テルマエ・ロマエ(映画)
『テルマエ・ロマエ』(THERMAE ROMAE)は、ヤマザキマリによる漫画作品。『コミックビーム』(エンターブレイン)にて2008年2月号から2013年4月号まで連載された。当初は不定期連載だったが、2010年4月号から定期連載に移行した。単行本は2013年6月にて最終巻を迎えた。
『コミックビーム』2013年10月号から新シリーズ連載開始と告知されていたが、延期となっている。
概要
古代ローマ時代の浴場と、現代日本の風呂をテーマとしたコメディである。入浴文化という共通のキーワードを軸に、現代日本にタイムスリップした古代ローマ人の浴場設計技師が、日本の風呂文化にカルチャーショックを覚え、大真面目なリアクションを返すことによる笑いを描く。単行本では、各話の間に、風呂に関する歴史資料や、作者の体験が書かれたコラムが掲載されている。題名の「テルマエ・ロマエ」は、ラテン語で「ローマの浴場」の意味。
書店員の選ぶマンガ大賞2010受賞。
第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。
「このマンガがすごい!」2011年版オトコ編2位。全国書店員が選んだおすすめコミック2011、3位入選。
2013年仏アングレーム国際漫画祭(Festival International de la Bande Dessinée d'Angoulême)ノミネート作品。
2013年米アイズナー賞(Will Eisner Comic Industry Awards)アジア部門(Best U.S. Edition of International Material Asia)ノミネート作品。
2012年1月12日よりフジテレビ系「ノイタミナ」枠にてテレビアニメが放送された。
2012年4月28日より、阿部寛・上戸彩主演での映画が公開された。ローマでのロケや、テレビドラマ『ROME[ローマ]』のために作られた広大なセットでの撮影も行われた。2014年4月には、映画第2作が公開された。
反響[編集]
書店の店頭での宣伝などを通して部数を伸ばし、『コミックビーム』の連載作品としては例外的に女性読者の支持も集めた。また、東京都浴場組合による推薦や、イタリア・ローマ関係の学術的な問い合わせといった、あまり例のなかった形での反響があるといい、2010年に受賞が相次いだ際には展覧会や旅行会社とのタイアップも企画された。2010年5月の時点で単行本1巻は約50万部発行されている。2巻には、このマンガのヒットはイタリアの新聞で「ローマ帝国ついに日本の漫画界を征服」と報道されたことが記された。
本作の執筆のきっかけについて、作者は「東京スポーツ」紙上のインタビューで「ヨーロッパにはお風呂も銭湯もないから、お湯につかりたくてもつかれない。でも、そこら中に古代ローマ時代の浴場の遺跡がある。昔はあったのになぜ今ないのか、それがもどかしくて」「イタリア人の夫が日本の家風呂を見て笑うんです。(中略)古代ローマ人なら日本の風呂の良さをわかってくれるぞ」とその発想の経緯を語っている。また夫が「ローマ皇帝の名前を全員言えるほどの古代ローマおたく」であったことも大きかったとのこと。
なお元々は同人誌で発表するつもりの作品で、コミックビームの関係者とは「(単行本も)5,000人位買ったらスゴイね」と話していたこともあり、大ヒットしたことには戸惑いを感じているという。2011年の著者インタビューでは「薄く延ばして長くやるつもりはないです。十何巻とかはいかないと思う。実はもう最後は考えてあるんですよ」とも語っており、上述の通り2013年に全6巻で完結した。
映画版のみ登場
山越真実(やまこし・まみ)漫画家志望の女性。実家は温泉宿。第1作では漫画家のアシスタント、第2作では温泉紹介雑誌の記者をやっている。何故か現代日本にタイムスリップしたルシウスとはち合わせする事が多い。そのためラテン語を勉強し、中盤からはルシウスと会話できるようになった。ルシウスをモデルとして、漫画「テルマエ・ロマエ」を執筆し、漫画家デビューするという、メタフィクションになっている。原作の小達さつきと立ち位置が似ているが、作者曰く映画版で設定されたのは、漫画でさつきが登場する前であり、関係は無いとのこと。上戸彩が演じた。
映画
本作は映画化され、2012年4月28日より全国東宝系にて公開された。監督は武内英樹が務め、主演の阿部寛の見事な演技をはじめ、主要なローマ人の登場人物を日本人屈指の「濃い顔」俳優たちが演じている。日本各地の銭湯や温泉地でのロケに加え、イタリア・チネチッタでのオープンセットで1000人のエキストラによる2週間に及ぶ撮影も行われた。イタリアでは2012年4月21日にウディネ・ファーイースト映画祭でワールドプレミア上映された[42]。先着100万名限定の入場者プレゼントとしてヤマザキマリ描き下ろしの「テルマエ・ロマエ」特別編が配られた。
キャッチコピーは「ひとっ風呂、タイムスリップしませんか。」「時空を超えた入浴スペクタクル」。
あらすじ(映画)
映画版では、原作にはないキャラクターが登場し、原作のエピソードを下敷きにしながらも独自のストーリーが展開される。
古代ローマの浴場設計技師ルシウス・モデストゥスは、ローマの公衆浴場から21世紀の日本の銭湯に突然タイムスリップしてしまう。以後、古代ローマと現代日本の浴場を何度も往復し、その都度数々の設備や工夫を目の当たりにすることになる。
スタッフ(映画)
原作 - ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン刊)
監督 - 武内英樹
製作 - 亀山千広、市川南、寺田篤、浜村弘一
プロデューサー - 稲葉直人、菊地美世志、松崎薫
脚本 - 武藤将吾
キャスト(映画)
ルシウス - 阿部寛 古代ローマ帝国の浴場設計技師
山越真実 - 上戸彩 普段は派遣社員として働く漫画家志望。ルシウスが銭湯で倒れた姿をスケッチした。原作の小達さつきの役割にあたるキャラクター。
ハドリアヌス - 市村正親 第14代ローマ皇帝
ケイオニウス - 北村一輝 次期皇帝候補
アントニヌス - 宍戸開 次期皇帝候補
マルクス - 勝矢 ルシウスの友人
館野 - 竹内力 厳つい男
山越修造 - 笹野高史 真実の父
山越由美 - キムラ緑子 真実の母
岸本 - 外波山文明 棟梁
名倉 - 飯沼慧 長老
最上 - 岩手太郎 教授
大西 - 木下貴夫 グルメ
封切り
全国304スクリーンで公開され、2012年4月28、29日の初日2日間で興収4億3255万2300円、動員32万5690人となり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第1位となった。続く公開第2週も累積で興収約22億円、動員約174万人を記録、公開第3週で累計興収は約29億円となり3週連続第1位を記録している。9月3日までの129日間で観客動員469万人、興行収入59億4000万円を記録。
2012年4月20日よりイタリアで開催された第14回ウディネ・ファーイースト映画祭では、ネット投票による「マイムービーズ賞」を受賞した。同年5月、イタリア全土での配給が決定した。配給を手掛けるのはタッカーフィルムで、ローマを中心に50館以上になる予定で、『おくりびと』の40館を上回り、実写映画で過去最大の規模になる見込み。
2012年8月31日より台湾で公開され、2006年の『着信アリFinal』以来6年ぶりに日本映画が台湾の興行収入ランキング1位を獲得。
受賞
第67回毎日映画コンクールTSUTAYA映画ファン賞日本映画部門を受賞
第36回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(阿部寛)
テルマエ・ロマエ(プレビュー)
なかなか面白かったです。
外国とのコラボ、歴史とのコラボは作品の価値を高めると思います。
ラストもそうくるかと感心しました。
ただ、仕方のないことなのかも知れませんが、銭湯に入る人が現実と同じくおじいさんばかりでしたので、あんま見たくねえなぁという気持ちになりました。
女子アナみたいな人がたくさん入湯していたら、興奮度も違ったのでしょうけど。
点数としては90点ですが、殿堂入り映画に認定です。