上手になったら
僕が講師をしているプレスト音楽教室のソロ発表会を4月に控え、先日からエントリーを開始しました。
教室の発表会は全員参加ではなく、希望された生徒さんが出演するエントリータイプですが、いつからか2日間会場を確保しないといけなくなるほどの盛況ぶりになり、発表会に出演していない生徒さんも含めたら教室にはいったい何人いらっしゃるのか。
考えてみればトランペットクラスの生徒さんも30数名中、出演されるのはだいたい4,5名ですね。所属している吹奏楽やオーケストラの本番とかぶったりと、スケジュール的に合わない場合も多いようです。
ところで、発表会や本番の話題になると音楽講師の中で必ず出てくる話があります。
それは生徒さんの言う、
「上手くなったら発表会に出ます」
という言葉。
本気なのか言い訳として使っているのか定かではありませんが、趣味で演奏されている方は本当にこのセリフをよく使っている印象を受けます。
しかし、上手くなったらとはいつのことなのか。上手くなったとはどういった状態なのか。
一人で部屋に閉じこもって練習しているだけじゃ絶対に上手くならないし、そもそも上手くないと舞台に上がってはいけないのでしょうか。
スポーツで考えればとてもわかりやすいと思います。ひとりで素振りやらドリブルや壁に向かってボール投げているだけでは絶対上達しません。試合をして初めてわかることがたくさんあります。
舞台に上がるのを拒む人は多分「上手くなったら」=「自信がない」=「プライドが邪魔をしている」のでしょう。
今の実力がどうこうではなくて、自分の演奏を聴いてネガティブなイメージを持たれたらどうしよう、「下手だ」と思われたらどうしよう、ミスしたらどうしよう、という「たられば」だったり、緊張するという精神的負担を避けたいのかもしれません。
発表会は上手だ下手というレベルを競い合う場でもないし、そもそもお客さんは敵ではなありません。
みんなで演奏をし合って、みんなの演奏を聞いて、そういった音楽大好き仲間が集まっている空間を楽しむ。
もうそれだけでもう十分発表会としては完成していると思います。
お金もかかることだし、スケジュールも空けないといけないし、やっぱり練習もしたいし、そういった意味ではいろいろと負担がかかることかもしれませんが、発表会に出演した後みなさんとても清々しい表情で「出てよかった」と口々におっしゃっているのをたくさん見ているので、今回もたくさんの生徒さんが出演してくださることを願っています。
しかも今回は金管アンサンブルも始まったので、より楽しみです。
荻原明(おぎわらあきら)