書肆翠

思い出

2022.06.26 01:00

二十代のころ、ため息がでるほど美しいと思った物語が、小川洋子さんの『薬指の標本』です。


喪失と歪んだ愛が静謐な標本室で紡がれます。

大げさな表現はありませんが、なんとも言えない余韻が残りました。


三十代のころ、美しくて作品の前で立ち止まり動けなかったことがあります。

須田悦弘さんの「クレマチス」です。

なぜか少女時代に戻ったような無防備な心持ちになりました。


美しさに出合った思い出。

いちど枯れた苔リウムが復活してました