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色彩

そこも含めて 貴方だから。

2022.08.14 02:45

アルベールは、張り切っていた。何故ならアニエスが結婚するからである。  

(場所とプランを完璧に練らなければ…!)

しかし、その思いも呆気なく粉砕される事になる。ある一国の公太子によって。


公太子がアルベール達の前に現れる15分前。

「アニエスが結婚するなら場所は広い場所がいいな…オラシオンとか?プランはどうするか…。」

「わーあ。

アルベールの顔がガチすぎる…。」

「クスクス。しょうがないわよ。大好きなアニエスの結婚式だもね♪」

「せ、先輩!だ、大好きって誤解を招く言い方は止めて下さい!ち、違います!今は友人としてですね!」

「どうかしら?」

「先輩、分かっててからかっていますよね!?」

アラミス生徒会メンバーは相変わらず仲がいい。卒業後もこうして頻繁に集まる事が多いのだから。

「っていうか前も思っていたんだけど、いつアニエスの思いを振り切ったの?」

「オデット?僕がアニエスが好きだった事前提で話を進めないでくれないか?」

「だって?ねぇ?」

レンと目配せをする。

「あんな、分かりやすい反応ないと思うわ。面白かったから良いけど♪」

がっくしと肩を落とすアルベール。

「…いいです…もう…。」

「あら。」

「拗ねちゃったか。」

そんな反応を見せながらアルベールは、アニエスに振られた日を思い出す。


アラミス卒業式の2日前アルベールは、アニエスを校舎裏に呼び出していた。

「時間ピッタリだな。」

あいからわずまめな彼女に苦笑してしまう。

「だって、遅れたら失礼でしょ?ヴァンさんじゃあるまいし。」

アニエスは無意識に名前を出している事に気が付いているだろうか。彼女の心の大半をしめるヴァンという人物。彼女はいつも気が付いたら名前を出していて今回もそうだった。

「…勝ち目、ゼロじゃないか…でも、しょうがないか…あの男だもんな…。」

アルベールは告白する前から振られる事を覚悟していた。でもしょうがないとも思う。自分が認めた男だから。

「アルベール?どうしたの?」

アルベールは覚悟を決めて告白する。

「アニエス、好きだ。付き合ってくれ。」

「アルベール…気持ちは嬉しい。でも、そばでずっと支えてあげたい人がいるの。だからごめんなさい。」

本当に申し訳なさそうに謝ってきた。

(…アニエス、君が謝る必要はない。心から好きになる人に会えて良かったな…。)

心からそう思った。

最後にアルベールはアニエスに聞いてみる。

「なぁ、もし、もしもだぞ。先に告白していたら僕と付き合っていたか…?」

アニエスは良く考えた末に答えた。

「…アルベール。実は私ヴァンさん以外を好きになって付き合う未来を想像した事があるんです。でも、ダメだった。どんなに想像してもあの人以外に好きになって付き合う未来が想像出来ないの。多分、私はどんな出逢い方をしてもヴァンさんを好きになる。そして、愛しちゃう。」

叶わない。絶対に。そう思いアルベールは

「アニエス、僕の告白を真剣に聞いてくれてありがとう。」

「振ったのに?」

「ああ。何かすがすがしい気持ちだ。さあ、帰ろう。」

「そうだね。」

こうしてアルベールの恋は終わったのであった。


「…ベール、アルベール!」

名前を呼ばれている事に気がついて

ハッとする。

「そ、そんなに呼ばなくても大丈夫だ。」

「なーに、ぼっーとしていたのさ。

あ!もしかして、アニエスに振られたときの事思い出していたとか!」

「そ、そんな訳ないだろ!」

「図星かぁ〜。」

ぐぐっと悔しそうな顔をするアルベール。そんな2人を

「平和ねぇ」

と微笑ましそうに見ていたレンに後ろから声を掛ける人物がいた。

「あいからわず、仲がよろしい様だ。」

褐色の肌に高貴な立ち振る舞い、側には凛とした美しい女性が控えていた。

「シ…シェリド公太子!?どうしてここに!?帰ったのでは!?」

驚きすぎて一瞬挙動不審になるアルベール。

「わー。びっくりだね〜!久しぶりです!」

「ああ。久しぶりだな。帰ってきたのは理由があってね。」

「ヴァン君が結婚式を挙げるそうじゃないか。協力しようと思ってね!」

嫌な予感がする。

「結婚式上を提供しよう。」

「…場所は?」

ジェリド公太子が指をパチンっと鳴らすと空に飛行船が浮いていた。

「…..なぁぁぁ!?」

「最近完成したハルワタートII号だ。以前より速度、乗れる人数が増えてね。ピッタリだろ?それにハルワタートII号の完成お披露目が出来る。」

「完成お披露目って今、見られていると思うのですが…。」

「人避けはしといたからな。マスコミに付けられていたが、ナージェが全員寝かしてくれてね。」

「恐縮です。」

(…倒したの間違いでは?)

「それでも見られる事はあるのでは…?」

公太子が指をパチンっと鳴らすとハルワタートII号は消えた。

「勿論、ステルス機能搭載付きさ!」

「あいからず、面白い公太子さんねぇ」

こうして公太子によってアルベールの計画は木端微塵に壊された。哀れなアルベール。

「しょうがないよ。相手が悪かったって!」

「ぐぬぬ…せめて祝いの言葉だけは最高のを贈ってやる!」

アルベールの悲鳴の様な叫びが空にこだました。


ヴァンは4spgの仕事を終えて、甘い物が欲しくなって

「…アニエスに作ってもらうか…。」

そんな事を思った。最近は、甘い物が欲しくなったらアニエスに作って貰うのが日課だ。自分でもアニエスに甘えている自覚はあるがしょうがない。甘えたくてしょうがないのだ。そんな事を思っていたら後ろから

「ヴァンさん。」

と呼びかけられ振り返ると褐色の肌に髪をひとつ結びにした少女に呼び止められた。

「サァラ。お前がこっちにいるなんて珍しいな。」

「お仕事でこっちにくる用事があって…ヴァンさん、お久しぶりです。」

「ああ…久しぶりだな。」

何となく重たい空気を感じて上手く喋る事が出来ない。

「ヴァンさん、結婚するそうですね?アニエスさんと。」

「なんで知ってんだよ…。」

「ゴッチ監督が言って今いました。それでヴァンさんに話したい事があって…じゃないと一生、モヤモヤを抱えて生きていくので。」

「…分かった。話してみろ。」

何となくヴァンはこれから話される話が結婚に関する話だと察した。

「…ヴァンさん、初めて会ったときの事覚えていますか?」

「…サルバットだろ。観光客に絡まれていてそれで助けた。」

「はい。そうです。借金を返す為、夜の仕事をしていて…でも妹には黙っていてくれて、迷っている時にアドバイスをくれて…ヴァンさん…そんな貴方だから好きになってしまった。」

切なそうな顔を浮かべてサァラはヴァンに告白した。決して報われないと知りながら。

「…すまねぇな。俺は今、世界で一番愛している女がいる。だからその思いには答えられない。」

自分がどれだけ残酷な事を言っているか分かっていたがそう答えた。サァラは泣きそうな顔をしたが堪えて、

「分かっています。ヴァンさんが私を選ばないのは。それでも言っておきたかった。言わなかったら死ぬ時に後悔するから。」 

「…こんな俺を好きになってくれてありがとうな。」

「そんな事ないです。私、ヴァンさんを好きになった事後悔しません。」

強い少女だと思った。いや、この少女は初めから強い。妹のために身体を張れる少女だからだ。

「ヴァンさん、もし最初に出会ったのがアニエスさんではなく私だったら私を好きになりましたか?」

この後に言う言葉何て残酷で、酷いやつと思いながら嘘は付けなかった。ヴァンは、嘘ばかり付くがアニエスの想いだけは嘘は付きたくなかった。だからどんなに残酷だろうがその言葉を言う。

「…ごめんな。どれだけ想像してもアニエス以外を好きになる未来が想像出来ない。場所、時間が違っても俺は…アニエスを好きになるし、愛すだろう。」

言葉違うが、アニエスと似たような事を言って悲しく微笑んだ。そんな姿を見てサァラは悲しく笑った。  

(…悔しいな…でもとっても眩しいな…目が霞むぐらい…。)

サァラは下を向いて俯いてから、顔をヴァンにしっかり向けて、

「結婚おめでとうございます。ヴァンさん!これからの幸せを願っています!」

そう言ってヴァンと逆方向に走り出した。その時ヴァンはサァラの目元に滴が垂れているのを見た。

(…分かっていた。誰か1人を選ぶって事はこう言う事だ。俺はアニエスを選んだ。…想像より重いな…。)

ヴァンは知り合いを傷付けた事で気が沈んでいた。それが良くなかったのか。

頭に声が響く。

(ナラソノ躰ヲヨコシテモラウ)

人とは違う声。でも自分は知っている!何故なら子供頃からこの声にうなされていた!

「お前!」

(ネムッテイロ。何モシンパイナイ。モトモトコノ躰ハ我ノモノタメ)

「ふざけっ!」

ヴァンはそう叫ぶがどんどん意識は黒く塗り潰されていく。そしてヴァンは深淵に落ちていく。

「…アニエス…」


こうしてヴァンの身体は魔王に完全に乗っ取られてた。

「ふむ。これが抜け殻の躰か。なんとも貧相のものよ。」

魔王はヴァンが意識を失う前に言っていた言葉が何となく気になった。

「確か、アニエスとか言ったな。会ってみるか、抜け殻がこここまで執着する存在に興味が湧いてきたわ。」

魔王はそのままアークライド解決事務所に向かう。

(我の普段の口調だとバレる可能性が高いな。アニエスと言う存在を観察するにはバレるのは不味いな。抜け殻の普段通りの口調を真似してみるか。)

そう言うと魔王は深淵に眠っているヴァンの記憶を引っ張っ出してみる。

(なるほど…口調…行動パターンが大体分かってぞ。まあ、これならバレる事はないだろう。)

魔王はアークライド解決事務所の扉を開けて事務所に入る。

「今、戻ったぞ。アニエス。」

「あ。ヴァンさ…。」

と言いかけてアニエスは止まった。

「どうかしたか?アニエス?」

「….誰ですか…貴方…。」

魔王は関心した。一瞬で魔王とヴァンの違いを見分けた事に。それでも白々しく演技をする。

「どうしたんだよ?アニエス。顔が怖いぞ?」

「…ッ!ヴァンさんの声で!ヴァンさんを真似しないで!」

咄嗟に魔王に導力杖を向ける。魔王はため息をついて、

「…潮時か…」

そう呟いた。

「小娘。誰に向けて武器を向けている。」

その言葉だけでアニエスは冷や汗が止まらなかった。

「だか、赦そう。抜け殻と我を一瞬で見分けたのは見事であったぞ」

抜け殻。きっとヴァンさんの事だ。

許せない!

「…ヴァンさんは、抜け殻なんかじゃない!」

そう叫んだが、

「小娘、1度目の無礼は赦したが、2度の無礼は赦さぬ」

そう言われるとソファーに押し倒押された。いつもの優しい目ではなく冷たい目で見られいるのが怖くて

「…イヤ…!」

ヴァンを拒絶してしまう。

アニエスはショックだった。

本当は臆病で。

怖がりで。

優しい人。 

(…でも、私が今した行動は何?ヴァンさんを拒絶するっていう最低の行動。あの人は拒絶されるのが何より怖いのに!)

今の自分は冷静じゃない。目の前の人物はヴァンじゃないと決めつけて行動していた。視野が狭くなっていた。こういう時こそ冷静に行動しなくては。

(ふむ…?先程までとは違うな。冷静に考えて行動している。成る程。面白い…)

「ヴァンさん。」

「我は魔王だ」

「いいえ。貴方はヴァンさんです。」

「何処がだ!」

「貴方は昔からヴァンさんと一緒にいたんです。だから、私は貴方を否定出来ない。貴方を否定する事はヴァンさんを否定する事だから。」

「どう事だ?小娘?」

「力の一部もその人の一部なんです。魔王っていう力はヴァンさんの力の一部です。だから貴方を受け入れます。」

魔王は思った。この小娘を生かしておけば後々面倒な事になりかねないと。だから殺そうとした。だが殺せなかった。

「な、何故….あり得ぬ….!深淵に奴は沈んだ筈だぞ…!」

(よお。)

「なぜ!お前が浮上するなどありえぬ!」

(俺もビックリだよ。けど、アニエスの声が聞こえてきた!なら足掻かない訳にはいかないだろう!?)

「あり得ぬ!あり得ぬ!」

(暫く眠っていて貰うぜ!)

「おのれぇぇ!!」

こうして世界は反転する。


「…さん、ヴァンさん!」

ハッと目を醒ますと自分は床に倒れており、心配そうに見つめるアニエスがいた。だからアニエス言う。

「…ただいま。」

「…!!はい!お帰りなさい!ヴァンさん!」


ヴァンとアニエスは空を飛んでいた。何故なら結婚式の会場がハルワタートII号だからだ。

「いや…話聞いた時は嘘だろって思ったけどマジか…。」

「あはは…、規模が違いますね…でも…この飛行船はエプスタインの技術が使われていて…曽祖父を感じられて嬉しいです。」 

「良かったな。」

「はい!」 

「…これからいろんな奴に囲まれて言う機会がないから今のうちに言っておく。ウェディングドレス似合っている。」

「ふふ。ありがとうございます。ヴァンさんも似合っていますよ。」

「アニエスからの言葉が何より嬉しい。」

「私もです。」


こうして式は賑やかに進行していく。

アルベールが最高のお祝いの言葉を言おうとしていたのだが、

「アニエス、君はあった時から!」

「はーい!長くなりそうなのでカットで!」

「オデット!?」

「カンパイー!」

「オイ!」

こんな感じてぐだぐだである。でもその様子を見てヴァン達は、

「なんか俺らぽいな」

「ですね。」

そう言って笑いあった。

アークライド解決事務所の皆がヴァン達を呼んだ。

「似合っています!アニエスさん!」

「ありがとう。フェリちゃん。」

「しっかし、逆にテメェはしっくりこねぇなぁ。」

「シバくぞ。ガキ」

「ハァ〜まさか先を超されちゃうなんてね。」

「え?結婚願望あるの?てっきり仕事が恋人タイプかと思った。」

「私だって結婚は先でいいのよ?ただ最近ママがしつこいのよね。

相手はいるかって…。」

「前も言ってなかったけ?」

「ふふ。遂に其方も結婚か。感慨深いものよ」

「俺も自分で驚いています。」

「アニエス。ヴァンを頼んだぞ。コイツは中々根っこの部分が…。」

「あー!恥ずかしいからやめて下さい!」

アニエスは楽しげに

「任されました。」

「これからも契約は継続で宜しくお願いします。」

「ああ。よろしくな。」

「ただ、2人っきりの時間を楽しみたいのならば事前におっしゃって頂ければ…。」

「そういう気遣いいらねーから!!」

アニエスは楽しくなってしまう。アークライド解決事務所はやはりこうでなくては。

「そうだ。皆様、せっかくだから全員で集合写真を撮りませんか?」

「いいじゃねーか。」

「賛成です!」

「ま、賛成かな。」

「いいんじゃない?ベストポジションは譲らないわよ!」

「若い者に混ざるのは、少しばかり気が引けるが今日は無礼講。混ざらせて貰おう」

「…。」

「ヴァンさん?」

「…写真って怖いんだよ。物として残るからな。もし無くなったら…辛いだろ?」

全員がまーたはじまったと言う顔で見ている。

「…なんだ。その顔…。」

「いや〜また、オッサンの悪い癖が出たなと思ってね。」

「もう!ヴァンさん!いいから撮りますよ!」

アニエスに無理矢理引っ張られる。

「オイ…!アニエス…!」

「…失ったりなんかしません。私が、私たちがさせませんから。無くなったって言うなら取り戻すの手伝うのでヴァンさんは何も心配しないで下さい。」

そんなアニエスの力強い言葉を聞いてヴァンは安心してアニエスの手を握った。アニエスは力強く賑り返してくれた。

「写真は誰かにとってもらうか?」

「うーん。」

「あ、アニエス達写真撮ろうとしているずる〜い!」

「オデットも写る?」

「いいの?そだ!おーいアルベール、レン先輩!」

「写真?まぁ、いいだろう。」

「楽しそうね♪」

「あの、私達も入れて貰いませんか?」

「サァラ…。」

「あの…ヴァンさん…私を振ったことを後悔しないで下さい。それだけ真剣に考えてくれたってことでしょう?」

「…サァラ姉のこと振ったの納得してないけど、サァラ姉が許しているからね!許すよ!めちゃくちゃ幸せにならないとダメだからね!」

「…シャヒーナ。」

「ヴァンさん、私ヴァンさんが振った事後悔するぐらい強くなります。」

「フッ。やっぱつえーな。」

「ふふっ。」

そんな2人をみて暗黒オーラを出している人物が1人。

「むー!!」

「アニエス?」

「なんでもありません!」

顔をぷいっと背けてしまう。

「アイツの鈍さは、相当だな…。」

「アニエスちゃんが苦労しそうだわ…。」


他にも写真に写りたい者が続々と集まった。

「これ全員写るの難しいくねーか?」

「いたっ!誰だ!僕の足を踏んだのは!」

「アーロンさん、もっと屈んで下さい。でか過ぎて後ろの人が映らないです。」

「ああん!?」

騒がしい、賑やかすぎる。だがヴァンは自然と笑っていた。アニエスもそんなヴァンをみて笑っていた。

ザイファには人が押さなくても写真を撮ってくれる機能があるらしい。

「これでいいのか?」

どうやらタイマーが押されていたらしい。「オイ!はやく戻れ!」

「わってるよ!」

「ヴァンさん〜はやく!」

「頑張って下さい!」

皆で笑いあう。流石に間に合わないと思ったがアニエスが手を引いてくれたおかげで間に合う。 

(…いつもこいつに手を引いてもらっているな。)

でもそのおかげで道に迷わずここまでやってこれた。これからも道に迷うけどアニエスと一緒ならきっとー。 


結婚式から1週間、写真が送られてきた。

「やばいだろ…これ…。」

皆が入ろうとした為みちみちでカオスだ。でも、なんだか心が温かくなった。

「…ヴァンさん、写真は今でも怖いですか?」

「ああ。怖いな。俺の中にいるアイツが全部壊していきそうで…、そう思うと無くなっときがつらいな。」

「ヴァンさんの魔王は、ヴァンさんの一部でなくす事ができません。でも重さは軽く出来ると思うんです。」

「え?」

「ヴァンさんが1人で背負う必要は有りません。私にも背負わせて下さい。」

「…でも重いぞ?」

「それも含めてヴァンさんですから。魔王のこともヴァンさんの一部として受け入れて乗り越えていきたいです。」

彼女は世界を滅ぼすかもしれない力を一緒に背負うと言っているのだ。ヴァンの一部として受け入れた上で。

良いのだろうか。彼女に甘えて。

「もし、背負わせないつもりでも勝手に背負うのでよろしくお願いしますね?」

彼女は困った様に言った。

気がついたら彼女を抱きしめていた。自分は子供頃から諦めていた。魔王の力があるから。魔王の力の事も言えなかった。こんな恐ろしい力を誰が受け入れてくれるのだろうか。だが、アニエスは受け入れくれた。それがどうしようもなく嬉しくて彼女を失いたくないと思った。


別の日にアニエスと一緒にオラシオンの孤児院を訪れていた。アニエスは子供達と遊んでおり、ヴァンはアローナ院長と会話する機会があった。

「アニエスさんとはどういう関係なの?」

「妻です。」

「そうだったの。いつ頃結婚したの?」

「最近です。…今では絶対に失いたくない存在です。」

そ言うヴァンをみて心から愛する人に逢えたと思い、そしてその事実にアローナ院長は安心するのであった。