L.v.ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第5番イ長調作品18-5
L.v.ベートーヴェン
弦楽四重奏曲 第5番 イ長調 作品18-5
当夜のこの曲で直方谷尾美術館に楽聖の弦楽四重奏曲全てが鳴り響いたことになります。
そのような記念すべく一夜だけでなく、作品18―5は彼の弦楽四重奏曲では聴く機会が希少ですので、お聴き逃しなく。
こちらがその動画です。
さて、弦楽四重奏の金字塔を打ち建てたのはベートーヴェンですが、その処女作品までは慎重でした。
まずは他の室内楽作品の創作を通じて、弦楽器の効果的な探り、サロンで演奏される師ハイドンの弦楽四重奏曲に接して、技法を直に掴みとっていたのです。
それらの結実が6曲集、作品18であり、その第5番では、モーツァルトへの憧れをあらわにしたのです。
ベートーヴェンは神童の弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》第5番 K.464を深く愛していました。
と言いますのも、この曲はシンプルな主題動機を入念に発展させて全体を構築しており、ベートーヴェンの目指すものだったからです。
彼の熱い思いは、楽曲の調性、各楽章の性格・構成を同一にし、曲集の順番も同じ第5番に揃えるほどでした。
作品18の多くは晴朗快活で、ウィーンでの成功、生涯を通じての理解者となった女性たちとの出会いなど、当時の楽聖の精神的な充足がよく反映されていて、第1楽章冒頭の天真爛漫さはまぶしい限りです。
聴きどころは中核となる第3楽章の大規模な変奏曲、第4楽章のフーガによる疾走と対照的な透明なコラールによって築かれる壮大クライマックスです!
【追記】 上記動画でアップした演奏は、クァルテット・インテグラ。前回5・8の定期演奏会出演のタレイア・クァルテットと同じく、要注目の若手四重奏団です。
昨年のバルトーク国際音楽コンクール第1位受賞の快挙、そして、タレイアQとともに、今秋のミュンヘン国際音楽コンクール2022にエントリーします。
昨年大晦日にQインテグラを聴きましたが、とても生きのイイ四重奏団で、動画の作品18-5は彼らにピタリです。
ぜひ、この室内楽定期演奏会に招聘したいと願っております。