中村要と R.スコフィールドの往復書簡(11)
R.スコフィールドの書簡(2)
1924年4月23日 ジャニングよりスコフィールドへ(手書き)
親愛なるスコフィールド様
あなたのお宅にお伺いした際、今週中に海老氏を訪問すると申し上げましたが、現在訪問できる状況にありません。
海老さんへの手紙に、あなたが訪問のことを書いてくださったことは残念なのですが、5月の間に訪問できると期待しています。
数日前、海老さんから日本語の小冊子が届きました。
敬具
J. F. ジャニング
1924年4月24日 スコフィールドよりジャニングへ
ジャニング様
昨日あなたからの手紙を受け取りました。海老さんは、きっとあなたに会うのを喜んでくださると思うので、あなたの訪問が5月になっても特に問題はないと思います。あなたが受け取った冊子は、おそらく月刊誌「天界」でしょう。日本では天文学が大きく発展しています。
よろしくお願いします。
1926年9月5日 ジャニングよりスコフィールドへ(手書き)
親愛なるスコフィールド様
あなたが新しい研究所の創設者になる機会を与えられてから、もう3年になります。
しかし、せっかくのスタートダッシュが見かけ倒しになっているとしたら、どう思われますか。そんなことはありません。当学院は、現在可能な限りのことを少しずつ行い、毎年、より多くのことを行えるようにしていきたいと考えています。
今年は学院のシルバージュブリーということで、あなたが始めた研究室に強い刺激を与えたいと考えています。同封の見積書をご覧いただければ、お分かりになると思います。
スコフィールドさんは、あなたの研究室をより高いスキルに押し上げるために積極的な手段を取って、あなたが惜しみなく提供した良い仕事に関心を持ち続けてくれますか。
協力は成功を意味する言葉であり、他の方法では到達できない進歩への扉を開くキーワードです。
あなたがリーダーとして、科学的関心を持つ人々の中で、あるいは東洋の少年や青年に自分のものにできるものをすべて与えたいと望んでいるのなら、あなたが必要な太陽を昇らせることは賞賛に値する事柄となるでしょう。研究室が完全なものとなるために、追加されなければならない装置が多数残っています。そのためには、あなたの協力が必要です。
歴史書には、今この瞬間よりも、達成された肯定応答に対して、より真実の評価が記されています。いつの日か、この学院の再建時代の記録が一般向けに書かれるとき、私たちに喜んで手を差し伸べ、心から協力してくれた人々の中で、一人の名前、それもあなたの名誉あるスコフィールド氏の名前が、際立って立つことでしょう。
過去を懐かしく思い出しながら。
1926年9月10日 スコフィールドよりジャニングへ
親愛なるジャニング様
5日付で島津製作所からの見積書（今、返送します）を受け取りました。このたびは厳しい財政状況のため、必要な金額を寄付することができず、大変残念に思います。しかし、いくつかの器具は、すでにあるものから簡単に即興で作ることができそうです。たとえば、凸面と凹面の鏡は、数セントの費用で、時計のガラスを銀色に加工することで代用できるでしょう。また、真空中の実演のためには、空気ポンプ受信機の鐘の下に置く小さな目覚まし時計があればよい、などなどです。このような実験器具を即興で作ることは、生徒たちが機械的な創意工夫を働かせる絶好の機会にもなります。それに、島津製作所は日本で一番安い販売店ですが、実験のたびに特別な装置を注文していたら、やり遂げるまでにかなりの出費になります。それにしても、この見積書には驚かされました。私も最初は島津製作所からかなりの量のものを買いましたが、すぐに即興で作ることに知恵を絞りました。
精密機械が必要なら、C.ベイカーに手紙を出すことをお勧めします。Baker, High Holborn, Londonに手紙を出して、定期的に発行される中古品のカタログを入手されるとよいでしょう。私はこうして8.5インチ・カルバー反射鏡を手に入れました。
貴研究所の益々のご発展を祈念し、ご挨拶とさせていただきます。
1926年9月12日 ジャニングよりスコフィールドへ(手書き)
親愛なるスコフィールド様
9月10日付のお手紙に書いてあることは十分承知しておりますし、ベーカーのカタログを取り寄せるために、ロンドンにも手紙を送っております。
私の小さな工房では、かなりの数の装置が作られており、現在も写真装置を作るための作業が続けられているところです。生徒助手に頼りすぎると、時には新しい装置を購入するより高くつくこともあります。しかし、現在、装置を作ることは生徒助手の技術に依存しています。ただし、1学期間でカバーすべきプログラムが多く、生徒助手が作業する時間は、ほとんど残っていません。
島津製作所の値段が高いというのは知っていますが、私がアメリカから持ってきたカタログはもっとひどかったので、私が器具の見積を取るのにどのような立場にあるかはおわかりいただけると思います。
このたびは本当にありがとうございました。
J.F. ジャニング
?年1月30日 ラグよりスコフィールドへ
親愛なるスコフィールド様
電気に関してお尋ねします。あなたが神戸の誰よりもよくご存知だと思うからです。バッテリーの仕様についての問題です。
現在、私のバスではユアサ6ボルト120アンペアのバッテリーを使用しています。しかし、電池の消耗が激しすぎるようです。もちろん、これは発電機が十分に発電していないせいかもしれません。アンペアメーターは走行中に3〜6アンペアの充電を示しているので、バッテリーのアンペアがそれほど下がらないはずなのです。バッテリーは去年の3月に新調しました。
主なパワーは以下の通りです。
"The Modern Moter Engineers" によると
Eseedバッテリーの情報
完全な充電
半分放電：完全に放電した
キングストン バッテリー 第一酸溶液
満充電 半放電
を正しいものと見なす： -
Sp. G
- "- - "-
Sp. G
- "- - "-
- "-
1.245 から 1.250 1.180
1.110
1.285 1.300 1.255 1.165
質問 ユアサ製バッテリーは、EseedかKingstoneか、どちらでしょうか。
アメリカのMoterマニュアルをご参照ください。
満充電 半放電
電圧 2.2 2.0 1.8
Sp. Gr.
1.245 1.225 1.200
引用された数字にかなりの違いがあることがお分かりになると思います。私は、半充電するのと、過充電するのと同じくらい悪いと理解しています。
電池の保管について、どんな情報でも結構です。お教えください。
お答えをお待ちしています。よい年をお迎えください。
あなたのH.P.ラッグ
1930年1月14日 スコフィールドよりラグへ
親愛なるラッグ様
鉛蓄電池に関するお問い合わせへの返事です。私はしばらく前に電気実験室を手狭になったのでやめ、今は余暇を天文観測に費やしています。私の描いた火星のスケッチのいくつかは、W.H.ピッカリング教授によって収録され、コメントされています。
私の電気関係の教科書を見ると、「アメリカン・モーター・マニュアル」から引用されたデータは実質的に正しいのですが、重負荷バッテリーの場合、メーカーの仕様が多少異なるので、バッテリーを購入した販売店か、ユアサから直接、こうした機器に必ず付いている説明書を請求することをお勧めします。私の知る限り、ユアサ電池は信頼性が高いと評判です。鉛電池はどれも故障しやすく、特に充電の際に極性を逆にしないように注意しなければなりません。
私は何年か前に、分光器用の誘導コイルに使うために鉛電池を買いましたが（覚えている限りではユアサ製ではありません）、あまりの故障の多さに、それを物置に追いやって、ご存知のように故障知らずのエジソンに投資してしまいました。これでしばらくは何の問題もなく観測ができました。
しかし、一般に鉛蓄電池は、重作業用の製造が改良されたおかげで、適切に取り扱い、手入れをすれば、ほとんど問題は生じません。
新年のご挨拶を申し上げるとともに、今後ともよろしくお願いいたします。
敬具
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（出典）
「山本天文台資料より」