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色彩

イースIX〜とある錬金術師と聖女の話〜

2022.08.14 01:41

…目的は果たした。後は朽ちるだけ。

そう思っていたのだが。

「何を驚いた顔をしている?ゾラ。」

こっちが聞きたい、貴方は何をしているんだ。

役目から解放されたと言うのに、こんな場所に来て。

「ん?何故かと言うと、私がやりたい事だからだが?」

貴方と言う人は…、本当に困った人だ。

誰かの為に尽くす、やらかした自分にも尽くそうとするんだから。

…貴方は、人に尽くしすぎだ。これからは自分の為に生きて欲しい。そう思って追い出す事にした。

「…出って行って下さい、ロスヴィータ。迷惑だ。」

それだけ言って、無理矢理扉を閉めた。

…これでいい、あの人は幸せになれる。

自分の事だけを考えて、生きて欲しい。

「やぁ!ゾラ!いい天気…。」

扉を閉めようとしたが、ロスヴィータは扉の間に手を入れて無理矢理こじ開けた。

もう老体だ、何かをする元気もない。

小さく文句だけを言ってやった。

「…扉を無理矢理開けるとか、無茶苦茶ですよ。」

「何、昔からだろう?その度について来てくれたな。」

…そうだ、この人は昔からめちゃくちゃで無茶ばかりして、だから力になりたかった。

「…それが仕事ですから。」

「だとしてもだ、私は嬉しかったぞ。ゾラ。」

あの時と変わらない陽だまりの様な、見ていて眩しい笑顔を向けられて思わず目を背けた。

…眩しすぎて目を向けられないな、やはりこの人の側に自分は相応しくない。自分は、罪を重ね過ぎた。

「何を暗い顔をしている!笑え!」

「…無理、ですよ。」

「…そうか、私がそうさせたのだな。」

「いいえ!貴方の所為では…!!」

見上げてハッとした。ロスヴィータがニンマリと笑っている事に。

「…嵌めましたね。」

「こっちを見ないからな。」

「それは、失礼しました。」

「まぁいい。」

ロスヴィータは、清々しい顔で語り始めた。

「アドル達が宿命を解いてくれたおかげで、自由になれた。…自分のことに向き合う時間も必要と言われてな。」

それはそうだろ。ロスヴィータは、心が凍る程に長い間戦い続けていたのだ。時間が必要だろう。

「自分が何をしたいか、考えていたらゾラの事が思い浮かんでな。」

「えっ?」

「どうやら私は、自分ではどうしようもないぐらい愚からしい。…罪を犯した者を支えたいと思っているのだからな。」

この人は、何処まで愚かなんだ。…でも、その在り方が美しい。だから、守りたかった。

「…救いようが、無いですね。」

「ああ、無いとも。…だがこれが私がやりたい事だ。」

「なら、付き合いますよ。…地獄の底までね。」

そう言って、笑った。自分はどんな顔をしていたのだろうか。

「フッ。今の顔、昔みたいだったぞ。」

「昔みたいとは?」

「私の後をついて来る少年の様な顔って事さ。」

「…全く、貴方には敵わない。」

心からそう思った。