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砕け散ったプライドを拾い集めて

冬至の空はすみのやうにくろい

2018.01.08 05:11

<三島由紀夫8歳の頃の作文>

火鉢のそばで猫が眠つてゐる。 

 電灯が一室をすみからすみまでてらしてゐる。 

 けいおう病院から犬の吠えるのがよくきこえる。 

 おぢいさまが、 

 「けふはどうも寒くてならんわ」
 とおつしやつた。
 冬至の空はすみのやうにくろい。
 今は七時だといふのにこんなにくらい。
 弟が、
 「こんなに暗らくつちやつまんないや」 といつた。