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過敏性腸症候群すっきりプロジェクト

脳腸相関と過敏性腸症候群

2020.03.02 09:22

心は身体に、身体は心に影響する

過敏性腸症候群(IBS)では、「お腹の不調」「痛み」などがストレスとして脳に伝わり、「不安」などの脳のストレスがさらにお腹の症状を悪化させる悪循環が起こると考えられています。

例えば、緊張した時にトイレに行きたくなるというのは一度くらいは体験したことがある方が多いのではないでしょうか?

過敏性腸症候群(IBS)の原因は未だによくわかっていません。

そんな中で、新たなメカニズムとして近年注目をあつめているのが脳腸相関という考え方になります。

過敏性腸症候群(IBS)の脳腸相関と悪循環

過敏性腸症候群における脳腸相関は、非常に単純化すると、上左図のような仕組みだと考えられています。

1.内臓の知覚過敏が起こることで、ちょっとした腸の動きを腹痛や不快感と捉えることが多くなる。

2.腸管の運動が異常に活発もしくは低下することで下痢や便秘などの症状が起きる。

 

これら、1,2の腹部症状が身体的ストレスとなると同時に、お腹への注意が高まり、不安やそれに繋がるネガティブな考えが起きやすくなります。

また、心理ストレスが強くなり、腹部への注意が向くことで知覚過敏が強まることで過敏性腸症候群の症状が悪化することも分かっています。

こういった、一連の悪循環によって過敏性腸症候群が慢性化しやすい仕組みが出来上がっているのではないかと考えられています。

治療という視点でこの悪循環を見ると、身体的ストレス心理的ストレスのどちらかを取り除いてやれば悪循環を断ち切ることができるのではないかという考えにたどり着きます。

 

一般内科や消化器科の医師が処方する薬は、この身体的ストレスを和らげることで過敏性腸症候群の症状を和らげることを目標としています。

一方、心理的なストレスを和らげることで悪循環を断ち切ろうというのが抗不安薬や簡易精神療法、そして認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)を含めた心理療法になります。


ちなみに、過敏性腸症候群に対する心理療法としてはIBS診療ガイドラインによると

  1. 認知行動療法
  2. 催眠(さいみん)療法
  3. 対人関係療法
  4. ストレスマネージメント

などが挙げられますが、いずれの治療も現時点では保険適応になっておりません。

  

過敏性腸症候群の一般的治療、「お腹への注意」や「知覚過敏」についてはまた別の項目で書かせていただきます。


素材

写真:写真AC クリエイター:acworksさん 

図 イラストAC クリエイター:麦さんのイラストを用いてパワーポイントで菊池が作成

2018年3月投稿 2020年3月2日 編集