中国一般の人々にとっての「第九」は
【質問】
ベートーヴェンの「第九」は日本では年末の風物詩となっていますが、中国の一般の人々はこの交響曲をどのように受け止めていますか?
【回答】
ベートーヴェンの「第九」は、中国でも愛されています。特に合唱部分の「歓楽頌」は、昔から中国人に広く知られています。 1906年、中華民国の詩人、禅僧、音楽教育者、芸術教育者である李叔同氏は「音楽小雑誌」にベートーヴェンの木炭画を掲載し、ベートーヴェンを紹介し、その中で「音楽の聖者」とも称されるようになりました。ベートーヴェンが中国に紹介されたのは、これが初めてでした。
中国国家大劇場管弦楽団がベートーヴェンの「第九」を定番の曲としているようです。かつて、ベートーヴェンの「第九」と中国北宋の都開封の都城内外の殷賑の様を描いた画巻である「清明上河図」と比較する評論者がいました。その音楽作品と絵画作品は、共に人類の重要な文化遺産であり、歴史と社会の発展に関する多くの情報や思想を含んでいます。
中国人から見れば、「第九」は、誰でも知っているような平凡なリズムですが、これは、最も崇高で美しいものは、しばしば最も平凡なカタチに現れるという巨匠のヒントなのかもしれないと言います。だからこそ、後世は「第九」を超えることができないかもしれません。
近年、生活水準が上がってきたにつれて、中国の一般の人々はクラシック音楽への関心が高まっていると思います。
昨年 12月20日、筆者は池袋の東京芸術劇場で人生初めての「第九」の実演を体験しました。このようなコンサートは中高年の観衆が多いと思ったのが、意外に中学生、高校生が少なくなかったようだ。となりの席、フォーマルなワンピースを着ている小学生の三姉妹、日本の子供が幸せだと実感しました。大勢の人と一体感になって、音楽の世界に集中し、「歓楽」な空気に囲まれていました。まるで象牙の塔にいる二時間でした。
(メルマガ黄文葦の日中楽話第68話より)