時間が要ること
昔は、音楽のダビングといえば、実際の再生時間と同じだけ時間がかかっていました。
レコードをかけながらカセットテープへ。
テープからテープへ。
待ち長かったけれど、ワクワクしたあの時間は少し懐かしい。
今では、CDや音楽データのコピーは数倍速が当たり前ですね。
時代のテンポが早くなって、頭の回転も速さを求められます。
頭の中では一瞬にしていくつも考えて、並列に指示を出せます。
「あれやって、これやって、あれやって!」
でも、実行する方にはそれぞれに時間が必要です。
「まだか!?なぜそんなに時間がかかるのか!?」
と急かす場面に合うと、思考と行動のギャップに想像力や思いやりが足りているのかなぁと感じます。
心身の回復についても、似たようなことを思います。
気分転換は一瞬でできることもあります。
でも、体の回復には実際ある程度の時間がかかる。
心の回復は、時間をかけても頭で考えるように進まないこともある。
ご自分の回復ペースに、思いやりを持てているでしょうか。
他人のことは待てるのに、自分の見守りは後回しにしてしまったり。
ダメージを受けたり回復が遅いのは、自分が未熟なせいだろうかと自分を責めてしまったり。
そんなことはないですか?大丈夫ですか?
私たちは肉体を持って生きているのだから、イメージだけではなく、実際に時間が必要なこともあります。
傷ついた筋肉の炎症が鎮まるにも、乱れた神経伝達機能や免疫系がリズムを取り戻すにも、時間がかかりそうなのは想像がつきます。
テクノロジーが進んでも、32倍速とはいかないでしょう。
むしろ、ストレスから回復機能が落ちていることも多いように思います。
日本疲労学会というのがあるそうで、「疲れ」「疲労」について、
「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」
と定義されています。
疲労回復には睡眠・食事・生活リズム(運動)。
休みたくても休めない方もいらっしゃるとは思うのですが、
「これ以上負荷がかかるとヤバイので、生命を守ろうとするサイン」
を大切にキャッチしていただきたい。
時間が薬。
お一人お一人に合った良薬な時間を過ごしていただきたいと願います。
どうぞご自愛くださいませ。