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色彩

北方線役〜重なる影〜

2022.08.14 01:55

「ヴァン・アークライド?」

「そ。なんかあったらリィンも頼るといいよ。」

そう言ってザイファに連絡してきたのはかつて死戦を共にぐぐり抜けた戦友で今はA級遊撃士に昇格されるとも噂されている銀髪の髪の女性だ。最近20歳なったばっかりで

(成長したな…)

としみじみと思っていたら、

「む。リィン、今、子ども扱いした?」

ザイファ越しでもジト目が想像出来そうだ。

(…みんなにまた会いたいな…)

「そういえばリィン、ザイファに変えたんだね?」

「ああ。自分も前のままで良かったんだが、レクターさんがいきなりきてー。」


「元気にやっているか〜!少年!」

「もう成人しているんですが。」

「そうだけっか?いや〜。歳をとったもんで最近物忘れが激しくてな…」

「白々しすぎる…」

「まだ最新式じゃないのかよ?遅れてんな〜。変えといてやるよ。」

「…いいです。今のままで…いつの間に!?」

「隙がありすぎるぜ。」

「レクターさん…」

思わずジト目をでレクターを睨むリィン。

「そう睨むなよ。今までの詫びだ。素直に受け取ってくれ。」

そう言うレクターの言葉は今までのリィンの仕打ちに対しての言葉だろう。だが、そう簡単に受け取れない。

「もう過ぎた事ですし、今も償って貰っている最中なのでいいです。」

それでも引き下がらないレクター。

「あの人の代わりにって言ったら、受け取ってくれるか?」

あの人といったらリィンの父でもある鉄血宰相ギリアス・オズボーンの事でもあるのだろう。

「…そんな事、言われたら断れないじゃないですか…」

本当に鉄血の子供達は義理堅い。

「じゃあな⭐︎大事に使えよ、リィン。」

最後にあまり重い雰囲気にならない様に出ていった。

「ザイファを渡す為だけに、忙しい時間を抜け出してきたのか…本当に義理堅いな…鉄血の子供達は…」

ギリアス父さん…貴方が育てたものは今も大事に育っているよ。 


「そんな事があったんだ。焦るリィンが見たかったから行けばよかったかも。」

「よしてくれ…」

「さっきヴァンの名前出したら、知ってそうな反応してたね。知り合い?」

「ああ…北方線役で知り合ったんだ…」

「北方線役で…」

フィーは複雑そうな声を出す。当たり前だろう。リィンが北方線役で沢山傷付いたのを知っているから。だからリィンは安心させる様に言う。

「フィーが心配する様な出来事はないさ。むしろ命を助けられたんだ。」

「命を?」

そうして、フィーにヴァンと出会った時の出来事を話してやる事にした。


リィンは戦火の中を駆ける。リィンの監視役である少女とは途中で別れた。

「…1人では危険です。」

「1人でも救えるかも知れない。アルティナは右、俺は左を見回るとしよう。」

アルティナは何か言いたそうだったが

「…なんでもありません。リィンさんもお気を付けて。」 

「ああ!アルティナも!」

リィンも心の何処かでは分かっていたのかも知れない。助かる人などほぼいない事に。

何処を見ても怪我人や死体だらけだった。銃口の音、機甲兵の音、見慣れた血の色。いくら頑張っても助かる人はいないかも知れない。それでもリィンは足掻きたかった。

「…うぅ…痛えよ…」

(人の声!)

リィンはすぐに駆けつけた。だが、リィンはすぐに絶望する事になる。

何故ならその声がした人は手足がない。リィンを見つけて声をかけてくる。

「…なぁ…あんた…俺の足知らねーか…?」

「…さっきから痛くてよお…手も何か動かねーし…」

リィンは上手く喋る事ができず

「…う…ぁ…」

っと言う事しか出来ない。

「…何か兄ちゃん…見たこと…ある…」

すると次の瞬間

「…あぁぁぁぁぁ…!!」

と言う絶叫をあげて息絶えた。

リィンは呆然とし、

「あぁぁぁぁぁ…!!」

助けられなかった悔しさに叫んだ。

(分かっていたはずだろう…!この戦に参加した時点で…!こうなるのは…!学生の頃とは違う…!力の責任が…気持ちのもち方が…違う…!分かっていたはずなのに…!!)

学生の頃は周りに守ってもらっていた。だが、今は違う。責任がある大人だ。力を持った上で責任を持って行動するという事はどういう事か理解した。

(…こんなに重いのか…足が1歩も動かない…!)

そんな時に子供の声がした。

(…!!)

「わぁん~!おにいちゃん、どこぉ…?」

その泣き続ける姿が妹のエリゼに被ってみえた瞬間にその悪魔はきた。人に似ているけど人ではない存在、機甲兵である。

「オイ?なんだ?このガキ?邪魔だな…」

「まあ、殺しても大丈夫だろう。こんだけ人が死んでいるんだしな…!」

ガハハッと下卑た笑い声が機甲兵から聞こえてくる。

「おにいちゃん…どこ…?」

「ん?お兄ちゃん?」

「ああ。さっきのガキの妹か。」

「え?」

「ほぅら〜!おにいちゃんでちゅよ〜!!」それは腕だった。だが、少女の服と同じで兄妹だと分かった。

「…お…に…い..ちゃ…ん…」

少女の顔がどんどん絶望に変わる。「地獄で会わせてやるよ!」

まずい!とリィンは思った。リィンの相棒であるヴァリマールを呼ぼうと思ったが、

(…いや!機動に時間がかかる!どこまで通じるかわからないが太刀で応戦して…!たとえ自分の身が粉々になろうがあの子だけは助ける!)

リィン1人に対して機甲兵は2体。粉々になるのは目に見えているだろう。それでもリィンは止まらなかった。

「うぉぉぉぉ…!!間に合え…!」

少女を乱暴に退かした。少女は助かったが、リィンは助からない。しかし、リィンは笑っていた。       

「良かった。1人は助けられたな…」

粉々になると覚悟した瞬間である。機甲兵の関節部分に剣に似たけれど違う何かが差し込まれて機甲兵は、くの字に折れる。

「ガァぁぁ…!!」

そこにいたのは、黒髪に蒼のメッシュが特徴的な青年だった。

「大丈夫か?いや〜。灰色の騎士サマも無理するねぇ。」

いきなり現れた上に無視されたのが気に食わなかったらしい。

「何だ!お前!」

「名乗る程のモンじゃねぇ。」

「なら、死ね!」

彼は見た事もない戦術オーブメントを出していた。

「ザイファのテストねぇ…丁度いいからやってみるか。」

「シャドー展開!」

の声と共に謎の空間が展開された。

「な…なんだよ!これ!」

「分からないが、先に殺ちまえばいいだろうが!」

2人謎の空間にびびって困惑してる。ヴァンはリィンに小さな声で 

「俺が少しの間時間を稼いでやる。だから、アイツらが俺に目が行っている間お前の相棒を此処に呼んでくれ。」

「!!分かりました!」

2体の機甲兵は警戒して中々来ない。

「来ないなら、こっちから攻撃させて貰うぜ?」

剣に似た武器、撃剣で攻撃する。

「ハッ!んなもん効くかよ!」

勿論普通なら聞かない。だがヴァンが攻撃したのは先制シャドーアタック。だからこそ特別な攻撃が効く。

「な!?体が上手く動かない…!?」

「俺もだ!クソッ!」

「いや〜ここまで嵌ってくれると気持ちいいねぇ」

「何をした!?」

「別に?戦術オーブメントの機能だけど。」そうテスト段階の戦術オーブメント〈Xipha〉の機能で相手をスロウ状態にするものがある。その戦術に見事に嵌ったのである。

「嘘をつけ!こんな戦術オーブメントの機能知らないぞ!」

「クッソ!どうやったら、抜け出せるんだよ!」

「…なあ、何で俺がここまで無駄話したと思う?」

「はぁ?」

「オイ!もう1人のガキがいないぞ!」

すると2人の後ろからドスンっと言う音がした。2人が恐る恐る振り返るとそこには絵本に出てきそうな騎士の様な見た目の人とは違う生物がいた。

「は、灰色の騎士!?」

「ウソだろ!?オイ!?」

「こんな辺境の町に?好きに暴れられると思ったのに!」

「…好きに暴れすぎたな。」

灰色の騎士が動き2体の機甲兵の武器を壊す。

 「…ころさないでくれぇ…」

(勝手な事を…あんたが殺した子供だって同じことを思って…!)

自分は酷い顔をしていたのだろう。

「まぁ、落ち着けよ。後の事は総司令殿に任せようぜ。まあ、勝手な行動をしたコイツらはどうなるか分からんが。」

「ひぃ…!」


その後やってきた鉄道憲兵隊によって引き取られた。

「シュバルツァー」

凛とした声がしたと思い後ろを振り向くとそこにはプラチナブロンドの髪色をした総司令が立ったいた。

「ご苦労だったな。そちらの彼は?」

「助けて貰ったんです。」

「あー。あまり詮索しないで貰うと。」

「ではそうしよう。何やら後ろ暗い事があるみたいだが、邪魔にはならないみたいだからな。むしろシュバルツァーを助けて貰った事を感謝しよう。」

「話が分かる方のようで。」

「…オーレリア将軍。」

「何だ。ここではオーレリア司令官と呼ぶべきだと思うが君との仲だ。特別に許そう。」

「…今回一般市民を殺していたのは、オーレリア将軍の配下の方でした。無血開城を望んでいるのに、死体が多かったりしたのは今回みたいな部下の暴走のせいで…」

「そうだ。」

「っっ!!」

「部下には色々なタイプがあってね。貴族の血しか認めない者、無血開城を望んでない者」

「…そんな人たちが集まって離反を起こして勝手に行動したんですか…」

「そうだ。」

「いるって分かっているならどうして止めないんですか!今回みたいな悲劇は防げたかも知れない!」

「止めたところでどうする?大元を正さない限り無限に湧いてくるぞ。」

「…それって…」

「気が付いたか。シュバルツァー。私の下についている部下全員が選民思想なんだよ。馬鹿な考えだ。」

吐き捨てる様に言った。選民思考だから、貴族じゃないからノーザンブリアの住民を殺せた。平民だから。馬鹿げてる。

「…でもこれだけの騒ぎがあったんです。政府だって…」

「言うと思ったか?だが政府は何も言ってきてないさ。」

「な…!?どうして!これだけの事があったのに!」

「政府としては、ノーザンブリアを最終的を併合できればいい。そこに過程は関係ないさ。」

「…併合されても、人を殺しまくったのは変わらない…」

「勝った方が正義で、悪いところも正当化される。英雄の話がいい例だな。民主は英雄の良い所しか知らないだろう?血みどろの歴史も目的ために手段を選ばなかったり。だから、ノーザンブリア併合は最終的に悪い所も正当化されるだろう。」

「…そんなのって…」

「まだまだ青いな。シュバルツァー。納得がいかないと言うなら力を付けろ。ノーザンブリア併合の悪い部分から目を背けるな。そして力を付けたらシュバルツァー、お前がノーザンブリアの真実を民主に伝えるのだ。」

「出来るのでしょうか…」

「お前はノーザンブリアを救えなかったのを後悔してる。なら、後は行動するだけだ。」

「そう、ですね。今は力が足りないけど力をつけてノーザンブリアの真実を必ず伝えます。」真剣な顔でオーレリアを見つめる。

「よろしい。ならお前を英雄にしてやろう。」

「英雄って大袈裟な…」

「…それだけノーザンブリアの真実を伝えるのは困難だという事だ…覚悟はいいか?」

「勿論。末永く宜しくお願いします。」

「でも、英雄にするってどうするんですか?」

「何。いくつかプランは考えているさ。安心するといい。」

この人のプランは安心出来ない。そう心から思った。


「英雄になるねぇ。いや〜遠い道のりだ。」

「自分でもそう思います。でも、やり遂げるって決めましたから。」

「あんま無理すんなよ」

そう言ってヴァンは、リィンの頭をポンポンと軽く叩いた。その瞬間ヴァンはもう会えない1つ上のチャランポンな先輩を思い出して思わず

「クロウ…」

と呟いてしまった。

「ん?」

リィンは慌てて

「な、なんでもありません。」

と取り繕った。

(何で…この人に…クロウを重ねるんだ…そうか…似ているんだ…さり気ない気遣いとか… 心の中に踏む込ませない所が…似ている分しんどいな…)

その後様々事があり、リィンは寝込む羽目になりヴァンに御礼もう言えなかった。

(御礼言えなかったな。今度あったらきちんと言おう。)


「ふーん。そんな事があったんだ。」

「ああ。彼には感謝しても仕切れないよ。」

「リィン。また、自分の命無駄にしようしたんだ。」

「ゔ。」

電話からも分かるぐらいの圧。

「今の話、Ⅶ組と新Ⅶ組の皆にもはなそう。」

「べ、別に話さなくても…」

リィンは慌てる。この話を聞いたら皆から説教コースだからである。

「や。リィンには反省して貰う。」

「そんな…」

「あ。そだ。」

思い出した様に

「リィンはヴァンのことクロウぽいって言っていたけど私は逆。リィンぽいって思った。」

どこら辺がだろうか。それてとなく聞いてみたら、

「自分を犠牲にするとこ、自己否定が激しいところ」

「…」

リィンはクロウに似ていると思ったが、実は逆だったのか。リィンは自分のやるべき事をみつけた。ヴァンはどうだろう。自分に似ていると言う彼が道を見つけられるように心から願った。


「遅いぞ!シュバルツァー!」

「すいません!オーレリア師匠!」

自分は英雄になると決めた。しかし、力が足りない。そこでオーレリアと一緒に困っている国を巡り力をつけることを決めたのだ。  

(これが俺の道だ。色々周り道したけど、たどり着いた…この先にノーザンブリアを救う方法がある。いや、救ってみせる!)

こうして真の英雄が誕生した。