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色彩

FE 風花雪月〜近づく距離〜

2022.08.14 02:01

シルヴァン=ジョゼ=ゴーティエは、いつもの様に女性をナンパしていた。  

「お茶でもどう?」

だが、華麗に断られた。

(…今日の戦果は、正直微妙だな…。) 

 シルヴァンは、女性に対して本気ではない。今回も暇潰しとしてナンパをしていたのだが、見知った顔を見つける。彼女は最近赴任した新米教師で、元々は傭兵だった。何故かシルヴァンの心を騒つかせる存在。無視しても良いのだが、なんとなく声をかけた。

「せん〜せい。」

「シルヴァンか。何か様?」

冷たくあしらうべレス。

「ひっどいな〜、お茶でもどうです?

先生。」

だがべレスは警戒して

「この前、憎らしいとか言ってなかった?」そんなべレスに対して

「…やっだな〜この前、冗談って言ったじゃないですか。」 

「そんな風に見えなかった。」

この眼だ。この眼がシルヴァンの心をざわつかせる。しかし、すぐに取り繕って

「…落ち込むな〜、先生に言われると。」

思ってもないことを口にする。べレスはシルヴァンに対して

「今は忙しいから無理だ、それにー。」

「それに?」

「君とは、死んでもお茶をしない。」

そう言ってシルヴァンの横を過ぎていった。

「…本当に、憎らしいですね、先生。」


雨が降っていた。シルヴァンはなんとなく外をみていたら、べレスが雨の中突っ立てるのが見えた。シルヴァンは驚きのあまり教室を出ようとする。

「シルヴァン!?」

「イングリット、わりぃ!すぐ戻る!」

シルヴァンはそれだけ言うとべレスの元に駆け出していた。

「アンタ、何やってんですか!?」

声に気がつき、べレスは振り向く。その顔をみてシルヴァンは驚愕した。何故なら彼女は泣いていたから。

「シルヴァンか。どうした?」

「…こっちのセリフですよ。とりあえず雨宿りできる場所に移動しましょう。」


雨宿りが出来る場所に移動して椅子に2人は、腰をかけていた。

「どうぞ。」

タオルをべレスに渡す。

「ありがとう。」

「全く…俺がきてなかったら、どうしてたんです?」

「考えてなかった…。」

シルヴァンは内心でため息をつく。天然な人だと思っていたが、ここまでとは…。

「…で、なんであんなことしていたんです?」

べレスは何のことだか分からないという風に首を傾げた。

「なんで、雨の中傘も持たず突っ立ていたのかってことです…まあ、話したくないなら良いですが。」

人は誰だって話せないことがある。勿論自分もだ。だから、話せないならそれで良いと思っていたのだがべレスはボソボソと話し始めた。

「…お父さんのこと思って泣いてい

たんだ。」

「…えっ?」

それはきっと最近亡くなったジェラルトのことを言っているのだろう。

「部屋で過ごしていたら、なんか流れてきて…だから荒い流したかったんだ。」

この人は、自由に生きていると思っていたけど自分の感情すら分からないのか。

「私、昔から感情が薄かったんだ。」

淡々と語り始めたべレス。

「幼い頃は感情が薄すぎて、周りから何考えているか分からないって言われた事あるし、気持ち悪いって言われて石を投げられた事もある。」

「先生…。」

「でも、何も感じなかったんだ。でも、お父さんがもういないって考えたら涙が止まらなくて…。」

ああ、自分はこの女性を誤解していたのかも知れない。自由に生きてきたって思ったけど、違ったんだ。この人も周りから悪意をぶつけられたことがあるんだ。そして感情を上手く表現出来ない人なんだ。シルヴァンは内心にあった黒いモヤが晴れていくのが分かった。

「先生、俺先生のこと誤解してました。何も不自由がない人って思っていたけど違ったんですね…おかげで心のモヤも晴れました。」

「…なんのこと?」

「こっちの話です。」

シルヴァンは清々しい顔をして笑っていた。


シルヴァンが校内を歩いていると、べレスを見つけた。シルヴァンは以前より穏やかな気持ちで話しかけた。

「せん〜せい、一緒にお茶しません?」

「いいぞ。」

「え。」

「なんだ、その反応は?」

だって断わられると思ったから。

「この前、雨の日お世話になった。…だからそのお礼だ」

シルヴァンは驚いた。だが照れた様に言うべレスが可愛いなと感じた。

「そうと決まれば、早速ですね。最近いい茶葉が手に入ったんですよ。」

「楽しみだな。」

2人の距離は最初の頃より縮まっていた。