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「JEANNE D'ARC」M.Boutet de Monvel

2018.01.12 12:29

フォロワーさんの投稿で知ったのですが今日はジャンヌ・ダルクの誕生日だそうですね。

人物が人物なので誕生日も通説だとは思うのですけれど、一応あわせて当店も本日はフランスから買い付けてきたこの、ブーテ・ド・モンヴェルによるジャンヌ・ダルクの絵本(1900年頃)、そしてモンヴェルとアナトール・フランスによる共作の絵本2冊(1920年〜30年頃)など、20世紀前半の刷のものを更新しております。

このジャンヌ・ダルクの絵本の初版は1896年ですが、当店の本は1900年頃のものと思われます。初版は表紙がヴァイオレットと言いますかボルドーの様な布装のものでなのですが(これも確定情報ではないのですが…)、当店に現在ある本も書き込まれている献呈日付が1902年、そして1917年の日付があることなどから、初版ではないものの、古い刷のものと考えております。

印刷は美しいリトグラフ刷、活字の部分も手で触るとその凹みが感じられる活版印刷で、古いリトグラフ刷の絵本ではこの本はエルンスト・クライドルフ、そしてイワン・ビリービンの絵本などと並んで絵本の歴史の中でも最高傑作と言われているものの一つですね。

刷り部数が多かったので他の2冊に比べると比較的値段的には手に入りやすいのも嬉しいです。それでも日本で見ることは滅多にないと思いますが…。

実際に見ると、現行のものとは全く色の出方が違います。目に飛び込むような強い色彩ではないものの(ビリービンの初版本などは衝撃的な色の出方をしているのです)、柔らかく、美しく繊細な色の出方をしているこの本は、読む度にその美しさを再発見でき、モンヴェルの描く迫力のある構図や、人々の衣服の文様の美しさには本当に驚かされます。

ジャンヌ・ダルクのその物語には英雄譚、神秘的な要素、そして悲劇的な結末と読み物として面白いものを多く含んでいますけれど、この人物はフランスナショナリズム(今やフランスだけにはとどまらないでしょうか)の象徴として度々利用されてきているので、個人的には少し距離を置いて考えないといけない歴史上の人物だとも思ってもおります。

けれど私の偏愛する映画作家、カール・テオドア・ドライヤー、そしてロベール・ブレッソン、この二人ともジャンヌ・ダルクについての映画を撮っているので、これは興味深いことでもあります。(この二人の映画はどちらもジャンヌの英雄的な側面よりも悲劇的な側面、殉教した聖女としての面を中心に捉えていますが)

もし、ご興味あれば映画もぜひ見てみて下さい。ブレッソンのものはお話がどうこうというより「映画」として物凄いです。かつてない強度で「映画」が撮られています。

話が脱線してしまいました。

モンヴェルの残りの2冊についてはまた次回にでもご紹介させて下さい。

美しい絵本ですので是非オンラインストアの方でもご覧ください。


当店在庫はこちらです。

JEANNE D'ARC」M.Boutet de Monvel