旅のチカラ、旅のカケラ

クレッシェンド

2008.10.31 13:50


国境と千の夜を越える旅は、

23ヶ国目「エチオピア」を目指す。


今日は午前7時に宿を発ち、

ゲダレフの街外れにある「スーク・アルコーダ」

にて乗合ワゴンに乗車。

定員は14人で、なかなか満席にならず

1時間半ほどそのまま待機することに。



このバス停は市場になっていたので

揚げたてのドーナツ(約20円)と、

甘ったるいチャイ(約20円)を口にした。



次第に活気を帯びていく市場。

ドンキー(ロバ)がノロノロと

重たい荷物を運んでくる。

騎手は子どもたちで、

竹の棒を振り回してドンキーを起用に操る。


真っ赤なトマトを並べるおじさん、

タマネギを刻んで鍋でかきまぜるおばさん、

スーダンののどかな旅もここで終わる。


スーダンとエチオピアの国境である

「ガラバート」への運賃は、

12ポンド(約550円 荷物代込み)だった。



乗車時間はおよそ3時間で、

途中にいくつもの小さな集落を横切った。

水平線を望みながら、

真っ直ぐな道をひた走っていく。

草原の中からヤギや牛がひょっこりと顔を出し、

その脇を、カラフルな衣装をまとった女性たちが

頭に荷物をのせてとぼとぼと歩いていた。



あ、テレビで観たアフリカだ!


エジプト、スーダンを抜けて

エチオピアに入ろうとしている。

地図で見ればあの広大なアフリカの

1/3くらい南下したことになる。



クレッシェンド♪

だんだんアフリカが

強く、深く、濃くなっていく。

ワゴンの加速に呼応して

心のプレリュードも加速し始めた。


国境のイミグレーションは

もっとアフリカらしかった。

土でできた建物が事務所で、

ふたりの係員がおしゃべりをしながら

手書きで書類を作成していく。


アフリカのスワヒリ語に「ポレポレ」という

言葉があったことを思い出した。

ポレポレ=のんびり

いかにもアフリカらしい言葉だね♪



27ヶ国目、エチオピア。

“アフリカの角”と呼ばれていて

なるほど、サイのような形をした国だ。


本当は「ゴンダール」という

エチオピア第3の街まで行きたかったが、

バスはすでに終了していた。

暑くて、喧騒がひどい

国境の小さな町「メテマ」で宿をとった。


アフリカはポレポレ行くしかない。

町は土のメインロードが1本通っているだけで、

布や日用雑貨を売る商店、

そしてバーが軒を連ねている。

脇に反れれば、けもの道のような小道が走り、

トンガリ屋根の住宅街が広がっている。



カメラ片手に散歩をしていると

「ハロー、ハロー」と、

村人たちに囲まれた。


彼らは揃ってこう問う。

「チャイナ?」

いやいや、日本人だよ。

そう返すと、瞳をまん丸にして

「グッド!」と握手を求めてくる。

アフリカでも日本人の評判はすこぶる良い。


一通り村人たちの記念撮影を終えると

食事を摂るために集落を後にした。

その間メインロードまで、

総勢30人くらいが見送ってくれた。

アイドルか親善大使になったような人気ぶり。



アフリカに抱いていた先入観が

どんどん崩れていく。楽しい。

天国じゃん、アフリカって☆


暑さも想像以上じゃないし、

人々はすこぶる優しい。

治安だって今のところアジアよりも良い。



気を良くし、そのままローカル食堂に入った。

注文したのはエチオピアの主食

「インジェラ」


う”っ、、、何これ!

ま、まずいぃぃぃぃぃぃ!!!!



パンが水っぽくて、しかも酸っぱいよ!

梅干のような酸っぱさとは別の

背中に電気が走るというか、

これは口にしてはいけない!と、

舌が拒絶反応する味だ。

噂に聞いていた“ぞうきんパン”、

旅人の間で恐れられている一品である。

しかしこれほどとは、、、(泣)


滅多に食事は残さないのに、

ほぼ全部残した。

口直しに違う店でパスタを頼み、

コーラを流し込むと

ようやく落ち着きを取り戻した。



インジェラ、恐るべし!

これがアフリカの洗礼だったか…。