「武力よりも知性(エスプリ)」
フランス革命の混乱を収拾させ、かつ、革命の成果を取り入れて近代社会の基礎を築いたナポレオン。軍人としてのイメージが非常に強いが、それ以上に優れた政治家である。指揮官として武器を操ってきた彼は、武力の限界を知りぬいていた。
「この世で私が最も憧れているものをご存じか?ことを組織するにあたり、力を使わずに済ませられることだ。フランスが、今後、武器による統治を容認することはないだろう。武器による統治を信ずる者がいるとしたら、彼らはとんでもない思い違いをしている。・・・フランスは、物質的な力に服従したり、軍神の祭典を催すにはあまりにも高尚で知的な国だ・・・。結局、いかなる時も、剣は知性(エスプリ)によって打ち負かされるものだ。」
だからこそ、ナポレオンは常に人民の声に強い関心を寄せるとともに、滑稽なまでに外見上の合法性にこだわった。そして、そのためにこそ先人の知恵から学び続けた。どんな遠い戦場にも本を詰め込んだケースを運ばせて、野営地でろうそくの火を頼りに戦闘のあいまにむさぼり読んだ。滞在する各宮殿(チュイルリー、サン・クルー、フォンテーヌブロー、マルメゾン)の本棚には同じ本を同じ順番で並べさせ、いつでも必要な時に必要な本をすぐに取り出せるようにさせた。忘れてはいけない、ナポレオンは、武力よりも知性(エスプリ)を上位に置いていたということを。
(夜更けまで勉強するナポレオン)ブリエンヌ兵学校時代
フランス語が苦手だったため、総合成績は平凡だったが、数学、歴史、地理は抜群の成績だった。
(読書にふけるナポレオン)パリ士官学校時代
お気に入りはアレクサンダー大王、フリードリヒ大王だった。
(ダヴィッド「ボナパルト将軍」ルーヴル美術館)未完 28歳のナポレオン
ナポレオンの実像にかなり近いとされる