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#十倉雅和 #経団連 - #積極財政 へ #大転換

2022.07.06 11:10

「恵み野内科循環器クリニック」様より

シェア、掲載。

ありがとうございます。

感謝です。


第88回 経団連の大転換(積極財政への大転換)

2022.06.17


骨太の方針


骨太の方針とは、小泉政権時の2001年度に始まり、政権の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示す方針で、正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」です。


各省庁の利害を超えて官邸主導で改革を進めるため、首相が議長を務める経済財政諮問会議で毎年6月ごろに策定します。


官邸主導として始まりましたが、実態は、財務省主導の「緊縮財政運営指針」です。


ところが、今年の骨太の方針は、ちょっと違ったようです。


いつもであれば、財務省に押し切られ、緊縮財政路線の継続ですが、自民党の中に拡大する安倍晋三元首相らを中心とした「積極財政派」の抵抗により、PB(基礎的財政収支)の黒字化を2025年度までに達成するとの文言が削除され、財政出動の余地を残す文言が入れられたことは、評価に値すると思われます。


日本は、橋本政権以来の緊縮財政と3度にもわたる消費税の増税により20年以上もデフレが続き、コロナ感染症が追い討ちをかけました。


最近ではロシアのウクライナ侵攻により原油や小麦の値段が高騰し、円安の進行によるコストプッシュインフレで日本国民は大変な苦境にあります。


欧米諸国では、コロナ禍で日本と比べ桁違いな財政出動を行い国民を救済し、景気もV字回復を見せており、そこにロシアのウクライナ侵攻により原油や小麦の資源高によるコストプッシュインフレが起こったわけで、中央銀行がインフレを抑えるために政策金利を上げることは至極当然なことです。


ところが、日本のコアコアCPI(消費者物価から生鮮食料品とエネルギー価格を除外)は、直近でも0.8%と基本的にはデフレ基調です。


日本政府がやるべきは、政策金利を上げることではなく、短期的には減税や給付金の支給、中長期的にはエネルギー確保のための原発の再稼働、食糧需給率の上昇、防災対策へのインフラ整備、経済や軍事的安全保障の向上です。


とても緊縮財政ではできません。


経団連の大転換


消費税の導入は、もともとは財務省の発想ではなく、1978年12月19日に、経団連の税制特別部会で構想が明らかにされました。


当時の経団連会長は、東芝の社長、会長を務められた土光敏夫氏です。


同部会は、税率5%、年商1000万円以下は除外する一般消費税構想を明らかにしました。


これを受けて、1979年の大平内閣で、一般消費税の導入が政策課題となり、選挙公約として掲げたところ、自民党は大惨敗しました。しかし、土光会長の1979年12月6日の「法人税の引き上げはせっかく上向いた景気や民間の活動の芽を枯らすもので、認められない」との発言の意を汲む形で、法人税を引き下げる代わりに消費税の導入が1989年竹下内閣のもとで行われました。


政府の緊縮財政、消費税は増税、法人税は減税という現代に至るデフレ税制の基本構造は、土光、大平時代に始まったということです。


その後も、その政治力により、経団連は、緊縮財政と構造改革を推進する提言を続け、日本国は長期にわたりデフレが続き、更には株主資本主義が蔓延しました。


国民が貧しくなる一方で、一部の者(株主など)のみが富んでいき、日本経済はひたすら凋落していきます。


一億総中流社会と言われた、かつてはぶ厚かった中間層が没落し、デフレにより所得のパイ(GDP)が拡大しない状況で、国民は過酷な競争を強いられ、敗者は自己責任とされました。


ところが、日本の長期にわたるデフレを憂いてのせいか、その経団連が、大転換しました。


21世紀政策研究所 研究プロジェクトが、「中間層復活に向けた経済財政運営の大転換」を提言したのです。


私はこれを一読し、米国の主流派経済学の大転換を思い起こしました。


先のブログに載せましたが、再度挙げておきます。


従来の主流派経済学は、財政健全化を重視し、財政政策は効果に乏しいとしておりましたが、2008年の世界金融危機以降、先進国経済は、低成長、低インフレ、低金利の状態が続きました。


日本では、橋本政権による消費税増税(3%→5%)、緊縮財政、構造改革を契機として25年近く、世界に先駆けて、長期停滞に陥っております。


この長期停滞が、米国の主流派経済学における政策論に大きな変化をもたらしました。


主流派経済学の重鎮ローレンス・サマーズ氏は、長期停滞下の日本が選んだ金融緩和と構造改革に否定的でした。


低金利下では、金融緩和は効果に乏しいし(流動性の罠-かつての日銀の白川方明総裁も同じことを述べられておりました)、構造改革に至っては、逆効果だ。なぜなら、長期停滞の原因は需要不足にあるが、構造改革は需要ではなく供給を増やす政策だからだと。


サマーズ氏が推奨したのは、日本が忌避してきた政策、すなわち積極財政、とりわけ公共投資によるインフラ整備でした。


かつてのFRB(連邦準備制度理事会)議長のジャネット・イエレン氏も、2016年に、積極的な財政金融政策は、短期の景気刺激だけでなく、長期の成長にも有効だと強調しました。


同じ年、米大統領経済諮問委員会委員長ジェイソン・ファーマン氏も、財政政策に関して、肯定的な見解を述べておられます。


日本は長期停滞であるにもかかわらず、消費税率を引き上げましたが、実は、サマーズ氏やノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏やポール・クルーグマン氏らはそれに懸念を表明しておりました。


元・米経済学会会長のオリヴィエ・ブランシャール氏に至っては、日本経済には、基礎的財政収支の赤字が長期にわたって必要だと主張しました。


財政健全化の指標は、「政府債務/GDP」とするのが国際標準であるようですが、ファーマン氏とサマーズ氏は、ゼロ金利で不況下における財政拡張が、「政府債務/GDP」を縮小させると論じ、ブランシャール氏もまた、日本は低金利であるため、国債を増加させても、「政府債務/GDP」は緩やかに低下すると指摘しております。


バイデン政権下で財務長官となったイエレン氏もまた、「金利が低い時には、大統領が国民に与えようとしている援助や経済に対する支援のような行動は、短期的には大きな赤字でファイナンスされようとも、経済に占める債務の比率を下げることにつながるのです。」と述べております。


最近では、G7の有識者パネルが、大規模な公共投資の必要性を訴え、「短期的視野に基づく赤字の削減は、それが教育のような人的資本への投資の削減になる場合には、対GDP比の債務を増加させる」と警鐘を鳴らしております。


ユーロ危機の際、財政危機に陥ったユーロ加盟諸国は、徹底した緊縮財政により財政健全化を目指しましたが、逆に深刻な不況に陥り、「政府債務/GDP」はかえって悪化しました。


バイデン政権は、成立直後から、画期的な経済政策を打ち出し、その第一弾となったのは、「米国救済計画」と称する1.9兆ドル(約200兆円)もの大型追加経済対策でした。


新型コロナウイルス対策の医療対策に加えて、現金給付や失業給付の特例加算、そして地方政府支援などで構成されておりました。


この「米国救済計画」の1.9兆ドルに、トランプ政権下の20年3〜12月において発動された経済対策を合わせると、なんと5.8兆ドル(名目GDP比28%)にもなります。


日本でも、アメリカのように経済政策の大転換が、今起きようとしております。


それでは、21世紀政策研究所 研究プロジェクトの「中間層復活に向けた経済財政運営の大転換」をご紹介しましょう。


以下に、エグゼクティブ・サマリーを載せますが、全文はURLからお確かめください。


http://www.21ppi.org/pdf/thesis/220602.pdf


第1章 エグゼクティブ・サマリー


第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト 永濱 利廣


1.問題意識および本研究会の目的


1990 年代初頭のバブル崩壊とそれに続く金融危機以降、わが国経済は長きにわたり低 迷している。経済を成長軌道に戻すべく、政府の内外において幾度となく成長戦略が取り まとめられ、それらに基づいて経済財政運営を行ってきたが、経済成長率は他の先進国と 比較しても大きく見劣りしている。特に賃金がほとんど伸びていないことから、中間層の 衰退が著しく、かつての「一億総中流社会」からは程遠い状況となっている。


これまで取りまとめられてきた成長戦略は、いわゆるサプライサイドを重視するもので あった。2001 年の小泉政権が掲げた「聖域なき構造改革」がその最たるものであり、公共 サービスの民営化によって、民間活力の発揮を目指したほか、生産性の向上や新たな需要 創出を企図して、規制改革・緩和を進めてきた。こうした政策の理論的根拠として成長会 計に基づく分析があり、サプライサイドの構造改革を推し進めることで、全要素生産性が 高まり、経済全体も成長するとの道筋を描いてきた。しかし、度重なる成長戦略の取りま とめと、その実行、およびその工程管理を行ってきたが、長期低迷から抜け出せない状況 が続いている。


長期低迷から脱し、経済を成長させ、国民生活を向上させていくためには、従来型の思 考や学説にとらわれず、抜本的な検討をしなければならないのではないか。こうした問題 意識から、経済構造研究会を立ち上げ、検討を進めてきた。本書はこれまでの検討成果を まとめたものである。


本報告書では、第2章以降において、各研究委員が様々な観点から日本経済の長期低迷 とその打開策について分析を行っている。そして、本章は、それらの分析内容を踏まえた エグゼクティブ・サマリーという位置付けである。本章の2.は要旨であり、3.は現状 分析、4.は政策提言について、それぞれ概説している。


この報告書が、これからの政策論議に一石を投じるものとなることを期待したい。


2.本報告書の要旨


図表 1-1 は、現状分析に関する全体のイメージである。まず、需要不足と中間層の衰退


が悪循環を引き起こしており、需要不足は弱い消費や投資機会の縮小といった形で現れる。 家計の経済状況が改善しない状況においては、消費を拡大することは困難である。また、 需要が弱い中にあっては、企業は国内で設備投資を行うインセンティブに乏しいため、海 外に活路を見出そうとするが、それにより国内設備投資は停滞し、さらなる需要の低迷を 招くという悪循環の一因となる。さらに、このような環境下では、賃上げによって雇用者 の維持・拡大に努めようというインセンティブも働かない。こうしたマクロの需要不足が、 中間層の衰退につながるという悪循環を形成している。


こうした悪循環に陥ったのは、緊縮的な経済財政運営の継続にある。民需が総じて弱い 中、「将来世代へのツケを回さない財政健全化」や「持続可能な社会保障制度改革の確立」 を名目に、政府支出を抑制し、増税や社会保険料の引き上げも続けた結果、マクロの需要 を押し下げてきた。また、政府支出のうち、公的セクターの賃金や雇用も抑制されてきた ことが、中間層の衰退にも拍車をかけた。


図表 1-2 は、悪循環を起こしている現状を打開するための政策提言に関する全体のイ メージ図である。まずは、根本的な原因となっているマクロの需要不足を打開すべく、財 政ルールを見直さなければならない。これまで、財政破綻の懸念から、需要不足の中でも 財政健全化のため、歳出抑制や増税・社会保険料の引き上げが進められてきたが、わが国 のように、自国通貨建て国債を発行する国において、財政破綻の可能性は極めて低く、需 要不足の状況の中ではむしろ十分な規模で財政出動をしなければならない。


財政出動の仕方は様々であるが、その一つとして、新たな価値観に基づく投資の活性化 に向けた財政の活用が重要である。設備投資需要を拡大させると同時に、よりよい社会の 実現に向けたイノベーションの創出やインフラ整備を進めるべく、長期計画的に財政政策 を展開する。政府が長期の計画に基づいて投資し続ければ、企業も新たなイノベーション 創出に向けて、国内投資を加速させる。


財政出動を起点に総需要の拡大を確実に賃上げにつなげ、中間層の底上げを進めること も不可欠である。ここでの「中間層の底上げ」とは、主に低・中所得者層の経済環境の改 善を意味している。そのためにまずは、財政拡大による高圧経済1を継続することで賃上げ 圧力をかけ続けるとともに、雇用流動化を進め、企業間の賃上げ競争を促さなければなら ない。雇用の流動化にあたっては、法制度の見直しに限らず、民間企業の雇用慣行の見直 しも必要となる。また、公共部門の賃上げと雇用拡大により、直接的に中間層の底上げを 図りつつ、民間企業においても賃上げせざるを得ない環境にしていくべきである。


一国のマクロ的な循環に限らず、国内の各地域における経済循環の改善も課題である。 財政支出によって各地に供給される資金が、その地域において循環し、経済成長していく ことが望ましい。本社機能の分散化、地元企業の経営支援拡大、地域金融機関の役割強化 等により、地域内の経済循環を改善させていく必要がある。


こうした一連の政策により、これまでの「需要不足と中間層衰退の悪循環」から、「需要 拡大と中間層の底上げの好循環」へと移行させていく。


続いて「YOUTUBE」です。


テレ東BIZ

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#経団連 #大江麻理子 #住友化学

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#経団連#大江麻理子#十倉雅和#住友化学#中西宏明#財界総理#カーボンニュートラル

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2022.06.17