイオニアの心の触れ合いに、ご一緒に寄り添っていただけましたら幸いです。

 このような貴重な機会を与えていただきました冨田先生に、心より感謝いたします。

(出典)

惑星ガイドブック1,月惑星研究会編,誠文堂新光社,1981

冨田良雄. 暗号コードと火星 --R.スコフィールドの見た夢--. 第6回天文台アーカイブプロジェクト報告会集録 2016, 6: 32-38