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サネカヅラ 1387

2013.12.10 15:00

美男葛(びなんかずら)ですが、

実葛(さねかづら)が、標準的な和名です。

 

ウイッグ wig のことを、「かつら」と言いますから、

「かづら」と、書きたくなります。

 

検索すると、みんな、「かずら」と書いています。

万葉仮名を見ても、葛や加豆良ですので、わかりません。

 

紫式部は、源氏物語の玉鬘(たまかづら)の巻を、

「かずら」と書いたのか、「かづら」と書いたのか…

 

絆を、「きずな」と書くと、笑われます。

明らかに、綱(つな)の意味ですから、

「きづな」でないと、躓(つまづ)きそうです。

 

 

 あしひきの 山(やま)さな葛(かづら) もみつまで 

 

      妹(いも)に逢はずや 我が恋ひ居(お)らむ

  

                      万葉集巻十 2296

 

もみつは、紅葉(もみじ)ですから、

もみぢと、書くべきでしょうか。

 

実葛(さねかづら)の花が咲くのは、現代の8~9月ですから、

万葉集は、秋の相聞(そうもん)に、分類しています。

 

実が赤くなるのは、現代の12月ですけれど、

常緑ですので、今頃の葉は、濃い緑色です。

 

蔓性木本ですけれど、蔓(つる)の皮を、水に浸して、

粘液の浸出した水を、男性の整髪料として、使用しました。

 

山の実蔓(さねかづら)の実が、色づく12月まで、

彼女に逢わずに、恋しているとは。

 

かづらって、蔓(つる)の絡まるように、という意味ですから、

寝るに、小(さ)を付けて、さねです。

 

あしひきは、葭(よし)の地下茎が繋がり、

群落を作っている様子から、山に掛かる枕詞(まくらことば)。

山々が連なっています。

 

出産したのかも、知れません。

赤ちゃんと一緒に、しばらく実家に匿(かくま)われていますから、

面会謝絶です。 

 

昔の赤ちゃんは、半数以上が、死にました。

思春期まで育つ子は、稀(まれ)でした。

 

昔の女性は、産んで育てて、産んで育てての、生涯でしたから、

万葉集のように、男が恋してばかりですと、

女は、養生する暇が、ありませんでした。

 

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