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colorfulnote

ソルトレイクシティで見つけた、アート×イスラム文化

2018.01.13 23:37

アメリカに住んでいると、美術館の展示等を通じて、日本に住んで いた時には馴染みのなかった文化に触れることができます。


イスラム文化もその一つ。


ユタ州ソルトレイクシティにある、Utah Museum of Comtemporary Artでは、 イスラム文化にスポットを当てた展示が行われていました。


ソルトレイクシティとイスラム教聖地・メッカの意外なつながり

ソルトレイクシティには、モルモン教(キリスト教の一派。お酒・ コーヒー・紅茶を飲まず、収入の10%を教会に献金するなど厳しい戒律があります)の総本山があります。


他のキリスト教派と相容れない教義を含んでいたことから強い反発を受け、 安住の地を求めて辿り着いた場所がソルトレイクシティでした。


実は、ソルトレイクシティと、 イスラム教の聖地メッカがあるサウジアラビアには下記のような共通点があるんです。


・石油の生産地であること

・巡礼の地があること

・商業発展と文化・宗教の保護のバランスを保っていること


世界中からの移民が増えた影響や、上記のような共通点から、 ソルトレイクシティでは異なる宗教観を受け入れようと努力してい るとのこと。


今回の展示はその流れの一環であるといえます。


ヒジャブは誰のもの?

イスラム教で定められている服装の中に、 ヒジャブと呼ばれる頭を覆うスカーフのようなものがあります。


今回、一番印象的だったのは、その名も「ヒジャブ・ プロジェクト」。


イスラム教に関する一般的なイメージを変えるために設立された、 Al Ahad という地域団体が企画したもの。


Al Ahadの調査によると、地域住民の間では「ヒジャブ= ジェンダーに関する抑圧」というイメージが強かったとのこと。


「 実際ムスリムの女性たちはヒジャブについてどのように考えている のか」を示すために、今回の展示では、ムスリムの女性たちが布をキャンバスに見立てて自由にデザインし たヒジャブが飾られていました。


色とりどりのヒジャブの横に添えられていたのは、 下記のような言葉たち。


・しとやかで、気高くいるために。ヒジャブなしでは、 私は私じゃない。


・ヒジャブは私にとって世界そのもの。 人々はヘンテコで心地よくないものだと思っているかもしれないけど、私にとってはそうじゃない。ヒジャブは私を守ってくれ、 穏やかな気持ちにさせてくれるシェルターのようなもの。 世界に反対されても私はヒジャブを身に付けたい。


・ヒジャブは私の自尊心を高めてくれる。 私はムスリムでいることを誇りに思う。


・身につけているととても幸せ。


これらの言葉を読んで、彼女たちは、決して誰かに強制されたり、息苦しさを感じながらではなく、 誇りと愛情を持ってヒジャブを身につけているのだと感じました。


ヒジャブは間違いなく、彼女たち自身で選択し、 アイデンティティの一部として身につけているものだったのです。


私も、ヒジャブは男性から女性に対する「奥ゆかしくあれ」 というプレッシャーの象徴というイメージを抱いていました。


ムスリムのクラスメイトと話していても、 気軽に触れられない話題でしたが、この展示を見てヒジャブに対するイメージが180度変わりました。


No Woman, No Drive?

No Woman, No Driveというショッキングなタイトルの動画は、 サウジアラビアの新興メディア企業”Telfaz 11"によって制作されたもの。


「女の人はハンドルを握っちゃいけない、 たくさん子どもを産まないといけないから」

「自由に動いてもいいよ、ただし家の中でならね」


などと、びっくりするような歌詞が並んでいるのですが、このような動画が作られ、発信されているということは、イスラム教の中でも上記のような価値観に違和感を覚えている人が 多いということですよね。


実際、世界で唯一女性の運転が禁止されていたサウジアラビアですが、今年の6月から運転が解禁となるようです。


「文化と創造活動の融合」 をテーマにしたこちらの企業が作る動画、 とにかく風刺がきいていて面白いです。


英語の字幕つきでYoutubeで鑑賞することができますので、 ぜひ見てみてくださいね。


メッセージ性の強い作品たち


他にも、強いメッセージが込められたアート作品たちがたくさんありました。

こちらは、”Road toMakkah(メッカへの道)”。

イスラム教の聖地メッカは、イスラム教徒以外の人には立ち入りが禁止されていると考えられてきました。


この道路標識でも、ムスリムの人のみにメッカへの道が示され、ノンムスリムの人には回り道が示されています。


この作品に込められているのは、排他主義への批判。


アメリカ人にとっては、セグリゲーション(白色人種と有色人種を別に扱っていたこと)を思い起こさせる作品となっています。


こちらは、”Heaven's Doors(天国への扉)"。

ステンドグラスのような装飾は、実はキッチン用品を使って作られています。


信仰心は公共のイベントや物によってではなく、日常の小さな行いによって示すことができるというメッセージが込められた作品です。


こちらは、イスラムの伝統的なデザインが施されたスケートボード。

イスラム文化と西洋文化は大きく異なっているけれども、認め合い共存することができるというメッセージが込められています。


個人的にはこの作品、とても好きです。

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何気なく立ち寄った美術館でしたが、イスラム文化に対する親しみが増したような気がします。


アートやユーモアって、難しいこと・遠く感じていたことをぐっと身近に感じさせてくれる力があるな、と改めて感じた展示でした。