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「第二の家」ブログ|藤沢市の個別指導塾のお話

ランダムの音楽再生が僕に教えてくれたこと

2018.01.18 15:00


「それでは聞いてください。もう知っている人もいると思うけど…アップテンポな新曲です。いくぜ!」


そんな掛け声とともにスローでメロウな古い名曲のバラードが始まった。一瞬「ん?」とはなるが、もう慣れた。


iPhoneのミュージックランダム再生。生徒の皆と同様に、テンションを高めたり通勤や通学を快適にするために、私も音楽のお世話になっている。サザンオールスターズからミスチル、RADWIMPSから洋楽まで、ライブバージョンも入っているから、上記のような現象はよく起こる。


最初のうちはそのあまりのギャップに笑ってしまうことや驚くこともあったが、電車の中でそれをしてしまうと途端に不審者だ。みんなの目が冷たくなる。だから最近はこっそり心の中で笑ったり驚いたりしている。


そうやって周りにバレないようにMCと次の曲のギャップを楽しんでいるうちに、ある気付きが生まれた。もちろん個人差はあるだろうから、冷静に聞いて欲しい。


【予定調和だと聴き逃してしまう音楽も、予想外のことが起きるせいで集中して聴くようになった】


もちろんミュージックアプリには何百回と聴いた大好きな歌ばかり入っているから、何百回聴いた慣れと惰性で、安易に聴き流している曲も結構ある。それが、この予想外が生まれることで集中して耳を傾けるようになるのだ。また「ギャップくるぞ、ギャップくるぞ」と思って聞くことで、実際にはその瞬間が来なくても、音楽に集中することが身をもってわかった。たまのハプニングは、それがあるとわかるだけで、予定調和を崩すのだ。


これが気付き。なんだ、しょうもないと思うだろうか。うん、私だってそう思います。ただ、これって勉強にも活かせるんじゃないか。


今日の朝は納豆を食べた。


例えば、かけ算の計算問題ばかり並んでいるページに、一つ二つ予期せぬ問題を入れてみる。割り算とか四則計算とか。最初のうちはつられて間違える子も、繰り返しそういった計算練習をやるうちに「なんか起こるぞ。予期せぬ事は起こるぞ」と注意深くなるから、結果かけ算の正答率も上がっていく。


ここで磨かれる力に、便宜上【注意力】と名前をつけてみる。注意力は、中学以降のテストや入試のような総合問題においてその真価を発揮する。


実際に、神奈川県の公立高校入試でも、毎年変わらなかった出題傾向が少し変わっただけで平均点が下がったという事例があった。「うーん、何か変わるかもしれないぞ」と注意力を持って準備から本番に臨めば、もしかしたらうまく対処できていたかもしれない。あくまで可能性の話だが。


ドラマ『アンナチュラル』面白い。


そしてもちろん、この注意力は勉強だけでなく、人生においても役に立つ。人生は、いつだって何が起こるかわからない。わずか一分先の未来でも、知ることは誰にとっても不可能だ。世の中は、ランダムばかり。だから、「もしかしたらこういうことが起こるんじゃないか」と準備しておくことは、その時が結果来なかったとしても、快適に暮らす上での重要なファクターになるのではないか。


勉強や人生だけではない。注意力は、恋愛においても役に立つ。皆さんは恋愛の3大ingなるものをご存知だろうか。「フィーリング」「タイミング」「ハプニング」。これが恋を成就させる3つのingということだが、ここにも「ハプニング=予期せぬこと」は含まれている。予定調和の音楽ではなく、意外性のある音楽がかかってきた時、それを恋のチャンスにするには、やっぱり注意力が必要だ。


換気扇の掃除は面倒臭い。


ここで少しだけ話を変えて、「本当はかかるはずだった曲」についても思いを馳せてみよう。それは、ランダム再生の魔力によって「アップテンポな新曲です。いくぜ!」に続くはずだったけれど飛ばされた「アップテンポな新曲」のことだ。


私は実際に流れたスローでメロウなバラードに聴き入りながら、頭のどこかでその「アップテンポな新曲」のことを考える。ほぼ無意識的に。でも、人間の無意識の力はすごいのだ。人は97%の判断を無意識に行うらしい。「本当は流れるはずだった曲」はその無意識の中に入り込んで、生き続ける。


心理学には「ツァイガルニク効果」という変わった名前の人が見つけた効果がある。それは「未完了課題は頭に残りやすい」というものだ。つまり、何かが途中で終わって完了しないままになると、記憶に残り続けやすいということである。


「さぁ、何か曲聞こうかな」というときに、私の中の無意識と記憶が、私自身に語りかける。「おい、お前あの曲聴きたいんじゃないのか。というか、聴くべきじゃないのか」そして私は何の気なしに画面をスライドさせて、その「あの曲」へと辿り着く。そして「お、これ聴きたいな」と再生を押す。そう、本当はいつか訪れるはずだった出会いに、時を越えて、やっと巡り会うのだ。あの「アップテンポな新曲」に。


ここからわかることはつまり、かけ算の中に割り算を入れるとかけ算が余計に恋しくなるということだ。うん、多分そういうことに違いない。


地球と月の距離は384400km。


最後に、稀に私の身に起こる奇跡についても話をしておこうと思う。それは、ふとした時に起こる、注意していなければ何でもない、ほんの小さな小さな奇跡のことだ。


その奇跡は、あたかも平凡な顔をしている。普通にやってくる。私以外の誰も、それが奇跡とは気づかない。今日は特別にみんなにも教えてあげよう。


「それでは聞いてください。もう知っている人もいると思うけど…アップテンポな新曲です。いくぜ!」


その瞬間。ランダムの魔法から解き放たれ、その呪縛に打ち勝ち、元々の並びで、本当にその「アップテンポな新曲」が流れたとき。私は密かに確かな感動を覚えるのだ。誰にもうまく伝えられないけど、私はその奇跡に感謝し、大袈裟なぐらいはしゃぐ(もちろん心の中でね)。誰にも迷惑をかけずテンションが上がるのだからとってもいい。


当たり前が、ランダムによって当たり前でなくなる。そうすれば、今までの当たり前もキラキラ輝いて見える。まるで奇跡のように。


どうかな。これって勉強にも活かせないかな。


さぁ、今日はどんなことが起こるだろう。私は未知なる出会いにワクワクしながら、お気に入りのプレイリストの再生のボタンを押す。生徒たちに会えるワクワク感と、音楽による高揚感と、そんな小さな小さな期待によって後押しをされて、私の足は力強く踏み出される。


そして思っていた位置に段差がなくておっとっとと慌てる。これだから注意力は大切だ。


本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。

併せて、所々に入れた予期せぬハプニング的謎の一文の効果はいかほど?