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腎不全の方が浄化槽に与える影響(可能性)

2022.06.27 12:29

ご家族の中に透析をされておられる方が居られる場合、浄化槽の処理に与える影響の可能性について記載します。


※拙者は今回の事例の調査件数が1件のみであり、情報が不正確な可能性もあるために参考程度に考えてほしいでゴザル!

※CS-7人槽 使用人数2人(内腎不全の方1人)


拙者の現場では、腎不全を罹患されていらっしゃる方の浄化槽で嫌気槽のpHが6.0辺りまで低下する事例があったので紹介と、独自の考察を記するでゴザル!



腎不全を発症すると、血液中の老廃物(尿素)を十分に排出出来なくなってきます。


浄化槽へ影響があるケースとして、排尿が少なくなる、もしくは排尿が全くなくなることにより、尿素の流入がなくなります。

本来ならば尿素が流入すると、分解酵素であるウレアーゼによりアンモニアに分解される事によりアルカリ度が生成される。


しかし尿素の流入が無くなることにより、アルカリ度の生成が減り、嫌気槽ではVFAの生成が有利となり、酸性側に傾く。またスカム等の汚泥の色相も糖尿病の場合と同様に薄い。


結果としては、循環水は停止した状態で運転していると嫌気槽のpHが6.0付近となり酸敗を示す。

(循環水を回すとHRTが短くなり処理不足になった為、停止させている)



小型合併浄化槽における流入基質では、尿由来の窒素流入が多い。

同様の「尿」の異常による事例として、糖尿病があげられるが、糖尿病も異常な量のグルコースが流入することにより、異常発酵するケースがある。有機物(BOD)であるグルコースが相対的に多くなることにより、窒素(N)の割合が少なくなる事が原因かも知れない。


この様に、BOD/Nのバランスが悪い事が原因で異常発酵を起こしているのではないかと考察している。


今回の腎不全のケースでは、有機物(BOD)の流入は平均的だが、窒素(N)の流入が少ない、もしくは全く無いためにBOD/Nのバランスが崩れ、異常発酵に繋がっていると考察している。



今回の現場では、循環水を停止させることでHRTの確保を行い、放流水は十分な透視度を保つことが出来たが、その他化学肥料等の添加によりBOD/N/Pのバランスを整えることで異常発酵を防ぐことができるのでは無いかと想定している。

ただし、拙者は添加する行為自体が好きでは無いために、この方法で良い成果が出た場合でも恒久的な方法としては行う予定はない。


また腎不全以外の方の使用人数が多いと、影響は少なくなると推定される。





皆様の知見をお聞かせください