Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

ONE

紀南認知症セミナー

2018.01.24 12:10

1月20日(土)、臨床を午前で終え、田辺市にあるガーデンホテルハナヨで開催されました「紀南認知症セミナー」(日本医師会生涯教育講座/共催 田辺市医師会・西牟婁郡医師会・一般社団法人田辺圏域医療と保健の連携をすすめる会・武田薬品工業 株式会社)に参加しました。


ご紹介していただきした、(一社)和歌山県鍼灸師会会長萩野利赴先生に感謝申し上げます。


■一般講演

『認知症で見られる症状とその対処について』

大浦義典先生(まろクリニック)

■特別講演

『症状に応じた認知症治療としっておきたいこと』

北村ゆり先生(医療法人鳴子会菜の花診療所理事長)

認知症には中核症状BPSD(行動・心理症状)があります。


■中核症状

□記憶傷害

□実行機能傷害

□見当識傷害

□失行

□失認

□失語


■BPSD

□妄想

□幻覚

□興奮

□うつ

□不安

□多幸

□無関心

□脱抑制

□易怒性(易刺激性)

□異常行動


「中核症状」は脳の神経細胞が壊れることによって、直接起こる症状です。


一方、周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状を「BPSD」といいます。


BPSDはその人の置かれている環境や、人間関係、性格などが絡み合って起きてくるため、人それぞれ表れ方が違います。

介護者が対応に苦慮する多くは、中核症状よりもBPSDです。


講師の先生方は、BPSDの発症・悪化を防ぐためには認知機能の維持が大切であると強調されていました。


認知症の患者さんは、今まで出来ていたことが出来なくなることへの不安があり、また日常生活での失敗を指摘されることにストレスを感じます。

認知症が進むと益々ストレスへの耐性が低下するため、その結果BPSDが悪化します。


例えば、うかつに脳トレはしない方がいいみたいです。

認知症でない方が脳トレのために漢字ドリルや計算ドリルをやる分にはむしろ推奨されますが、認知症の患者さんにそれをやらすとストレスになってBPSDを突如発症したり悪化させる要因になることが多いそうです。


紹介された事例では、デイサービスに問題なく通っていた認知症の患者さんがある日を境に突然ご主人に対して暴言を吐くようになり、施設に来てから帰るまでずっと吐き続けたそうです。

それが毎回なので、施設から先生に相談がありみなで原因を探ったところ、ご主人がよかれと思って家でドリルをやらせたことが分かり、それが原因でストレスが急激に高まり常軌を逸するほどBPSDを悪化させたとのことでした。


認知症の患者さんにとってストレスはBPSDのトリガーになります。


周りの支えはもちろん、認知機能の維持と失敗させない援助がBPSDを温床するストレスの回避になるとのことです。


例えば、認知症の患者さんがトイレに入れば先ず座り方がわからないので迷います、ズボンの下ろし方がわからないので迷います、用の足し方がわからないので迷います、吹いた紙をどこに捨てていいのかわからないので迷います、ズボンのはき方がわからないので迷います。

等々でトイレから出てくるまでに30分以上かかるそうです。

そしてその行動毎に迷い、ストレスを抱きます。

なのでトイレに一緒に入ってその手順を指示し、失敗させない援助をしなければならないということです。


正直な感想として、介護職は本当に大変なお仕事だと思いました。

待遇および労働環境の改善を早急にお願いします。


中核症状とBPSDに詳しいサイト↓

より詳しくは↓

周りがほぼ医師ばかりで場違いでしたが(医師会生涯教育講座だから当然ですが)、本セミナーは大変勉強になりました。

認知症の臨床に鍼灸師としてどう関わっていけるのか、鍼灸師には何が出来るのかを考えると、やはり予防だと思います。


未だ病まざるを治す。


少し前の話ですが、中等度の認知症の患者さんをご家族からのご依頼で入所しておられた施設に往診したことがあります。

食欲不振で何も食べたがらないので何とかならないかというご依頼でしたが、治療どころではありませんでした。

物凄く警戒されていて中々治療を受けようとしてくれません。

施設の職員の方が数名で言い聞かせてくださってようやく治療をすることができたのを覚えています。


今思えばBPSDによる食欲不振だったのでしょう。

実際に伺わせてもらったお陰で、治療する以前にクリアしなければならないハードルが多々あることがよく分かりました。

毎回通常業務で忙しい職員の方々や介護職の方々の手を煩わせなければならないとなると、メリットよりもデメリットのイメージが強くなります。

認知症が進行した患者さんを治療することはあらゆる面で一筋縄ではいかないことがよく分かりました。


現実的には、自分の鍼灸院に来てくれている患者さんを認知症にならないように予防することだと思います。

事実、長年定期的に鍼灸治療を受けてくださっている患者さんを観察していますと、見た目も若々しく動きの1つをとってもみても10年前と余り変わっていないことに気づかされます。

これは明らかに鍼灸治療の影響だと感じています。

細胞・組織・器官・臓腑経絡・四肢・百骸にまで気血が順調に巡って栄養し活動力を与えているからです。

認知機能もこれに類推すると思っています。

定期的な鍼灸治療で認知機能を担保することが鍼灸師の領分だと考えます。


もちろん、予防だけでなく認知症の進行を緩やかにする鍼灸治療の研究もこれからどんどんしていかなければなりません。


平成37(2025)年には65歳以上の認知症患者数が約700万人に増加


厚生労働省は2015年1月、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」を発表しました。

この戦略の中では、認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値が発表されています。これは、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となります。

認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しです。

現代医学のお話を聴きに行くとついつい東洋医学に変換して考える癖があります(*^^*)


BPSDの多くは肝の変動です。

易怒や興奮しやすいや暴力は肝火です。

徘徊は魂の制御不能です。

やはり肝火です。

火が燃えるのは鎮火する働きが効かないからです。

この働きを腎水とします。

肝陽の亢進の背景には腎陰の不足があります。

また肝火を放置しているのは心神に問題があります。

心神が認識しないからです。

これを狂った暴君とします。

等々・・・。