事例研究(違法薬物事犯の問題点) 2022/06/30
【元KAT-TUN 田中聖容疑者を覚醒剤所持の疑いで逮捕】~毎日新聞
<記事抜粋>
千葉県警柏署は29日、アイドルグループ「KAT―TUN」の元メンバー、田中聖容疑者(36)を覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日午後10時ごろ、同県柏市末広町の柏駅西口のペデストリアンデッキ上で覚醒剤を所持していたとしている。
容疑を認めているという。
<争点>
違法薬物事犯の問題点(違法薬物の弊害)
<所感>
覚醒剤取締法違反の再犯率はきわめて高い。
被告人は、公判では「二度と違法薬物に手を出しません。」と首を垂れてしおらしく述べるのだが、舌の根の乾かないうちに再び同じ過ちを犯してしまう。
覚醒剤その他の違法薬物事犯の問題点は、依存性が高い点だけではない。
一般に、違法薬物の弊害は以下の三点に集約される。
第一に、違法薬物が暴力団の資金源となっている点。
第二に、違法薬物施用者の健康を害する点。
第三に、施用者が違法薬物の影響により精神錯乱状態に陥ったときに他者への加害につながる点。
以上の三点である。
一般人は、第三の弊害にしか関心を持たないが、違法薬物を施用した人全員が凶器を振り回して他者加害をしているわけではない。
むしろ他者加害を一切行わない薬物常用者のほうが多い。
だから、一般に薬物事犯は「被害者なき犯罪」と呼ばれる。
使っていなくても持っているだけで処罰の対象となることを考えれば「被害者なき犯罪」であることは直ちに了解されるだろう。
薬物事犯を法で禁圧する趣旨の説明のため「パターナリズム」という概念がしばしば持ち出される。
パターナリズムとは、国親思想と和訳されることもある言葉で、文字どおり国が親のような立場にたって薬物依存者その他生活監督を要する人に対して生活監督等の後見的作用を及ぼすべきとする考え方である。
上記第二の弊害は、違法薬物施用者自身との関係では「パターナリズム」の概念で説明可能である。
自ら施用せず他者に譲渡するだけでも処罰の対象となるが、かかる譲渡行為は他者の健康を害することを助長するものであり、パターナリズムを持ち出すまでもなく違法といえよう。
警察・検察・裁判所が最も重視しているのは、上記第一の弊害である。
違法薬物は依存性が高く、禁制品であるため寡占・独占市場となっていることから、暴力団は、一般市民に一度違法薬物の味を覚えさせれば一般市民からいくらでも金を巻き上げることができる。
クスリ、女、みかじめ料は、いつの時代でも暴力団の三大資金源である。