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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

帝国の時代13-ドイツ議会ビスマルク登場

2022.07.06 11:45

クリミア戦争に対して、ドイツ連邦議会は大騒ぎとなった。連邦議長のオーストリアが、連邦で参戦決議をあげるよう要請したからである。そして連邦諸邦に多数派工作を行った。一方の雄プロイセンにも、欧州のイニシアチブを取るべく、参戦しようという一派がいた。

これに対して猛然と反対したのが、外交官として連邦議会へ派遣されていたオットー・ビスマルクである。彼は、普墺はどちらか一方が屈するしかない関係であると考え、反墺の姿勢から、クリミア戦争に中立の立場を取り、結局プロイセンもドイツ連邦もこの戦争に関係しなかった。

パリ講和会議で、ビスマルクは、ナポレオン3世に関心を抱いてパリに足を運び、周囲に疑念を抱かせた。プロイセンにとってナポレオンは憎むべき敵である。しかし現実主義者のビスマルクはナポレオン3世の巧みな政治操縦法に関心があった。後に彼はこの手法を取って先達を負かすのである。

クリミア戦争以後の1857年、実はプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の精神錯乱が酷くなり、翌58年弟が摂政となる、その人物こそ後のドイツ皇帝ヴィルヘルム1世である。摂政は立憲宣誓を行って、自由主義的保守派の内閣をつくる。この時代は「新時代」と呼ばれる。