帝国の時代7-クリミア戦争に使われた電信
2022.06.28 11:14
クリミア戦争は、電信という情報革命が利用された最初の戦争だった。この戦争はまたロンドンのタイムス社から、特派員が初めて戦地に派遣され、電信によって日々の戦況がニュースに踊った。ナイチンゲールもそれを見て危機感を募らせたし、ロンドンの上官は、ニュースに踊らされて、いちいち指示を出した。
電気テクノロジーは1752年のフランクリンの実験から、驚くべき速さで進歩した。1830年にはファラデーとジョセフ・ヘンリーが電磁誘導を発見、シェリングやガウスが、電気を送ることで、電磁石を動かして、信号を描くという実験を行う。そして37年アメリカのモールスがジョセフ・ヘンリーの指導のもとで、モールス信号を開発した。
アメリカ合衆国は、ワシントンDCからアナポリスまで、電線を敷設し、44年5月1日にボルチモアでヘンリー・クレイが大統領候補に選ばれた情報を、鉄道でアナポリスまで運び、そこから電信でワシントンに送ることに成功した。これをきっかけに、電信は欧米に普及していく。
当時の電信はもちろん有線式である。クリミア戦争では、ナポレオン3世が、英仏共同で、リビアのトリポリまで電線を敷設し、そこから本国に情報が送られた。1867年には大西洋横断電線ケーブルが敷設され、電信は世界中に広がり、シャーロックホームズの探偵小説の必須アイテムとなる。