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潮干狩 117 診察

2010.05.24 15:00

今頃、潮干狩で、すみません。

 

精神疾患の治療では、

患者さんの心を、あれこれ分析したり、

妄想の内容を議論したりすることは、ありません。

分析医は分析しますけれど、お金持ちの患者さんが少ないので、

日本に、分析医は僅かです。

 

患者さんの訴えと、生活の状況を、あらかた聞き取れば、

どういう種類の妄想が出ているか、だいたいわかります。

事実関係に誤解があれば、指摘します。

妄想や幻覚の、はっきりとしているものは、指摘しますけれど、

患者さんの喜んでいる妄想に、口出しはしません。

妄想や幻覚を、除去したいと依頼されたら、努力します。

 

GIDの性別の違和感や、心の性別や、心と体の性別の不一致などは、

妄想と、はっきりしませんので、聞いておくだけです。

わかりにくいところは、患者さんに教えてもらいます。

 

お薬で治らない心の苦しみについて、

とりあえず、言葉や態度や表情などで、安心してもらいます。

お母さんのおなかの中にいるような気持ちになると、

たいていの症状は、ひとまず落ち着きます。

長続きはしませんけれど、

少なくとも、わたしと話している間は、やすらぎます。

 

患者さんを責めたり、

心理学や精神医学を、こちらから解説したりはしません。

強制的に治療のできる患者さんですと、

患者さんの意志に反して、治療しますけれど、

そうでないのに、余計な治療をすれば、傷害罪で訴えられます。

患者さんのご希望に答えて、なんぼの商売です。

 

GID(性同一性障害)では、患者さんの依頼は、

性ホルモン剤を使いたい、性転換手術を受けたい、診断書が欲しい、

ということです。

心をあれこれ、いじくって欲しいとは、望みません。

 

     患者さんは、気持ちが良くなるように、

     物事を歪めて、偏って解釈します。

     その代わりに、自分の心は、真っ直ぐであると。

     他人に指摘されると、患者さんの気持ちが悪くなるので、

     精神科医は、指摘しません。

 

     患者さんは、社会に適応できずに、

     生殖を拒否して、体の性別を拒否します。

     ほとんどの患者さんが、

     性転換前の性別の社会に適応できませんが、

     性転換後の性別の社会にも適応できません。

     約半数の人が、GIDや同性愛の社会に適応できますが、

     残りの半数は、それにも適応できません。

 

     患者さんの多くは、

     発達障害や認知障害や人格障害や統合失調症などの、

     一般的な精神障害のせいで、社会に適応できずに、

     自傷や自殺企図や、場合によっては他害に至ります。

 

     病識のない人が少なくありません。

     いずれも、自我障害が出ますので、

     生殖や社会性に異常をきたし、自閉に傾きます。

     患者さんは、それらの症状を、性別のせいに転嫁して、

     周囲や社会の無理解のために、苦しめられて、

     自傷や自殺企図に及んだと解釈します。

 

患者さんの目的は、

性ホルモン剤や、性転換手術や、診断書などです。

心の依頼でありませんので、

精神科医は、患者さんの心に、手をつけません。

心を解釈することも、ありませんので、

その心は間違っているとか、そんな了見では行き詰まるとか、

考え直したほうがいいなどと、余計なことは言いません。

 

苦しかったでしょう、辛かったでしょう。

たいへんでしたね、ゆっくりとくつろいで行ってください。

そう言うふうに慰めてあげて、治療のメニューを示します。

決められていることを、淡々と行ないます。

     

日本では、昔から、

異性装や同性愛は、自由な文化や趣味です。

GIDの患者さんは、精神の病気のせいで、理解できません。

人々の支持があれば、自由に流行して、もてはやされ、

支持がなければ、自由に廃れて、笑いものになります。

自由な文化や趣味は、そうです。

欧米やイスラム教国のような、

一神教に由来する超法規的な差別や虐待は、日本にありません。

 

男なら、これこれの体、

これこれの服装や、振る舞いや、言葉遣いなどの、これこれの心、

女なら、これこれと、

GIDの患者さんは、子供の頃に覚えた文化や趣味を、

精神の病気のせいで、変更できません。

 

人間は有性生殖をしますから、雄と雌があります。

性別は生殖のためにあります。

人間は嗅脳の機能が退化傾向にありますので、

フェロモンや感情では、自動的に生殖できません。

二種類の性を、知的に識別しなければ、生殖できません。

 

性器の形によって、雌雄を知ります。

性器の形を類推するために、

男ならこれこれ、女ならこれこれの、文化や趣味を用います。

騙す人も、騙される人も、間違えれば生殖できません。

 

GIDは、生殖を拒否しますが、

同性と性交渉をしても、生殖できません。

できないのに、しないと確信するのは、精神の病気に共通の症状です。

 

生殖できないのは、認知障害かも知れません。

二種類の性を、性器の形で識別することを、うまく習得できません。

男ならこれこれ、女ならこれこれの、

文化や趣味は、時代や場所や人によって、変わります。

わたしたちは、それを根拠に、性器の形を類推しますので、

類推の仕方に、融通を効かせて、

こまめに検証して、機敏に変更します。

 

文化や趣味によって、性器の形を、合理的に類推しているか、

性器の形が、二種類の生殖機能を、健常に反映しているか、

如実に検証して、しばしば、変更の必要を知るのは、思春期以降です。

 

発達障害の子は、融通が効きませんので、変更できません。

許容範囲が狭いとも言いますが、

刷り込みが広範囲に強いとも言えます。

頑固です。

 

発達障害、認知障害、自我障害などと、

GIDや、統合失調症や、人格障害などとの関係は、

何度も書きましたので、繰り返して言いません。

ごめんなさい。

 

     精神の病気では、たとえば、お子さんが母親に反抗して、

     「食事はいらない」と、

     お皿を投げつけて、自室に引き揚げると、

     一生、母親の作った食事を食べられず、

     二度と、母親と口が聞けなくなる症状を、

     ごく普通に見掛けます。

 

     生きれば生きるほど、一生ものが溜まります。

     生きれば生きるほど、身動きが取れなくなり、

     苦しくなり、死に至ります。

     生物は、生殖して世代交代して、永遠に生きなければ、

     生きれば生きるほど、確実に死が近づき、

     苦しくなる一方です。

 

     二度と気持ちを変えないと、心に決めると、

     死んでも変更できません。

     自分で錠を掛けて、鍵を捨ててしまいます。

     一生、捨てた鍵を見つけられず、

     見つけたいとも思わなくなります。

 

     自分一人で、強く判断しないで、

     二度と判断を変えないと、決めないで、

     何事も、自分一人で、心に誓わないほうが、

     良いかも知れませんが、

     理由もなく人を殺してはいけないとか、

     万引きしてはいけないとか、

     家に火をつけてはいけないとかは、

     生涯、絶対に変更しないで、固く守り通すものと、

     思って置くのが、便利な処世術です。

 

     嘘をついてはいけないとか、

     人の陰口を叩いてはいけないとかは、

     片目を瞑って、

     適当に変更したほうが良いかも知れません。

 

戦場では、正当な理由があって人を殺すと、

身勝手に思い込んでおきます。

 

うちの父に、敵を殺したか、民間人を殺したか、

無防備な人を、残酷に殺したかと、尋ねると、

黙り込みました。

死んでも、教えてくれませんでした。

 

わたしの世代は、父親が戦場に行きましたので、

子供の頃は、戦争の話を聞きながら、夕御飯をいただきました。

まだ、テレビのない時代でした。

父の話は、中国の名所旧跡や、古典文学や、風俗の話ばかりでした。

父は、中国人や、中国の文化を、尊敬していました。

捕虜になっても、人間の病気だけでなく、家畜の病気の世話や、

機械の修理や、通訳や、中国の子供の教育まで、命じられたそうです。

 

日本に帰れることになると、

中国の人達が、一緒に日本に連れ帰って欲しいと、

父に頼みました。

日本人の手助けをした中国人は、

全員、蒋介石の軍隊に処刑されると訴えて、泣き崩れました。

 

父も、日本に帰れば、自分たちは軍法会議に掛けられて、

日本の当局に、処刑されると思っていました。

「生きて虜囚の辱(はずかしめ)を受けず」と、教えられていたので、

降伏したり、捕虜になったりすれば、

敵や味方の、兵士や民間人に、処刑されると信じていました。

 

日本も中国も朝鮮も、同じでしたが、

欧米でも、戦場で降伏したり、捕虜になったりすることは、

自殺と同じでした。

ポーランドの将兵が、カチンの森で、ソ連軍に殺されたのは、

今でも、戦争の常識と思っておくのが、良いかも知れません。

殺し合いに、ジュネーブ条約うんぬんなんて、お笑い草です。

 

荒川沖の事件で、死刑の確定した犯人の妹さんは、

いつもメモを、お台所に置いていたそうです。

妹さんと、母親とは、同じ家に暮らして、

毎日、顔を合わせていましたが、

妹さんは、絶対に母親と、口を聞きませんでした。

父親は、それを異常と思っていません。

兄は、そんな妹をうざいと思い、殺そうとしましたが、

外出中でしたので、他人を殺すことにしました。

 

精神障害者の家庭の、平均に近い状況と思います。

GIDも、似たようなものです。