「報道記者のための取材基礎ハンドブック」📖
新聞記者の書いた本というのは、どれもこれも行動的な文章だと言う印象がありますが、それは私だけではないと思います。
大概のそれらは、記者が多くの分野にまたがって仕事をしてきた事を、記しているので、余計に行動的な、そして世界を股にした生活空間の中で日々動いていることへの情報活動には、憧れみたいなものも有ります。
抑々もの書きというのは、どこかに知的なイメージを持っているので、多くの人にもあこがれの的にもなると思われるのですが、「物を書く」という行為そのものが、インテリ層であると言っても、少しも間違ってはいないとも思います。勿論全く正しいとも言い難いでしょうが。
さて、そんな新聞記者の書いた本と言うものの多くは、記者としての取材の仕方や、記事投稿の仕方書き方、社内の様子など、其れこそ「ぶんやの世界」を紹介しているものです。
それらはやはり「プロのもの書き人」としてのハウツウをよく目にします。
だからページを進めるたびに、「やはり違うな」という様な溜息をもって読む事も有ります。
今回ご紹介するのも、そんなひとつであります。
タイトルの如く【報道記者の為の・・・】でありますので、読者層は、一般ではないとはいえ、情報取材のプロのやり方を学ばないのは損だと言うものです。
記者によっても、所属するところが変わる人も有れば、変わらない人もいるのでしょうが、あらゆる情報ソースに首を突っ込む経験をしてくるでしょうから、取材対象についても、広いものです。
そして、彼らが書くものはドキュメントが主体なわけでしょうから、「現場取材記事」収取の極意も身に着けて行くのでしょう。
そんなハウツウを少しでも得られる気がします。
よく子供に問う事の1つには「将来何になりたい?」というのが有ります。
その中のひとつに「小説家」という解答する子がいますが、そんな子供の顔は得てしてマジ顔が多いと感じます。
彼らを羨ましく思う一つには、彼らは社会の裏の道理や人の生活の基本と言う様なものを取得する事にあるのではないだろうかという事です。
つまりは何処へでも顔を突っ込んで(とうい言いかたは大変失礼な言いかたですが)調査分析し、文章にして表わす職業だと感じるからでしょうか。
そしてまた、自分の経験してきた人生の一部を公開もしているので、内容もにぎやかです。
こんなところにも、活字中毒者の方には、興味をそそられるでしょう。
唯彼らの仕事は調査範囲が多岐にわたっていて、興味深いのですが、一般人が同じような趣味的関心を持っているとしても、彼らと違うところは、「職業かどうか」というところではないでしょうか。
彼らは、それが仕事であり、その道のプロだと言う事です。ですから当然、あらゆる素材の収集分析は、食い散らかしではない点でしょう。
それに対し、一般人にとっては、あれもこれもと範囲が広すぎて、首を突っ込むだけで食い散らかしてしまいがちになるのです。
これは、仕事ではないという気楽さがあながち間違っている原因でしょうが、とかくそうなるのも、一つには、日々の「豊かな社会」の中で生きてきた人であるからにほかなりません。
勿論誰しも、自分の関心のある物・欲するものはその多くを手にしたいと思いますが、如何せん、その多くは「金もない時間もない実力がない」ことで、夢はかないません。
ここにあるのは「どんないい情報でも、どの人も共通に取得して、同じ効果が出るものではない」という点を忘れがちな事です。
しかも、10人いれば10人違う結果があるのです。
自分の足で得てきた生の情報素材を文章にする技術を、誰しもが取得するにはこれを読んだからと言って、取得できると言うのにはそもそも無理があります。
まとめ
最後に、この種の本は、「ものを書く」いや「ものを書きたい人」には、大変他人の「取材の仕方から始まって、文章の書き方」を勉強する際の参考になると言う事です。
何せ、物書きのプロの手法を知れるのですから。
しかも、彼らの「ものを書く時の発想の仕方」は、他の「文章の書き方」本とは、又違う点において参考になるでしょう。
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※「報道記者のための取材基礎ハンドブック」西村隆次
(リーダーズノート出版) 頁数:208頁. 価格:1,300+税円