Short Design-1989-33-11-22-2022-
From 33years before, Since22years ago, We together only 11years
見覚えのある首筋、体の傾き。私を巻き込むその佇まい。
時間を動かしたかったと言った。
時間を動かして、正当性を作りたかったのだと。
バカな子だとは思っていたし、そのバカなところがたまらなく好きだったのに、いつの間にかあなたは大人になっていた。物事を真剣に捉え、恋をできるほどに大人になっていた。優しさと愛が顕在化して一瞬私は誰だかわからなかった。
会えない時間が確実にふたりを成長させた気がした。
ビールを飲めるようになっていたし、タバコを吸う姿も様になっていた。
私がどうして急に思い立って髪を脱色したがったか理由をつけるなら、最後に出会ったあの日の記憶が私の人生を巻き戻したんだろうと思う。ちょうど私たちの運命が交代したあの瞬間に。
金髪でランドクルーザーに乗っているあなたはずっとずっと大人に見えた。会えない時間が私たちに決定的な差を産んでしまったとショックだった。
We can't stop clock, but We can back to time in our memories.
ふたりの思い出は33年前の春に遡る。一緒にいられた時間はたった11年間。22年間に空白がある。
当たり前のことはない。春になってもクラス替えさえなかった小さな小学校と中学校で私たちは11年間を過ごした。厳密に言えば保育園からずっとずっと一緒だった。毎日学校に行けばあなたがいた。
世紀末だったように思う。99年、ミレニアム直前に私はひとり自室で考えた。
「ああ、もうすぐ離れてしまう。当たり前に会える環境が奪われる。ずっといたいのに、、」
ミレニアムは私たちの分離点になった。2001年、それぞれの高校に進学して通信は途絶えた。
10年片思いしていた。彼はまわりの男の子たちに昨日文句を言っていた「俺は10年彼女に隷属されてるんだ。まわりの男たちは贅沢すぎる、むしろ我儘だ」。
私たちは互いに痛みを与え合ったのかもしれない。そうじゃなきゃ私の気持ちが治らないから。
怒りは悪くない。いいものが生まれる。使い方さえ間違わなければ。
ねえ、私が愛しい?私を抱きたい?
挑発する視線を私は覚えた、大人になったから。
化粧もうまくなった、可愛いことも言えるようになった、あなたを翻弄することもできるようになった。
たったひとつだけお礼が言いたい。
誰でもなくて私を選んでくれてありがとう。ふるさとよりも、家族よりも、友達よりも私だけを選んでくれてありがとう。
あなたが決めたスタート地点には意味がある。わかってる。きっと私への恋を自覚したあの年だったんだ。
偶然の再会はもちろん教会だった。そこに間違いはない。たったひとつ勘違いしていたのは、あなたが私の想像を超えて恥ずかしがり屋だったということ。
約束は守られた。
「ねえ、あたし結婚できないと思う」
「俺もたぶんできない」
「嘘だね!モテるじゃん、すぐるさん」
「モテないよ!」
「ふん、知ってるんだから。すでに3人はすぐるさんのこと好きってあたし知ってるし、、、」
「、、、」
「どちらにせよ、あたしたちお先真っ暗だね」
そう言って笑った、99年の冬。教室の喧騒の中私たちは頬を赤らめたんだっけ?それは暖房のせいだったんだっけか、、、
もう忘れてしまった。でもそれでいいんだと思う。
私たちは無事に約束を果たしあったんだから。
ねえ、すぐるさん?お先真っ暗な人生って予言はその通りだったね。でも、その先には私がいて、あなたがいたね。
お誕生日おめでとう!
この22年間欠かさず言い続けていたこと、あなたはまだ知らないかな?蠍座とB'zとお笑いと、ちょっとしたゲームと漫画とすべての影響はすぐるさんだった。
すぐるさんに似た人をいつも好きになっていた。どうしてもすぐるさんに戻ってしまった日々だった。
父は笑って言った、「すぐるくんの話おもしれえな」。母も笑っていった「すぐるくんとめぐは気が合うね」。
そういえば、両親が認めてくれた唯一の男性だった。
すぐるさん、ありがとう。大好きよ。