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トレイルランニング・ウルトラを完走するために

2018.01.10 09:20

先日受けた心拍の講習をまとめてみました





運動には2種類ある

激しい運動とゆるい運動



2足歩行する動物の中で人間が唯一アキレス腱がある事実。
ホモサピエンスがなぜ進化の中で生き延びたか?長時間走ることができたから。
(シカはキロ/4:30くらいで走る(激しい運動)が長く走ることができない。人間は武器を持たないころは、走って獲物が走れなくなるまで追いかけて(ゆるい運動)捕まえていた。)


そもそも運動とは

筋肉の収縮・伸展


「走り」ということでは骨格筋を伸縮・伸展させて股関節・膝関節・足首関節を動かすこと。伸縮・伸展する筋肉が強く、早く、長い時間、動き続けられる


筋肉を伸縮・伸展せるには・・・「燃料(酸素・糖・脂肪)」と「信号(神経・反射など)」が必要。燃料を送り込むのが心肺機能。燃料を作るのが代謝・消化機能。


運動能力の高い・低い

  1. 最大心拍数と安静心拍の差『A』が大きいほど強い運動ができる、早く走れる、長い距離が走れる。
  2. 筋力(パワー)、筋持久力の大小。
  3. 神経系統の鋭敏さ。手足・体幹などの巧緻性、情報収集力の優劣。
  4. 燃料(エネルギー)代謝効率の良し悪し。

運動には2種類ある
「速筋と遅筋」・「糖質と脂肪」・「無酸素運動と有酸素運動」
100mスプリント本番を走るとき、U・ボルトは9秒の間、大腿四頭筋とハムストリングなどの「速筋」繊維を総動員している。ウォーミングアップで走るときは「遅筋」繊維を使う。同じ走るでも使う速度(強度)で、本人の意志とは関係なく使われる筋繊維が変わる。

(左が持久系運動選手の遅筋、右が瞬発系運動選手の速筋)

「速筋」は「主として糖質」がエナルギーの源。瞬間的に大きな力は出せるけど、数秒~3分程度で消耗してしまう、このエネルギー代謝に酸素を必要としないので「無酸素運動」と呼ばれる。

「遅筋」は「主として脂肪」を源として、延々長時間動き続けることができる。どんな運動嫌いでも、ジョギング程度なら2時間くらいは平気で走れる。脂肪を使う(燃やす)には酸素が必要だから、これは「有酸素運動」と呼ばれる

(参考)

成人
糖400g=1600㎉(1g=4㎉)
脂肪体重60㎏(体脂肪15%)=63000㎉ (1g=9㎉)
フルマラソン平均2400㎉


100㎞、100マイルを完走するにはどんな能力が必要?

42.195キロなら現代の運動マニュアルでよい(ビルドアップ走・30k走・ペース走、LSDなど)

ただしそれ以上(ウルトラ)は違う。

「遅筋」繊維を鍛え、体内に(糖質に比べれば)無尽蔵に蓄えられる脂肪をエナルギーとして「速く」走れるカラダになればいい。言葉を変えれば、有酸素運動レベルで「運動能力を高く」「長い時間」保てるカラダになればいい。

もっと簡単に言えば、ハアハアゼイゼイしないで「速く」「長く」走れるようになればいい。毛細血管をカラダ中にきめ細かく張り巡らせて、たくさんの血液(燃料)を循環させるようになればいい。燃料を効率よく筋収縮に変換できるといい。*ジェルはそれだけでは燃料にはならない


あなたの運動能力の容器のサイズは?

        208-(0.7×年齢)=≪   ≫田中弘文メタ解説法2万人の臨床データ

60歳と40歳、ともに安静時を50拍/分とした場合、


60歳は208-(0.7×60)=166(最高・限界回転数)

容器のサイズは、『A』は、166-50=110

40歳は208-(0.7×40)=180(最高限界回転数)
容器のサイズは、『A』は、180-50=130


『A』は年齢に左右される、どころか歳をとればとるほど最大心拍数、エンジンの回転数は下がるから、心肺機能・代謝消化機能系パフォーマンスは低くなる*

*ほんとうにそうなのか?

例)UTMB2007

マルコ・オルモ(当時59歳)21時間31分58秒 1位 『B』128
鏑木 毅   (当時39歳)24時間24分25秒 12位  『B』146
(鏑木さんはゆっくり走るトレーニングをしていなかった・・・)


<180-年齢±5>=≪『B』≫ってなに?

フィリップ・マフェトン博士が提唱した心拍トレーニング。1980年代からスイム・バイク・ランの3種230㎞をぶっ通しで行うアイアンマン・トライアスロンの爆発的人気とともに、トレーニングとして一世を風靡したプログラム。その後トライアスロンはオリンピック種目(51.5㎞=短距離)になってしまい、このトレーニングは使われなくなった。近年100マイルレースが登場してきて、改めて注目されている。

<180-年齢±5>=≪『B』≫
(普段から運動(ラン)している人は+5で計算でよい)

これが有酸素運動のときの最大・限界心拍数、これを超えると無酸素運動になってしまう(ハアハアゼイゼイしちゃう)から×。この数字以上にならぬよう(有酸素運動範囲で)運動すればよい。


これを続けることで、交際血管が増える、遅筋が鍛えられる。
これが100マイル楽勝トレーニング心拍数。


日本のトップトレイルランナーの『B』

 大瀬和文『B』149 キロ/3:57 (フルマラソンだと2時間46分)
 上田瑠偉『B』161 キロ/3:52 (フルマラソンだと2時間43分)

 山田琢也『B』146 キロ/4:11 (フルマラソンだと2時間56分)

このタイムをハアハアゼイゼイならずに走りきれるということになる

・心拍数優先走<180-年齢±5>=『B』を保つ。実際はそれより3~5拍-分少ない数字を保つようにはしるといい、どうせオーバーするから。
・その心拍数を保ってどのくらいの速度(ペース・キロ/分)で走れる?
・うそだろ!というくらい遅い。ランではなく早歩きくらいから始まる人もいる。
(ハーフや30キロ走など速い人は遅い、まったく運動なしの人は結構速い)
・そのペースを何分間続けられる?
・できれば信号や急坂のない周回コース、できれば1㎞以上、を設定しよう
・GPSつき心拍計があるといい。自動1㎞ラップ(ペース・キロ/分)設定を。
・15分(5分/5分/5分)のウォームアップ、15分(5分/5分/5分)のクールダウン。3段階で心拍数を上げ、そして落ち着かせる。

・ときどき違うトレーニングを。カラダを大きく、素早く動かす(心拍数を上げずに)神経系、巧緻系を忘れない。心拍を騙すインターバルトレーニング。
・トレーニング効果を確認するときは同じ体調条件で。*朝食前、食後1時間後夜とか。10回に1回は速度(ペース・キロ/分)をチェックする。
・やがて、その心拍数で速く走れるようになる=ペースが上がる。
・やがて、そのペースで長い時間保てるようになる。
・次の段階としてATトレーニングがある。
(ATトレーニング参考ページ ATについて < 心拍トレーニング < 大会に出場してみよう | 今日から挑戦 持久力を確実にアップする乳酸性作業閾値‐LTトレーニング
*100マイル楽勝心拍数『B』は最大運動強度の○%だろう?
(『B』-安静時心拍数)÷『A』=  %


もうひとつ、エネルギーの源を糖質から脂肪に切り替えるカラダになるために、食事も見直したい。糖質を減らし、たんぱく質を増やす。糖質:たんぱく質:脂肪のカロリーバランスが4:3:3になるように。全持久系選手の1日の必要なたんぱく質量は体重1㎏あたり1.2~1.5gとあるから、これでたんぱく質量と糖質の量、さらに脂肪量まで確定できる。ということはスポーツドリンクの摂りすぎはあまりよくない。


速く走るから食べられない

ウルトラ(42.195㎞以上)は食べること、食べたものをエネルギーに変える(消化吸収)能力が高くないとレースを続けられない。ゆっくり歩いているときは食べられるのに、走りながら食べるとなぜ、吐く、食べられなくなる?

運動(身体活動)は交感神経のコントロール下にあります。走っているときはカラダを積極的に動かそうとするプログラムに支配されています。血圧向上、アドレナリン分泌、循環器系促進、消化器系・泌尿器系の抑制

ところが食事、消化・吸収といった内臓を動かす機能は副交感神経の支配下にあります。これはカラダを休め、安静にして=運動を抑制して、次なる活動に備えるための休息・充電のプログラム。だから、食事をするときは椅子に座って(活動を中止して)食べます。そうしないと食べられない、消化・吸収できません。
飲み食いすることは運動するカラダにとって迷惑、負担なのです。

副交感神経を騙す=運動強度を低く保てばいい/でも速く走れるようになろう。
有酸素レベルを保てば(ハアハアゼイゼイしなければ)、食べれるはず。
吐き気はオーバーペースの証拠。食べられなくなったらペースを落とす。それでもダメなら立ち止まって座って食べる。結局速くフィニッシュできる。


脳の為にブドウ糖を

脳は糖だけをエネルギー源としている、脳は脂肪ではピクリとも動かない。さらに脳は大喰い、運動していないとき、いわゆる基礎代謝レベルでも摂取エネルギーのおよそ20%を脳が食べてしまう。トレイルランナーであれば1日の基礎代謝は1600㎉くらい。そのうち320㎉(ジェル2~3個)は脳が使ってしまう。糖は1gで4㎉なので、たいした運動をせずとも脳は1日80gの糖を必要としている。

さらに脳は消化吸収の早い単糖類のブドウ糖/グルコースが大好物。同じ単糖類でも吸収の遅い果糖/フラクトースや、糖分子の多いオリゴ糖やデキストリンは嫌がる。*ただし、消化吸収の後、これらは分解されてブドウ糖となる(とはいえ時間がかかる=即効性ではない)

脳に糖が不足したとき、有名な低血糖、ハンガーノック。血中の糖濃度が一定数値より下がると、脳は危険を感じて意識朦朧に、ふらふらと千鳥足にさせ、運動を停止させようとする。ですから、ブドウ糖を含むジェルを。

理想ははちみつ。成分が20%が水分で残りの35%がブドウ糖(速攻で効く)、45%が果糖(じんわり効く)、わずかその他がショ糖、オリゴ糖、デキストリンなど。特に持久系運動選手にとっては、レース途中の補給としてスポーツジェル顔負けの見後な配合。100㎏あたり294㎉と重量に対するカロリーパフォーマンスも素晴らしい。


(注意)

これは「UTMBを笑って完走しよう」の講座のまとめです。
笑って完走することのまとめですので、上位目指す方法ではありません