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イギリス紀行30

2022.08.06 07:30

よさそうな看板のお店に入る(フランス系みたいだ)。入り口に著名人の写真が飾ってある。そのうちの一人がサミュエル・ベケット。有名な劇作家だ。ウェイトレスに「彼もこの店に来てたの?」って聞くと、愛想よく「わからないわ。」って答えてから、わざわざ聞きに行ってくれた。少ししてから戻ってきて「そうみたいよ。」という返事。なるほどベケットも来たお店か、と自分も文化人になったような雰囲気を楽しみながら、その店のカウンターで美味しいビールを飲んだ。


帰り道、歩いているとすぐ横のお城みたいなところで再びビデオを回す。小雨の中、一人で色々と喋りながら歩いてゆく。こういう時にビデオも便利だなって思う。あとで配信するために撮っていたのだが、一人旅だから喋り相手はいない。ビデオがあると何でも話せるので、それはそれでいい。当然返事は返ってこないのだが、頭の中のことを口に出すと整理もできる。今回この文章を書いているのも、自分の中で旅のことを整理し、また感じたことを皆さんと共有したいという気持ちからだ。しかし頭で感じていること、話すこと、書くこと、それぞれがその媒体(メディア)、表現方法によって違う。かゆいところに手が届くこともあれば、まだ表現しきれていないと感じることもある。もし音楽、絵などで表現すればまた異なるものが出てくるはずだ。自分はやはり表現欲求が強いのかもしれない。いや、それくらいあれこれと旅を通して感じていたということだろう。


いよいよ最終日だ。朝、立ち去る前にこのアスターユースホテルを紹介したい。とて、許可を取ってビデオを回す。非常にアットホームな雰囲気のユースホテル。とはいえ、それぞれが旅人でバックパッカーだから誰でもが仲間って感じでもない。もしかして自分の年齢のせいだろうか。自分的には二十代の気持ちのままだけど、もう周囲はそうも見てくれないだろう。ただ日本にいるときほど年齢は感じない(いや日本でも年齢に関係のない職なのだが)。もっとみんなと話したり仲良くなりたい、という気持ちもありつつ、そこまで一歩を踏み出せない。というところで、ドイツ人のマリーに再会。お願いしてビデオにも出てもらった。コミュニケーションが取れてるのかとれないのか分からないが。とりあえず挨拶をし、別れを告げる。ユースホテルに荷物だけ置かせてもらい、いざ行かん。