アニメーション美術背景製作あれこれ
◆はじめに
この記事は【その2】ドリコム Advent Calendar 2015 - Adventarの11日目です。
10日目は、頼れる後輩hisanonの記事でしたっ。
12日目はkeachcoxさんの記事です。
はじめまして!
もうすぐ入社1年目、ちゃんもと申します。
今回は、長く携わったアニメーション美術背景製作について
簡単にお話できればと思います。
◆アニメーション美術背景てなんぞ?
こゆうのです。
ちなみに手書きでしたので、ほんとうにこゆうのです。
①コマ数、キャラクターの位置、サイズ、動き場所が(一応)確定したレイアウトを元に
②美術設定を確認しながら、カメラを確定して(ようするにアイレベルの割り出し)
画面に映る背景を下書きし
③画用紙に一気に着彩!
④…のあとにデータ化
スキャンすると、紙のムラやらゴミやらが大量にあって、
それをひとつひとつ丁寧に取り除きます。
流背(カメラが高速に動く演出 ダッシュとか、飛んだり跳ねたりとか用の背景)だと
3フレーム分くらいを1枚で描いてループするので、
画用紙が横1m以上になります。
カメラ演出によって、サイズはバラバラ。
それを小分けにしてスキャンし、再度くっつける作業が
一番メンドクチャイ作業だったりします。
手書きのアニメ背景から、ゲームの世界に入った時は、
デジタルの便利さに、
神へ土下座する思いでした、、、、
手書きの良さは、そこでは無いのですけどね(*´∀`*)
◆アニメ製作に携わっていて、良かったこと
特にソーシャルゲーム開発において
お金と時間の無いアニメ業界で長く【職人】として携われていたことが、
ものすごく活きています。
アニメ業界は本当にお金がなく
特に、電○や、放送局、製作会社から、
実際に製作する多くの【職人たち】の分までのお給料を
一般的な感覚で時給支払いをするとなると
どう考えても週130分のアニメを放送できるわけもありません。
それを手塚大センセイが日本アニメの基礎として形づけてしまったために、
どうしようも無く、その形でいま現在も存在しているように思います。
私は背景のみのことしか詳細はわかっておりませんが
特にきびしかった【青い花】というアニメ最終回は、
30分合計350枚の背景を、5日で。
背景スタッフ3名。
青い花 鎌倉の景色いっぱい描けました。
いま思い出しても手足が震えます(((゚ー゚;)))
感動したし、悲しくもなりました。
その中で、勤続20年を超える先輩方は、
どうしようもなく限られた時間の中で、最高の背景をと
1点1点製作されていました。
日本のアニメはリミテッドアニメーションなので、
1枚で最短だと1/3秒しか映りません。
一瞬。
長い物だと、パンしたり、シーンを主役で見せたりで、
4秒ほど映ったりもします。
ほとんど千秋だから、、、
良い意味で適当に描くに止める!!
一瞬のものに時間をかけていては、
作品全体の見せ場に時間を割くことができなくなります。
背景は脇役ですが、
作品の価値を大きく左右する脇役です。
なんのためのイラストかを理解し、スケジューリングして、
最大のパフォーマンスを発揮できるよう、
毎週毎週製作する姿勢は、
アニメ背景製作、会社の先輩方から教えていただきました。
ソーシャルゲーム批判の中で
スケジュールが過密だから、
よく考えないで、1点1点に向き合わないで、
流れ作業で製作しているという指摘はよく受けます。
私はいつもそこに疑問を感じます。
時間制限のない中で製作する事が、
許される仕事があるのであれば、
自分は向いてないなとさえ思ったりします。
アニメの時間の無さは異常で、
絶対に改善すべき日本の闇だと思いますが、
製作には時間制限があることで生まれる価値があります。
作業に、真剣に向き合うからです。
作っては壊し、は、製作の中で当たり前で、
その
【作っては】の真剣さを、
どれだけ真剣に向き合えるかで、
モノの価値は大きく変わってくると思います。
楽しくモノづくりをしたいですが、
真剣に作ることの楽しさを知ってしまうと、
もう断然物足りなくなってしまうものですね、、、!
せっかくなので、
ちょっとアツい内容となってしまいました。
恥ずかしい。
長々とお付合いいただき、ありがとうございました!
それでは、みなさま良いクリスマスと年末をお過ごしくださいませ!(*´∀`*)
◆明日は
keachcoxさんの記事。楽しみです(*´∀`*)
ちゃんも