円安投資ごっこ
最近,といってももう最近ではないですが・・・日銀総裁が無限指しオペを選択したことにより円安が進み始めました.今日,1ドル134円になったらしいです.
円安って,面白いですよね.「円が安い,円では何も買えない」という意味の円安なのですが,円安だとモノが売れるようになるというメリットもあります.
「円が安い,だから円で買えるならなんでも買う」ということですね.
だから,円安にした後めっちゃ国内生産して物を売って,その流れのまま「円高」に戻ることができるならば,物を売って手に入れた「円」が高級品なので,いろんなものが買えるようになって嬉しいわけです.
この円安と,実は面白い結びつきをしているのが,岸田内閣が言っている「一億総投資家」がどうのこうのという制度.早い話が,「貯蓄を投資して,それで儲けてくれ」というなげやりな回答です.
お金がないのに投資なんてふざけてんのか,という気持ちもあるとは思いますが,実はこの二つの施策,おふざけでもなんでもなく,日本がもう一回先進国に戻るための,本気で最後のチャンスでもあります.
まず,「この言葉は全国民に向けられた言葉ではない」ということです.貯蓄がある人は,積極的に投資をしろと言っています.実際,貯蓄がなくて投資できないだとか,そもそも政府が言ったくらいで投資なんてしないという人も多くいますが,この言葉の本意は「円安が加速しているから円以外の状態で資産を維持してほしい」という気持ちを「投資」という言葉で伝えているにすぎません.
そのうえで,どうして政府が投資を進めるかというと,「政府は相場を見るだけでなく,ある程度意図的に操作できる」からでもあります.
別に政府の肩を持つ気はありませんが,仮に国民の持ちうるほとんどすべての財をドルで買い込んで,もう一回円高に戻ったらどうなるでしょう?
例えば,10兆円くらい使ってドルを買うわけですよ.今は1ドル134円らしいのでそれでいくと10000000000000 ÷ 134 ≒ 747億ドルくらい買えますね.
この先めっちゃ円安が進んで,1ドル170円くらいになったときに,円に戻すと,
747億ドル × 170 = 12.7兆円くらいになります.
2.7兆円が沸いて出てきます.全国民に23000円ずつ分けて配れますね.
これが,投資のマジック・・・もとい,投資が最大のギャンブルと呼ばれる所以です.
大変な錯覚ですが,この2.7兆円を配ったところで,1ドル170円になったことによるデメリットはまったく覆せません.それくらい,円安の打撃というのは大きく,なんなら豪輸入牛肉が神戸牛より高くなることだってあるでしょう.
しかし,ドルを円に直した瞬間に,ドル円の相場が突然かつてのように戻ったらどうでしょう.そうなれば,増えた円は投資した人の利益です.
政府が出した投資と日銀の円安のダブルパンチは,言わせてみれば「このまま日本が破綻するくらいなら,一度日本円をからっぽにして,何かしら奇跡が起きるのを崩壊まで待つ」という意味が大変に込められているように思います.
例えば,今後1年か2年の間にアメリカなんかでたまたまデフォルトが発生すれば,ドルの信用がとけ,一瞬で相場が戻る可能性だって,ないわけではないですよね?
ゴミ手牌から国士無双を狙うような・・・・そんな局面にいる日本,そして財政を使い果たした政府,そこから出てくる苦肉の策としては,このダブルパンチは全然ありだと思います.
今を生きればいいのか,それとも未来のために今を賭けるのか・・・
賭け事は嫌いですが,賭けをしない,というのも立派な賭けの選択だと言われれば,
返す言葉もありません.
私は,自分を信じます.