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ウィシュマさん死亡事件裁判 第2回口頭弁論への呼びかけ

2022.06.30 23:00

名古屋入管ウィシュマさん死亡事件国家賠償請求訴訟 第2回口頭弁論への招待

6月8日から弁論が始まった「名古屋入管ウィシュマさん死亡事件国家賠償請求訴訟」は、7月20日(水)に第2回口頭弁論が行われます。


6月8日の第1回口頭弁論では、ウィシュマさんの妹である次女のワヨミさんと三女のポールニマさん、そして児玉弁護士から、それぞれ意見陳述がありました。ワヨミさん、ポールニマさんは、姉であるウィシュマさんとの思い出やウィシュマさんを失った深い悲しみ、そして今こうして日本に来ている想いを語りました。ワヨミさんは「裁判官と全ての日本市民は、少しでも早く、姉のビデオを見てください。日本という国で、人間がどのように扱われて死んでしまったのか、見てほしいのです。…こんな悲しい思いをするのは、ウィシュマと私たち家族で最後にしてほしい。」ポールニマさんは「裁判官にこのビデオを観ていただければ、姉が見殺しにされたことがわかると思います。」と訴えました。児玉弁護士も、ウィシュマさんが収容されていた居室の監視カメラの映像の開示の必要性を、感情のこもった意見陳述で裁判官に訴えました。

被告国側は、請求棄却を求めるとの回答のみであり、弁護団が提訴時から求めている、監視カメラの映像の提出については、次回弁論期日までに意見を述べると言うのみでした。

また、6月8日は、メディア関係者含め150人近くの方が傍聴券を求めて並び、抽選になりました。70席の傍聴席は満席となり、この裁判が、事件が起きてから1年以上経っていますが、社会的に大きく注目されていることが明らかになりました。

 

一方、ウィシュマさん死亡事件については、ご遺族が名古屋入管の局長等を相手取り殺人の容疑で刑事告訴していましたが、6月17日、名古屋地方検察庁は、名古屋入管局長をはじめとした入管幹部らについて不起訴処分とすることを決定しました。昨年11月、ポールニマさんが、当時の名古屋入管局長や次長、死亡当日の看守責任者らがウィシュマさんに適切な医療を提供せず、「死んでも構わない」という未必の故意があったと、告訴状を提出していました。しかし、名古屋地検は、死因が特定できず因果関係が分からない、医療や食事等の対応は適切に行われていた等、「嫌疑なし」の不起訴処分としました。

「嫌疑不十分」ではなく「嫌疑なし」の決定は異例のことです。一般的には証拠が不十分である場合は「嫌疑不十分」であり、「嫌疑なし」はあり得ません。ウィシュマさん死亡事件の民事裁判が、社会的な大きな注目の中、開始されたこの時期に、名古屋地検が「嫌疑なし」とした背景に、名古屋入管幹部等には責任がないことを、強くアピールしようとする意図を感じざるを得ません。

 

一部開示された監視カメラのビデオ映像には、亡くなる数日前のウィシュマさんの様子が映っており、ビデオを見たご遺族や弁護士、国会議員の発言を見ても、すでに収容に耐えられない状態になっていたウィシュマさんを、無理やり収容し続けていたことは明らかです。STARTが面会していた時も、ウィシュマさんは日に日に衰弱していきました。このままでは死んでしまうと、点滴、入院、仮放免を何度も名古屋入管に訴えても、ウィシュマさん本人が必死に点滴を打ってほしいと訴えても、さらには、2月15日の尿検査の結果では、すでに飢餓状態を示す数値が出ていたにも関わらず、名古屋入管はそれらに一切応えようとせず、見殺しにしてしまいました。

 

名古屋地検はこのような事実については全く触れず、「官給食に加えOS-1(経口補水液)を提供していた」、「医師や看護師の指示で必要な対応をした」、だから責任はないと言っています。これは、ウィシュマさんが死亡した直後に名古屋入管が公表した、「医師の指示に従い適切に対応していた」という見解や、入管庁が公表した調査報告書の内容と変わりがありません。これらはすでに社会的に糾弾されてきた見解であり、あくまで責任逃れをするためのいわば「お墨付き」でしかありません。今回の不当な不起訴処分は、入管庁と検察庁が強く結びついていることを明らかにしました。それゆえ、今後の民事訴訟の行方についても、法務省の動向に対して大いに警戒しなければなりません。より一層強力な世論をもって法務省―入管庁―裁判所を包囲し、監視していく必要があります。

 

今回の名古屋地検の決定に対して、遺族であるワヨミさん、ポールニマさんは、「検察は入管の仲間なのか?」、「死んだのは犬ではなく、私の姉だ。」、「我々の国が貧乏な国だからこのようなことをするのか?」と、強い憤りと悔しさを訴えています。

 

7月20日の裁判・口頭弁論では、原告側が証拠として提出を求めている、監視カメラのビデオ映像について、被告である国側がどのような判断を示すのかが注目されます。ご遺族を支えるとともに、入管や今回の検察庁の不当な動向に対して批判的世論を巻き起こし、国側にビデオ映像の全面開示を求めていきましょう。


第2回口頭弁論への裁判傍聴、また、その後の記者会見傍聴や支援集会への参加を呼びかけます。

 

第2回口頭弁論 

7月20日(水曜日)名古屋地方裁判所にて

午後2時30分開廷(傍聴券抽選の場合は、午後1時ごろ)

裁判が終わった後、名古屋地裁近くの桜華会館(松の間)にて、記者会見と支援集会を行います。裁判傍聴、記者会見傍聴、支援集会参加をお願い致します。