リード足の役割とは?(踏切後)
今回は「リード足の役割」について、考えてみます。
リード足とは・・・?
「踏切足の逆足」
踏切時に身体の前にあることから「リード足」と呼ばれます。
棒高跳だけでなく、その他の跳躍種目、ハードルなどでも「リード足」という呼び名が指導の現場では、用いられています。
【リード足に関する研究】
棒高跳を対象にした研究において、「リード足」を扱ったものは見つかりませんでした。
他種目における研究で「リード足」の役割については以下のような示唆が得られています。
『身体を持ち上げる!』
棒高跳を除く跳躍種目において、リード足を引き上げることは「身体重心の挙上」を助けることが示されています。
リード足を挙上する:①
→身体重心が挙上する:②
⇒鉛直速度を獲得できる!
つまり!!
リード足は助走で得られた水平速度に、踏切において鉛直速度(上方への速度)を加えている!
と言えます。
【棒高跳におけるリード足】
棒高跳において、リード足の役割は単純に他の跳躍種目と同じだとは言えない可能性があります。
Jason Colwickは、2度の全米学生チャンピオンになった選手です。
自己記録は5m72、当時21歳で記録しました。
極端な事例ではありますが、彼は全くリード足が”リード”しません。
棒高跳において鉛直速度は以下の方法で獲得されます。
①踏切
②ポールが立つこと(起きる)
③ポールの反発を利用する
棒高跳は他の跳躍種目と異なり、ポールを用いることでより大きな鉛直速度の獲得が可能です。
また、踏切後の空中動作(スイング)への連動を考慮してみましょう。
ポールに力を加えられるスイング(大きなスイング/足が遠くを通るスイング)を行うには、器械体操の鉄棒を参考にしてみると良いかと思います。
どの競技者も離れ技を行う際には、両足を揃え身体を大きく反ることで大きな力を獲得しています。この動作は、Jason Colwickの踏切からスイングまでの動きに似ていますね!
踏切後に鉄棒のような空中動作を行う必要がある棒高跳においては、ますますリード足の役割が他の跳躍種目と異なり、大きくないことが考えられます。
棒高跳におけるリード足の役割とは?(踏切後)
これまで「リード足」について考えてきましたが、結論です。
『気にせず、大きく早いスイングをすること!』
これが出来れば、棒高跳において踏切後に「リード足」が下がっていることは大きな問題にはならないと考えて良いと思います!むしろ下がることで大きなエネルギーをポールにかけられるという見方もできます。
※ただし、十分な踏み切りを行うためには、踏切時にリード足が踏切脚を追い越すことは必要になります。今回はあくまでも”踏切後”の話です。注意してください!!
踏切後の棒高跳のリード足がもつ役割については、研究の余地がありそうです。