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地域づくりファシリテーション研究所

第38話 研究を通じたファシリテーション その3

2022.07.02 23:50

SDGsを学ぶプログラム。

それを設計する際に強く意識したことがあります。

参加者がSDGsを「自分ごと」として考えるようになること。

そのきっかけとなるような学びにすることです。


この学習プログラムは、基本的に依頼を受けて実施するものでした。

主催側の学校や団体の担当者と相談を重ねてから本番を迎えます。


このような授業や研修のほとんどは、単発の開催です。

時間もそれほど長く確保できないことが多いです。

しかし、60分とかでは簡単に説明するのがせいぜいです。

そこで、最低90分所要の設計としました。


冒頭でアイスブレイキングや概要説明をします。

続いて、カードゲーム「2030 SDGs」を参加者がプレイします。

現在から2030年までの世界の変化をゲームで模擬体験します。

それを通じて、世界と自分の行動の関係性を考えるきっかけが生まれます。


ゲーム体験直後に、各自が得た気づきを振り返ります。

まずは全員で感想を言い合ったりします。

続いて、SDGsと自分の関連について考え、ワークシートに記入します。

そのなかで、この学習プログラム参加の前と後の変化も自己評価します。

SDGsと自分の関わりの度合いがどう変化したかを振り返るのです。


2019年2月から2021年1月にかけてプログラムを実践しました。

石川県内(珠洲市および金沢市)で計14の開催し、延べ289名が参加しました。

下は中学1年から上は公民館長世代まで、年代も所属も多様です。


プログラムの実践から何が分かったのでしょうか?

参加者の了解を得たうえでワークシートの回答を集めました。

そして、個人が特定されない形で集計・分析をおこないました。


その結果、この学習プログラムの前と後で明らかな変化がありました。

SDGsと自分の関わりの度合いが高まる傾向がはっきり示されたのです。


特に、「聞いたことがある」(漠然とした知識)から 

「積極的に情報を集めたい」(主体的な関心)に変化した人たち。

この変化が最大の層(全参加者の実に45%)で起こりました。


SDGsを「自分ごと」として解釈するための一助。

このプログラムがそうなっていることが示され正直、設計者として安心しました。

しかし、分かったことはそれだけではありません。

次号で締めくくりたいと思います。