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TCC - HOPE

6月19日の週報と説教要約

2022.06.18 15:00

えにしだの炭火

Coals of Juniper 【詩篇120:1-7 都上りの歌】 2022. 06.19 (主日)

序論

 詩篇の中で「都上りの歌」と言う表題がついているのは、総計15篇あります。その中で初めに出て来る詩が詩篇120篇です。本詩篇120篇は作者未詳となっています。しかし詩篇52篇と酷似しているので、ダビデの詩と考えられます。またその時期が、サウルがエドム人ドエグに撃ちかからせて、祭司85人を殺戮した時期でした。ドエグはサウルにダビデの事を告げて非難しました。それでダビデは本篇で「偽りのくちびる、欺きの舌」と記したと思われます。

 この非難はサタンに属する者たちが、聖徒たちを讒訴(ざんそ:陰口で訴える事)する時のやり方です。また終わりの時代にイスラエルが、悪い隣人たちに囲まれて苦難に遭う事を、預言している御言葉とも思われます。

 今日は本文と共にえにしだの木にまつわる歴史的事実と、えにしだがどのような木であるかを説教しようと思います。多くの聖徒たちはえにしだの木を好むようですが、事実上ユダヤ人にとっては苦難と逆境を象徴する木であるため、余り好きではない木のようです。

1.偽りのくちびる、欺きの舌から命を救い出して下さい(1-2)

120:1 苦しみのうちに、私が【主】に呼ばわると、主は私に答えられた。

120:2 【主】よ。私を偽りのくちびる、欺きの舌から、救い出してください。

(1)ダビデと若い者たちが食べた聖別されたパン

 Ⅰサムエル21章に出て来る記事は、読めばよく分かる内容の記事です。ダビデがサウルから追い出されて、兵士の若者たちと共に飢え死にしそうになった時に、ノブの祭司アヒメレクに頼んで、祭司だけが食べる事の出来る聖別されたパンを食べて、生き返った記事です。ダビデは聖別されたパンを食べて力を得、後の事を図る事が出来ました。

(2)祭司85人を抹殺させたサウル

 この虐殺事件の一部始終を見たエドム人ドエグが、サウルに密告しました。

22:21 エブヤタルはダビデに、サウルが【主】の祭司たちを虐殺したことを告げた。

 サウルの命令を受けた王の家来の近衛兵たちが、祭司たちを殺す事を拒むと、サウルはエドム人ドエグに命じて祭司85人全員を殺害しました。その時アヒメレクの息子のエブヤタル一人が、逃れて生き残りました。この事件は歴史上に於いて、終わりの時にサタンにそそのかされた反キリストのひな型、即ちサウルとドエグのような人物が、聖徒を殺す事を予表していると言えます。

(3)救いを祈るダビデ

 このような状況の中で、ダビデはペリシテのガテの王アキシュの所に亡命したのですが、そこでも死にそうな目に遭うと、彼らの前で気が違ったかのようにふるまい、九死に一生を得てイスラエルに戻って来ました。しかしそこでもサウルから追い出され続け、困難な日々を過ごしていました。本文はそのような時にダビデが苦しみの中で、神様に呼ばわって救いを求めている祈りなのです。

2.勇士の鋭い矢、えにしだの熱い炭火(3-4)

120:3 欺きの舌よ。おまえに何が与えられ、おまえに何が加えられるのか。

120:4 勇士の鋭い矢、それに、えにしだの熱い炭火だ。

 イスラエルに言って見ると、荒野で見る事の出来る代表的な木が何本かあります。それはアカシアの木と柳の木と、えにしだの木です。アカシアの木は彫刻木として、幕屋に安置された契約の箱の材料として使われました。柳の木は木陰を提供できるとても愛されている良い木です。しかし、えにしだの木は木陰を提供する事も出来ず、影だけを生じさせるつまらない木に見えます。所がえにしだの炭火は火力がとても強く、長持ちする有名な木なのです。

 詩篇の記者は「偽りのくちびる、欺きの舌」を持つ者を、神様がさばいて下さる事を信じています。勇士の鋭い矢が敵を貫いてしまう事を信じています。えにしだの木の炭火は、長時間消える事がないと言われています。そのように、神様が敵どもを最後まで火によって征伐して、懲らしめて下さいとダビデは切に祈り求めているのです。

(1)ハガルとえにしだの木(創21:15-16)

21:15 皮袋の水が尽きたとき、彼女はその子を一本の灌木の下に投げ出し、

21:16 自分は、矢の届くほど離れた向こうに行ってすわった。それは彼女が「私は子どもの死ぬのを見たくない」と思ったからである。それで、離れてすわったのである。そうして彼女は声をあげて泣いた。

(創21:15-16)

 私たちの聖書にはえにしだの木を灌木と翻訳しています。出エジプト記3章でモーセが経験した、柴が火で燃えていた所の柴はヘブル語で「スネ」と言います。所が創世記21:15の灌木はヘブル語で「シアフ」と言います。これは両方共に意味が違う言葉です。ハガルとイシュマエルがどんなに苦しんだかを現す言葉が、えにしだの木の灌木「シアフ」なのです。

(2)ヨブとえにしだの木(ヨブ30:4)

30:4 彼らはやぶの中のおかひじきを摘み、えにしだの根を彼らの食物とする。

 ヨブ記に出て来る灌木は、えにしだの木を意味しています。えにしだの木は苦難と逆境を現す木です。本来、苦みが強く食される事のないえにしだの根、それを食べたのですから、如何に食べる物がなくて辛かったか、十分に推察する事が出来ます。

(3)エリヤとえにしだの木(Ⅰ王19:5)

19:5 彼がえにしだの木の下で横になって眠っていると、ひとりの御使いが彼にさわって、「起きて、食べなさい」と言った。(Ⅰ王19:5)

 エリヤはバアルとアシェラの預言者たちと、その親玉のイゼベルと戦って勝ったのですが、一夜の内に民が心変わりしたのを見て失望し、ユダに亡命しました。失望したエリヤは荒野に入って死を願いました。その時、エリヤは木陰とは言えない、影としか言えないえにしだの木の下で、横になって眠っていました。エリヤがどれほど辛く苦しく、疲れ果ててしまっていたか、その姿を想像して見る事が出来るでしょう。確かにえにしだの木は、苦しんでいる時、即ち神様に呼び叫んでいる場所に登場する、苦難を象徴する木です。

 神様は疲れ果て失望していたエリヤに御使いを遣わし、さわって按摩までしてあげ、食べ物も提供して、新しい使命のために神の山ホレブに導かれました。

3.悪い隣人を告発(5-7)

120:5 ああ、哀れな私よ。メシェクに寄留し、ケダルの天幕で暮らすとは。

120:6 私は、久しく、平和を憎む者とともに住んでいた。

120:7 私は平和を──、私が話すと、彼らは戦いを望むのだ。

(1)メシェクとは誰か

 メシェクはヤペテの息子の名前です(創10:2)。エゼキエル38:2節を読むと、ロシアに対する言及のように思われます。

38:2 「人の子よ。メシェクとトバルの大首長であるマゴグの地のゴグに顔を向け、彼に預言して、(エゼキエル38:2)

 ユダヤ人たちは1905年以来、ロシアから抜け出すために不断の努力をして来ました。また多くのユダヤ人たちが、以前はロシアと一つであったウクライナに居住しています。現在ウクライナの大統領ゼレンスキー氏も、その根はユダヤ人と伝えられています。

(2)ケダルとは誰か

 ケダルはイシュマエルの息子の名前です(創25:13)。彼らの父祖の母国は現在のサウジ・アラビアでした(ネヘミヤ6:1、イザヤ21:16-17、エレミヤ49:28)。5-7節の御言葉は、自分たちが属していない地に居住するアラビアのモスレムたちに対した、預言的な言及と思われます(創21:10、25:6)。

(3)20世紀になって敵の中に住んでいるイスラエル

 従って5-7の御言葉は、20世紀になって故郷に戻って来たユダヤ人たち、即ち敵の中に住んでいるイスラエルに対しての言及と思われます。

 ユダヤ人たちが住んでいるイスラエルの中には、敵も共に住んでいます。ユダヤ人たちは、メシェクの子孫たちにも憎まれています。ユダヤ人たちは、ケダルの子孫たちにも憎まれています。ユダヤ人たちは、パレスチナの人々にも憎まれています。しかもイスラエルの周囲にはモスレムたちが、ユダヤ人たちを取り囲んでいます。

結論

 詩篇の記者は悪い隣人がいるために嘆いています。過去もそうであったし今もそうなのですが、この先もユダヤ人たちは更に迫害され憎まれる事でしょう。そうであればこそ、彼らが苦しみの中で神様に呼ばわって悔い改め、イエス・キリストを信じて集団的救いを受ける、神様の御業が起きる事になるでしょう。

 更に一歩進んで考えられる事は、霊的イスラエル、即ち教会もやはりサタンに属する者よって、多くの苦難と患難を受ける事になるであろう事です。それ故に聖徒は純金のようになり、イエス様の花嫁となる事でしょう。

(1)偽りのくちびる、欺きの舌とは何を象徴していますか。

(2)えにしだの木はどんな木ですか。

(3)イスラエルの悪い隣人とは誰ですか。