学園ギャルゲー考察
この前、
金色ラブリッチェ
というギャルゲーをクリアしました。
このゲームね……、良かったです。
前半は青春学園コメディといった感じで笑いながら読めましたし、後半は伏線を回収しつつ少年少女たちが未来に向かって進んでいくのがとても良くて……。
最終シナリオでは涙がポロポロと。
で、今回はそんな金色ラブリッチェの感想……
ではなく、
金色ラブリッチェを通して、学園ギャルゲーの問題点と、それをどう解決していくかについて考察していきたいと思います。
もちろん作者の人はそんなこと考えてないよ、と私自身も思うので本当に単なる自己解釈です。あしからず。
【金色ラブリッチェについて】
金色ラブリッチェについて軽く触れておくと、
ひょんなことからノーブル学園という超上流階級が通う学校に転校してきた主人公が、異国の王女様やエリートたちと和気藹々イチャイチャする、
というお話です。
ゲーム性はほぼ皆無。シナリオに魅力を全振りしてる作品になります。
【①学園という要素】
最初からハッキリ言います。
ギャルゲーってたいてい学校を舞台にしてるのですが……
正直学校要素を活かし切れてる作品は少ないです。
そもそも学校が舞台になるのは、
違和感なく複数人の男女が共同生活を送れる場所
が必要なだけであって、それ以外が求められることはほぼありません。
まあ制服のかわいさとかはありますが笑。
だからまあ……違和感なく男女が同じ場所にいる空間が他にあるなら別に学校じゃなくてもいいんです。学校が馴染み深く、説明も要らず、手っ取り早いだけで。
そもそも学校って授業が大半な為、物語を作りづらいというのもあります。
そこで金色ラブリッチェは、この問題をどうしてるかというと……
学校要素をできる限り削っています。
まず劇中でのシナリオの割合が半分近く、
冬休みに充てられてます。
後半はずっと冬休み。
主人公とヒロインが出会う為には同じ学校に通う必要がありますが、それ以降はふたりの関係を詰めるだけなので、極論で言えば学校は不要になります。
更に舞台となっているノーブル学園では、エキスパートコースという特別なカリキュラムを採用しており……
通常の授業は午前中のみ、午後はそれぞれがやりたいことをやる、
といったものになってます。
金色ラブリッチェは将来の夢をテーマにしてる部分もあり、それをより象徴的にする為の要素です。
陸上選手を目指してるなら陸上を、フェンシング選手を目指してるならフェンシングを、といった具合です。
より将来の夢に焦点を当てやすくなっています。
もちろんエキスパートコースじゃなくて普通の部活動でも将来の夢に焦点を当てることはできますが……。
シナリオの割合的に「部活動>授業」の形になるのなら、いっそのこと授業の時間も部活動に割いてしまった方が書きやすいですし、物語も進めやすいです。
このように作品内にある要素を100%活かしきる必要はないのです。むしろ削ってしまった方が、より物語のテーマを前面に出せることもあります。
活かしても面白くなるとは限らないですしね……。
【②ネタ被り】
シナリオ重視、複数ヒロイン、ヒロイン同士に深い関係がある。
これらがあると起きること、それは
ネタ被り。
そう、ネタが被る。
物語上の秘密がAヒロインルートで明かされます。しかし明かされた秘密をBヒロインルートでも公開しなければなりません。
その際にBヒロインルートで長々と隠されても、プレイヤーからしたら既に分かってる問題なのですから興醒めです。だからといって早々に公開するようにしてはダメです。なにしろプレイヤーがAルートかBルート、どっちを先に選ぶか分かりませんから。
金色ラブリッチェではどうしてるか。
それは秘密の分散化です。
メインヒロインルートでだいたいの秘密が明かされます。ただしその秘密は浅くしか明かされません。
他のヒロインのルートで、その秘密が深く公開されるのです。
なので、多少のネタ被りは避けられないとしても、知ってるから面白くなくなるという展開は避けられます。
更に秘密をいくつも作っておくことで、他のルートではまったく触れない秘密も生まれます。
特に独特の構成をしてたのが、上記の画像の妃玲奈ルートです。
ギャルゲーと言えば主人公がヒロインの抱える問題を解決して仲良くなっていくのが定番ですが……
このルートではヒロインはなにも問題を抱えておらず、主人公の悩みをヒロインが解決する
というまったく逆の形になっています。
ちなみに主人公の悩みというのは作品内の中核も担っています。他のルートでもちょいちょい公開されます。
ですが、深く掘り下げるのはこのルートのみ。
例え最後にこのルートを攻略しても十二分に楽しむことができるでしょう。
【③出番の少ないヒロイン】
ヒロインの出番には多寡があります。コレに関しては今作も解決してません。ひとりだけシナリオが短いヒロインがいます。
(自分が買ったのは全年齢版なので、もしかしたらR18版ではシナリオの長さは同じぐらいなのかも)
一番右にいるヒロインが一番出番が少ないです。
このヒロイン、共通ルートでは
上流階級学園に馴染めない主人公が馴染めるようになるキッカケを与える
重要なキャラなのですが、逆に言うと役割はそれだけだったり……。
他のヒロイン同士はクラスメイトだったり幼馴染だったり家族同然だったりと色々と繋がりがあるのに対して、このヒロインの繋がりはひとつだけ。
当然他のヒロインルートでも会話がなく出番が少なくなっていきます。
ヒロインの出番の多寡は商業作品でも難しいものですね……。
と批評も含めつつ、学園ギャルゲーについて考察していったのですが、自分ならどうするか。
それを考えてみるのも面白いかもしれません。