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ハスの絶滅から再生までの道のり

2023.04.15 06:22

http://sagamaga.jp/feature/entry-224.html 【今回は、佐賀市の景勝スポットのひとつ、佐賀城公園のお堀端を救ったハス再生実行委員会総括事務局長の永原光彦さんに案内していただき、ハスの絶滅から再生までの道のりについて話を聞いた。】より

永原光彦さん

 佐賀県立美術館・博物館を有する広い敷地から南のほうへと進んでいったことがある人がいるだろうか。建物の裏側になるほうへ足を進めてみると、この世のものとは思えないような光景が目に飛び込んでくる。佐賀城お堀端のハスの群生。お堀端が織りなす季節の移り変わりはどのシーンも魅力があるが、特におすすめしたいのが夏場の景色。ガリバー旅行記の世界に迷い込んだような錯覚を覚える大きなハスの葉と葉の間から覗かせるハスの花の美しさは、日常の喧騒を忘れさせてくれる。

「ハスがない!」新聞の読者投稿で着目されたお堀端のハス

 「最近、佐賀城公園お堀端のハスが少なくなっている」今からさかのぼること10年ほど前、ある新聞読者が投稿した記事。この情報発信がきっかけとなり、佐賀大学の研究陣を中心に濠端の大掛かりな調査が実施された。調査は水質、生態系、土壌、気候など様々な角度から行われた。その結果、土壌の養分不足、台風の影響などの原因があげられたが、その最たるものは、外来種のカメの繁殖でハスが食べつくされてしまったからという原因が高いだろうという結論にいたった。カメに照準を絞って調査を進めると、いるわいるわ、濠には何百というミシシッピアカミミガメがハスを食いちぎっていることが判明した。

通称カミツキガメ(ミシシッピアカミミガメ)

カメ捕獲大作戦! あの頃のお濠を取り戻せ!

 ハスが消えた主因がカメによるものだったとわかったからには、カメを捕獲せねば! 平成22(2010)年5月~10月にかけて、永原さんはじめメンバーや他の団体と協力し、かに籠にサバのぶつ切を入れた罠を仕掛た結果、302匹のミシシッピアカミミカメの捕獲に成功した。

 すると、同年3月に植え付けたハスのうち、カメが入ってこないように区分した保護柵内にハスの花が咲いたのだ。時が止まったようにひっそりと淋しい水面をさらしていたお濠端が息を吹き返したのだ。平成23年(2011)年夏には、保護柵外にもハスが生え、かつてのお濠が復活した。ハスが勢いよく葉を広げ、美しい花を咲かせ、年を重ねるごとに水面を埋め尽くす景色に比例するかのように、町の人々の関心も次第に高まっていき、お堀端を散歩、ジョギングする姿が多くみられるようになり「憩いのスポット」として知られるようになった。

ハスの花は早朝が美しい 早起きはいっぱい得をする!

 ハスの花の見ごろは夏場の朝、7時~9時ごろ。その時間帯ともなると、日も昇り、気温も上がりかけているので、気合いを入れて早起きするほどので時間ではないはず。佐賀県立美術館・博物館の南側に足を運んでみよう。今まで目にしたことのなかった景色に触れてしまったら、お堀端の虜になるかもしれない。酷暑でなかなか出かけるのがおっくうになりがちだが、この辺りの景色は、わざわざでも来てよかったと心が洗われる気分になれる。

 「ハスが再生して本当によかったと思っています。ですが、これで終わりではなく、一人でも多くの方々にこの景色を知ってもらえるよう、観光の観点からも動いていっているところです」と永原さん。ハスの葉が覆い、神秘な花が咲き乱れるこの光景は、間違いなく、佐賀を表す美景スポットの一つだ。人の思い、人の行動が成し得たお堀端の再生大作戦に敬意を表し、この景色を有する地に住む一市民として誇りに思う。

↑永原さん親子(息子さんがUターンし船頭の仕事を担ってくれています)

←地域のNPOのみなさんとイベント開催(2016夏)

●ハス再生実行委員会

 佐賀城お堀のハスが2007年消滅してしまいました。ハス再生に向けて、佐賀大学、土木事務所で調査研究を重ねていましたが、赤松校区の住民の方たちの協力が必要ということで、2009年5月に実行委員会が設立されました。