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「Dans le pré」Marguerite Soleillant Francoise Estachy

2018.01.19 09:54

当たり前のことですけれど、有名な作家の、歴史的に評価されている作品はやはり素晴らしいものが多いのですが、有名でなく、評価もされていない、

評価されていないと言う言葉はちょっと違うかもしれませんが、良い作品であっても時の流れの中で埋もれてしまっているような作品、そう言った作品はきっと幾つもあって、そういうものを取りあげてまた、紹介することが出来たらな、と屡々思っているのですが、今日オンラインストアに更新したフランスで買い付けてきた絵本も、そんな作品かもしれません。

この絵本は「Dans le pré」というMarguerite Soleillantが詩を、Francoise Estachyがイラストを描いた絵本です。

タイトルは「野原の中で」と言うほどの意味でしょう。

詩は、そんな野原の中の子どもの身近な自然や虫や動物たちを歌ったものです。子どもたちはそこで自然とともに遊び、戯れ、大人たちよりもずっとその自然の近くで生きています。

Francoise Estachyの描くそんな子どもたち、自然の風景や不動物たちも、可愛らしく素敵ですね。

1940年代〜50年代のフランスの絵本のイラストレーションの特徴と言いますか流行りと言うような、そうしたものをよく見ることの出来る作品であるとも思います。

有名な作家と言うのはその評価される根本的な理由の一つに、既存のものから脱却し新しいものを生み出した、という事があると思うので、得てしてその時代の一般的な特徴を備えていない事が多いかと思うのですが(勿論これは肯定的な意味です。どんな過去の天才も、彼らは未来からやってきのではないかと思うようなことが多々あります)、そこまで有名でない作家は往々にして、その時代の一般的な特徴を多く含んでいることが多く、だからこそその時代をそうした作家から良く知ることが出来るとも言えるのではないでしょうか。

この絵本も淡い色使いや線の描き方は、この年代のフランスの絵本に見られる特徴で、それが良く表れていると感じられますね。

そして紙と印刷も美しいですね。写真製版を使用した活版印刷で、美術書などの多くはこの印刷方法で制作されていました。1947年の刷の本ですが、紙も印刷も質がとても良く、状態も良いですね。

こうした詩、イラスト、印刷、紙、そして経年の変化、それぞれの要素が一体となり、この絵本を現代の絵本にはない美しさを持ったものにしてくれています。

こうした暖かみを持った古い絵本だからでしょうか、描かれている野原に吹く風や、土の柔らかな匂いが感じられるようです。

本日更新した他のフランスの絵本では1942年刷の蝶々の絵本(Jean A. Mercier 絵)も同様にイラスト、紙、印刷のクオリティが高いですね。

1944年刷の絵本(占領下のパリで作られた絵本です)も更新していますが、こちらは流石に質素な造りですが、しかしこの絵本はこの絵本で他の時代と違った味わいが感じられもしますね。

当時の時代的な背景を思うと、より古本の魅力が増すかもしれません。

是非ご一緒にオンラインストアの方でもご覧ください。