佐賀・東与賀文化ホールへ①
急に思い立ち、昨日は佐賀へ。
東与賀文化ホール主催で、九州交響楽団の弦楽器奏者5方&ピアニストの小柳厚子さんよる演奏会が開催されるというのです。
数日前、この《音楽振興馬鹿》に以下のような考えが過ぎったのでした。
九響奏者の内3人は、私たち室内楽定期演奏会が育成・発信を手掛けている《福岡発弦楽四重奏団》のメンバー。
この招聘企画は昨年に続いて2回目。
ならば、東与賀文化ホール主催で、《福岡発弦楽四重奏団》の公演を定期的に開催してもらえないだろうか?
理念と目標をしかりと持ち、時間をかけて、実行すれば、四重奏団、当地のオーディエンス、職員が育ちます。そればかりか、育成企画としてホールの看板の一つとなりましょう。
そこで、本年2月に執筆した《福岡発弦楽四重奏団》についての日本経済新聞の記事、演奏会フライヤーを演奏会プログラムに折り込みさせていただきたい旨をホールに打診。
2日前の急な申し出、さらにはすでに折り込みを完了しているにも関わらず、快諾をくださったのです。
ありがとうございます。
昨日早朝、記事コピーとフライヤーを携え、佐賀路を車で飛ばしました。
今回の狙いは、まず、ホールに《福岡発弦楽四重奏団》を認知していただくこと。
新聞記事はイイ武器となります。
そして、少数で構いませんから、ご来場の方々に目を留めてもらえれば…。
詳細は、後日、落ち着いた頃合いを見計らい、手紙でヨカです。
先の趣旨に加え、弦楽四重奏曲はけしてマニア向け音楽ではなく、最も基本的な音楽で、創意工夫でオーディエンスの育成に最も近道となるなどなど。
なぜなら、演奏会当日、ホール職員さんのテンションはとても高くなっています。
コロナ感染予防がありますから、なおさらです。
伝えても、記憶に留まらないばかりか、逆効果になることさえも。
ところで、佐賀はかつて弦楽四重奏の振興に熱心な街でした。
1982年から86年、当地では、岸邉百百雄さん主宰の弦楽四重奏団、《福岡モーツァルト・アンサンブル》の定期演奏会が計17回開催され、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全16曲と《大フーガ》が演奏されたのです。
九州では福岡県以外では初のことで、実現は地域発の弦楽四重奏団が存在したからです。
現在でも、その存在なしではけして容易ではありません。
主催は九州女子短期大学教授の平野雄三先生。
会場はなんと同大学の図書館だったのです!
100人規模の演奏会だったため、適切な会場が無かったからでしょう。
それにしても、演奏者と近い距離で聴ける、そして知的なスペースでの弦楽四重奏の演奏会は、敬虔深い体感だったことでしょう。
上の画像は《福岡モーツァルト・アンサンブル》の10年のあゆみから、佐賀会場の事務局を務める、松藤弘之さんのメッセージです。
そして、佐賀から西の武雄では、この活動に影響受けてか、ウィーン・アルバンベルク弦楽四重奏団などの招聘公演が開かれていました。
私の推測ですが、愛好家主催だったと思います。
鳥栖に立派な公立ホールができる前に、地域発の弦楽四重奏団を核とした密度の高い音楽振興が行われていたことを知っていただきたいのです。
昨日、開演前のロビーで出演のヴァイオリニスト、佐藤仁美さんと会見。
「あなたたち二人(佐藤さん&猿渡友美恵さん)がこの街に招かれることに縁を感じずにはいられない。」
私はこう伝えました。
それは、お二人が先の《福岡モーツァルト・アンサンブル》の第2ヴァイオリンの太期晴子さんのお弟子さんだからです。
どうか、定期的な公演が根付きますよう。
願わくば、30数年の時を越えて、佐賀に弦楽四重奏の振興が復活しますよう。
演奏会は、このメンバーならではの質の高さはもちろんですが、“姫”による企画構成が秀逸。オーディエンスに初心者が多いことを配慮・意識しての創意工夫だったのです。
まずは、日本人が共鳴しやすいドヴォルジャークの楽曲で特集したこと。
そして、後半のピアノ五重奏曲 全楽章へと導くために、前半は様々な編成の楽曲を抜粋してオムニバスで組み、各楽器の個性、各出演者の持ち味を楽しんでもらい、オーディエンの心を掴む。
進行のMCもイイ感じ。
「佐藤さん、おぬし、やるの~!」
そして、東与賀文化ホールの心配りも光りました。
チケットは電話予約でも対応可。
これは公立ホールでは極めて珍しいことと思います。
チケットを販売していますホール、発券するコンビニが遠い方もいらっしゃるからでしょう。
そして、自由席ゆえに、開場前の行列=密を回避するために、来場した方に入場順の整理券を配布されていたのです。
手がかかる仕事でありますが、来場者の安全第一の姿勢に敬服しました。
こうした収穫も沢山ありの佐賀行でしたが、久しぶりのこちら方面の遠出でしたので、行きも帰りも寄り道をしたのです。
長い有意義な一日でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。