小屋番の詩
2014.09.08 15:00
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な山小屋をもち
欲はあり
時々怒鳴ったりするが
いつも高らかに笑っている
1日に六本の缶ビールと
日本酒を三合飲んで
それでも足りない時はウィスキーを舐めて
あらゆることに自分だけの計算をして
よく見聞きし分かり
けれどすぐに忘れて
仙人谷の小さなトタン屋根の小屋にいて
東に病気の登山者がいれば
行って看病してやり
西に疲れた登山者がいれば
行ってそのザックを背負い
南に死にそうな遭難者があれば
行ってこわがらなくてもいいと言い
北にテン場の喧嘩や争いがあれば
つまらないからやめろと言い
日照りの時はヨタヨタ歩き
寒さの夏は売上に絶望し
女房に役立たたずと言われ
褒められもせず
苦にもされず
そう云う小屋番に
わたしはなりたい