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「第二の家」ブログ|藤沢市の個別指導塾のお話

学校の部活動問題はしんちゃんちのカレーライスのようなものだ

2018.01.20 15:00


先日、『先生、部活やめるってよ』のタイトルに惹かれて、こんな記事を読んだ。



この記事の通り、白熱する部活動指導の影で、教員や生徒自身への負担が問題視されている。


私の知人の教員数名も、毎朝5時起きで朝練の日々だ。休日も「あ、こりゃ多分雨で中止だろう」という日でも朝7時に駅で集合をして「中止だから解散です。各自気をつけて帰るように」を宣告するという何ともハードな部活動指導を行っている。


コーチがついているような部活でも、中体連の大会等は教員免許を持っている人が引率しなければならないらしい。言われてみたら当たり前だが、教員の皆様には頭の下がる思いでいっぱいである。


そんな教員の一人である友人に聞いてみた。「部活の指導ってさ、やりたい人だけやるってのは駄目なの?」


彼はふっと笑いながら言った。「【若手は部活やらなきゃ駄目】みたいな雰囲気があるから、嫌でもやらされるのが現状かな。好きな人はもちろんいいんだけどさ、俺は部活やりたくて教員になったわけじゃないから…」


その後の言葉は想像に難くない。


ちなみに、土日の部活動指導の手当ては、4時間以上の日額で約3000円だという。一日の間にどれだけ指導しても同じ金額。時給換算したら最低賃金よりもはるかに低い。


「やり過ぎの部活動」に困るのは、教員だけでなく、生徒もだ。時にはテスト週間になっても休まない部活動もあり、そういう時は塾としてもけっこう困る。


「強制参加じゃないとは言うけど、強制参加の雰囲気だもん」と先日も生徒が愚痴っていた。「受験や内申にも響きそうだしね」と笑う。実際に内申などに部活動が響くことはない現在のシステムだが、断れない雰囲気というのは確かなのだろう。


「文武両道」は理想論だが、中学生たちの多くはそううまく「文武両道」できない。いや、これ結構大人でも大変だと思う。ハードな部活動に所属している子だと、朝練〜学校〜部活〜校外で練習(クラブチームみたいなやつ?)〜帰宅〜就寝の合間に「勉強」を入れることは、そこそこの体力と計画力と熱意がなければ難しいと感じる。


ちなみに再び教員の友人に聞いた話をすると、「部活動をやってほしい」という声は、保護者の方から特に多いそうだ。今話題の部活動の負担軽減も、いざそうなればすぐに学校へクレームが届くだろう。


そんな話を見たり聞いたりしているうちに、幼いころの思い出が唐突に蘇ってきた。




私にはしんちゃんという友達が居た。


しんちゃんは子どもには珍しく、カレーライスが嫌いだった。私にとっては当時最強の食べ物代表がカレーライスだったので、嫌いな人がいると知ってとんでもなく驚いた記憶がある。


しんちゃんには悩みごとがあった。嫌いなカレーライスが週1で(多い時は次の日の朝も!)食卓に並ぶというのだ。そう、しんちゃんのお父さんはカレーライスが大好きだった。しかも、辛口の。


「それは大変だねぇ」と子どもながらに相槌をうった私に、ここでもう一つ衝撃の情報が渡される。なんと、しんちゃんのお母さんは、辛いものが苦手だというのだ。


ここで話を整理してみよう。しんちゃんのお父さんは辛口のカレーライスが好きだから、お母さんに「作って」と言う。作ってくれないと怒る。お母さんは仕方なく辛口のカレーライスを作って、我慢して汗だくになりながらそのカレーを食べる。しんちゃんは出されたカレーを「これが毎日なら逃げ出したい」なんてぶーぶー言いながら食べる。何なら僕が食べたいぐらいだ。




そう、辛口のカレーライスは食べたい人が美味しく食べればいい。同じように、部活動もやりたい人がやるのでは駄目なのか。


「食べたい」という人のために「食べたい」人たちが調理をして「食べたい」人がそのカレーライスを食べればいいのだ。「やりたい」という保護者のために「やりたい」大人が「やりたい」生徒に部活動指導をする。これが理想形ではないのか。


【部活動免許】があればいいのになぁ、と教員の友人は言った。引率をするために必要な資格を、教員免許取得者だけのものではなく、【部活動免許】取得者にも与えてみてはどうだろうという話だ。


部活動にコーチがつくケースも珍しくないということだから、「部活を指導したい」という大人はきっと色んな場所に沢山居るはずだ。彼らに【部活動免許】を取得してもらって、堂々と指導・引率してもらうのだ。もちろん、教員で「部活動指導が大好きだ!」という人はそのまま続ければいい。


「部活を頑張りたい!」と思っている生徒にとっても、「正直、部活動指導はしたくない」という先生に指導してもらうより、多少は有意義な時間になるのではないか。


そしてもしも、そういった試みで学校の先生たちの時間が空いたなら、その時間を使って授業や進路指導の準備をしてもらうほうが、よっぽどいい。だってそれが先生の一番のお仕事だもん。今のままじゃ先生も大変すぎるよ。


「じゃあそのためのコストは?誰がどうやって出すの?」なんていう人も居るけれど、そこは偉い人やもっと事情を知っている人たちに考えてもらおう。そういう話をしているのではない。


これは「子どもたちにとって何がいいのか」という話だ。


人間形成の場として部活動が重要なことはわかる。私だって部活に反対なわけじゃない。そこで生まれる成長や絆や素晴らしいこともたくさんある。ただ、現代は「価値観多様化の時代」。その場所は、部活動じゃなくてもよくなってきているのではないか。


大人だって子どもだって、やれと言われてやることはつまらない。その連鎖からは、負の影響しか生まれない。


「強制部活」は、その仕組みを見直すところに来ているんじゃないだろうか。



そりゃ時には我慢して辛いカレーライスを食べなくちゃいけないときだってあるけどさ、それが続くようじゃやっぱり辛いから。他にも美味しい食べ物はたくさんあるし。


誰もが美味しいっていう幻のカレーライスはなかなか見つけにくいけど、この問題の解決策は割と近くにある気がするんだよなぁ。


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