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ひつじ田(だ) 990 

2012.11.06 15:00

ひつじ田(だ)ですけれど、

 

秋(あき)の収穫後(しゅうかくご)の、

稲(いね)の切(き)り株(かぶ)から、

再(ふたた)び伸(の)びる茎(くき)や葉(は)や穂(ほ)を、

稲孫(ひつじ)と言います。

 

穂(ほ)が出(で)ますと、現代(げんだい)では、

二番穂(にばんほ)と言(い)う人が、多いかも知れません。

 

収穫(しゅうかく)ができるほどには、実(みの)りませんので、

土(つき)に鋤(す)き込(こ)まれなければ、

鷺(さぎ)や鴫(しぎ)が、啄(ついば)むだけです。

 

稲(いね)だけでなく、一般的(いっぱんてき)に、

ひ孫(まご)の「ひ」や、ひ弱(よわ)の「ひ」や、

日の「ひ」や、干(ひ)からびた「ひ」や、

ひいふうみいと数(かぞ)える「ひ」などが、

昔(むかし)ながらの、日本語の「ひ」の意味(いみ)です。

 

一音節(いちおんせつ)だけでは、

他(た)の言葉(ことば)と混同(こんどう)されますので、

「ひ」の字(じ)の意味(いみ)の、

「ひつじ」と表現(ひょうげん)したのでないかと、

わたしは、勝手に想像します。

 

「ひ」の字とは、「ひ」のつく言葉(ことば)の意味です。

「ひ文字」ね。

「ひ文字」って、ひもじい、の意味(いみ)でしょう?

 

江戸時代には、ひつじ生(ば)え、と言えば、

生(は)え方が少ない、という意味でして、

頭髪(とうはつ)や眉毛(まゆげ)などに、使われました。

 

蘖(ひこばえ)の「ひ」も、ひ孫(まご)の「ひ」と、同じですが、

子供(こども)の「こ」を付け加(くわ)えて、

孫(まご)や子(こ)などの、

小さな子孫(しそん)を表(あらわ)しています。

 

ひつじ生(ば)えと、蘖(ひこばえ)は、

ほとんど同じ意味(いみ)になります。

 

十二支(じゅうにし)の未(ひつじ)は、

時間(じかん)や方位(ほうい)を、表(あらわ)しますが、

ひつじ生(ば)えの、ひつじとの関係(かんけい)を、

わたしは、想像(そうぞう)できません。

すみません。

 

ひつじ田(だ)や、ひつじ生(ば)えの、ひつじは、

意味(いみ)を汲(く)まれて、

稲孫(ひつじ)と、表記(ひょうき)されます。

稲(いね)の孫(まご)ね。

 

鎌倉時代(かまくらじだい)には、

乾土(ひつち)や干土(ひつち)と、当(あ)てられたそうです。

 

干(ひ)からびるのは、水(みず)が少(すく)なく、

一般的(いっぱんてき)な日本語(にほんご)の、

「ひ」の意味(いみ)に、違(たが)いません。

 

一文字(いちもじ)の漢字(かんじ)ですと、

禾偏(のぎへん)に、魯(ろ)と、書(か)きます。

やぐらの櫓(ろ)を、

禾偏(のぎへん)に置(お)き換(か)えた漢字(かんじ)です。

 

意味(いみ)は、ひつじですから、

馬鹿(ばか)にされているような気もします。

国字なのかしら。

 

 

     鶉(うづら)伏(ふ)す

           刈田(かりた)のひつじ 

                 おひ出(い)でて

        

         ほのかに照(て)らす 

              三日月(みかづき)の影(かげ)

 

                      西行  山家集 中

 

 

     刈(か)れる田(た)に 

            生(お)ふる穭(ひつじ)の 

                  穂(ほ)出(い)でぬは

 

        世(よ)を今更(いまさら)に 

                秋(あき)はてぬとか

 

              古今集 巻五 秋歌下 題知らず 308