一人ではできない目的のために事業を。1000社の1歩で社会をちょっとでもいい明日へ。(コミュニティによる事業展開について)
こんにちは。「株式会社 冒険の旅」の代表の窪田です。
このブログでは「冒険の旅」の事業を進めるにあたって、その多くの仲間を得ている経営者コミュニティ「経営実践研究会」について、なぜ私たちが参加しているのか・何の目的で活動しているのかを紹介します。
「冒険の旅」は2022年4月に設立しました。
主にリモートワークやデジタルを活用して「就業機会を得づらい方々の第一歩となるようなお仕事づくり」を目的として活動しています。
具体的には現時点では「障害者就労支援事業所さん」「在宅で働く主に女性(子育て中や介護中)」の方と、広報やコンテンツ制作のお仕事を協働し、お仕事をこなしていただくだけではなく、専門性のあるプロ人材への階段を登っていただいています。
冒険の旅は「何ができるか」ではなく、「何のためにやるのか」から始めました。
これまで私は、別法人(冒険の旅の親会社にあたる株式会社masterpeace)の立ち上げから運営に10年弱携わってきました。リモートワークを活用して全国の編集者や作り手の方と協働し、書籍やWeb等のコンテンツを使って広報を行う事業を行ってきました。今もこちらの代表も務めており、事業を通じて、多くはないかもしれませんが、関わる人にとってのお困りごと解決や挑戦の機会づくりには繋げられてきたという自負があります。
しかし、2021年の秋ごろに、このブログで紹介する経営者コミュニティ「経営実践研究会」の仲間に向けて、事業プレゼンをしたときに、このような言葉をもらいました。
「窪田君、なにをやってるかじゃなくて、本当にやりたいこと・本当にやるべきだと思う大事なこと1つをやったらいいんじゃない?」
このコメントを距離感の近い仲間から受けたことで、事業への取り組み方を変えたいと強く思うようになり、結果として「冒険の旅」を別法人として設立して、推進することになりました。同時にmasterpeaceにおいても、事業目的と活動内容に大きく手を入れることとなりました。
一緒に働いてくれているメンバーには伝えづらいですが、その時には、
「チャレンジした結果、会社はつぶれてもいい。
たぶんメンバーのみんなは、この会社がなくても活躍の場所は作れる。
(もちろんそのための努力はする)」
「できることではなく、
何のためにやるのか。
だれのためにやるのか。
そこに全振りするチャレンジを今から10年間はやろう」
と考えていました。
こういう経緯で、冒険の旅の事業は始まりました。
「できること」からスタートしていないため、徹底的に『仲間』が必要です。必要なやるべきことの多くを私やチームではできないからです。
共に活動するパートナーさんや、一緒に働いてくれる人、知ってくれる人、話してくれる人、そういった仲間が本当に必要だ、、と感じたから、ここでご紹介するコミュニティにも時間と気持ちの多くを割くようになりました。
経営実践研究会(一般社団です)は、2016年に1社から始まり、2022年7月現在で約670社が参加している経営者を中心にしたコミュニティです。
ここでは、細かな会の内容や活動の話はしません。
「何を大切にしているのか」と「どういう仲間がいるのか」だけを紹介します。
*経営実践研究会
https://www.keijitsukai.jp/index.html
人のため、社会のための課題解決をビジネスで行い、まわしてみせる
多くの経営者の会はありますが、ここのコミュニティでは、
『本業を通じて、社会課題を解決する。』
を目的として事業を行う企業が集まっています。
お金があるから、社会貢献をする、、ではありません。
社会貢献(コミュニティ内では社会課題解決と言っていますが)のためにこそ、「事業・ビジネス」を行い、人のため社会のために役に立って初めて、利益という形で循環される、、と考えて活動しています。
寄付等を主な活動としている社会貢献の団体はありますが、せっかく私たちが経営者なのであれば、その事業活動自体でどんどん価値を生み出したいな!と思っています。
1社の1000歩ではなく、1000社の1歩で実現する
もうひとつ大事にしていることが、「一人でやるのではなく、仲間の力で実現する」ということです。
特に私たちのような中小企業(コミュニティ内では「地域企業」と呼んでいます)ができることは、リソース面でも限られています。
素晴らしい想いがあっても、1社の力だけではなかなか形にできません。
支援してくれるステークホルダーとして、例えばVCを含む投資家であったり、上場という選択肢もありますが、これらの方々は必ずしも「想いの実現」を第一の目的としているわけではありません。お金の面でのリターンを目的とすることが(仕組み上)どうしても残ってしまいます。
だから、この経営者コミュニティでは、「それぞれが社会課題に取り組みたいと考える企業同士が手を組んで、できることは協力し合う」ことを大切にしています。結果として、1社では作れなかったビジネスモデルが、仲間との協働で生まれて、より多くの価値を生み出すことにつながっています。
会の中では、
「組織を作り、
組織で創る」
と話すことがあります。
組織を作り、、は共に活動する仲間を意味しています。
そのうえで「組織で創る」。
1社1社の取り組みではなく、ちゃんと想いを共有できる仲間と、本当に求められる事業を次々と生み出し、社会課題を一つでも解決することを目指しています。
すぐすぐお金は儲かりません。けど…
このような想いで活動しているため、ビジネスマッチングの要素はほとんどありません。(もちろん想いがつながる中で)一緒に取り組むことはあると思いますが、今もっている商品やサービスを提供する相手と出会う場としては、最悪にパフォーマンスが悪いと思います。
ただし、今一緒につながった仲間と創る事業によって、より多くのチャレンジができると思っています。
経営実践研究会―仲間の事例紹介
こんな仲間が共に活動しています。
そして、これらの仲間と一緒にやりたい・できることがあれば、すぐに協働することができます。
事例① 株式会社ローランズ「中小企業が手をつないで進める障害者雇用の仕組み」
※写真:日本財団ジャーナルより
東京は原宿近くにあるフラワーショップ、ローランズさん。
経営するのは福寿さんです。
季節ごとに店内いっぱいの花や植物を多くの方にギフトしています。
同じ店舗内にはスムージーショップも併設して、華やかな店内で一息つくことができます。
多くのメディアでも取り上げられているローランズさんは、実はスタッフの多くが障害者であるという特徴も。日本財団をはじめ、多くの支援者とともに活動を広げています。
株式会社ローランズ
https://lorans.jp/
国家戦略特区|誰もが活躍できる街とは何か 東京都障害者雇用を促進する仕組みづくり
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/taidan07.html
soar|障害のある人が働くフラワー&スムージーショップ「ローランズ原宿店」。花に囲まれた美しい空間が”素敵”な働き方をつくる
https://soar-world.com/2017/11/02/lorans/
そんな福寿さんの次のチャレンジが「中小企業が手をつないで障害者雇用を進める仕組みづくり」です。
大企業に「特例子会社」という仕組みがあるように、1社ではなかなか障害者雇用を進めづらい中小企業同士が連携して、障害者雇用を実質的に促進する仕組みを「有限制限事業組合(LLP)」を使って実現しています。
詳細はこちらのリリースをご覧ください。
全国初!LLPの障害者雇用特例活用を東京都から国家戦略特別区域会議に提案。ウィズダイバーシティLLPを設立
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000018643.html
お店に会社のメンバーと一緒に訪問させていただいたこともありますが、ほんとに素敵なお店を経営されながら、その活動自体が社会課題解決に直結している。福寿さんは、とても尊敬する経営者の一人です。
事例② 税理士法人エンパワージャパン「児童養護施設から地域を支援する税理士を創り出す 大空への翼プロジェクト」
神奈川県で税理士法人を運営する穂坂さん。
穂坂さんが取り組んでいる社会課題は「児童養護施設を退所する子どもたちの就労機会の不足」です。
児童養護施設は日本全国に「約600施設」。
他ファミリーホームや乳児院を含めて、社会的養護を受けている児童は4万人を超えています。彼らの入所理由第一位は「虐待(33%)」。続く理由は「経済的理由」「親の犯罪服役」「親の精神疾患」です。親の理由で、何の責任もない子供たちが養護を受けています。
しかし、児童養護施設は18歳まで。退所する時期となった子どもたちは、なんら職業訓練を受けることなく、一人仕事を探すことを強いられます。
子どもたちを社会的養護から、社会にまるで放り投げるかのような扱い。これに穂坂さんはNOを強く主張しています。「放り投げるのではなく、社会が、企業が子どもたちを迎え入れるべきなのではないか」と穂坂さんは先日話していました。
穂坂さんが税理士法人として実施しているプロジェクト「大空への翼」では、児童養護施設にいる間から、子どもたちに簿記資格取得を含む教育や、アルバイト・インターン受け入れを提供し、退所と同時に企業に就職できる能力を身に付けようというプログラムです。すでに数期の取り組みを行い、穂坂さんの税理士法人に就職した方がいらっしゃいます。今後は、地域の企業への就職を進めていく予定です。
税理士法人エンパワージャパン|大空への翼プロジェクト
https://empower-japan.com/social-contribution/wings-project/
事例③ アーティスト 田村綾海さん「廃材を活用したエコアートで伝えたいこと」
※写真:株式会社わくわくランド社プレスリリースより
今は廃棄されてしまっている廃材を活用して画材を作りアートに昇華する「エコアート」活動を続けているのが田村綾海さんです。
今はキャンピングカーを自ら運転し、全国を旅し、多くの人と出会いながら各地で作品を作り続けています。
例えば、日照の問題で害とされていた竹林を画材に変えて作った絵。
害獣として処分される鹿の角や骨を使った画材。
各地で様々な作品作りに挑戦していますが、その想いは社会課題への解決にありました。
廃材を出してはいけない。廃材にしてはいけない。そのためには資源として循環させないといけない。廃材をアートの力で循環させたい!と思うようになりました。
廃材をアートに変える、という
「生まれた廃材をどう活用するか」という解決法ではなく
「廃材を廃材にさせないように循環させないといけない。廃材の元栓を締めないといけない」と思いました。
(田村綾海さん クラウドファンディングサイトより)
これからも続く綾海さんの旅を通じて、新しい気付きと課題解決の取り組みが始まるのではないでしょうか。
田村綾海さんWebサイト
https://atelier-ayami.com/
CAMPFIRE|日本各地で『廃材循環アート』を生み出したい。エコアートプロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/view/420935
https://www.value-press.com/pressrelease/283133
自分も何かに挑戦したい。ちょっとでも社会をいい方へ取り組みたい。そんな方。ぜひ一緒にやりましょう。
ここに挙げた事例はほんの一部です。
こういう仲間が全国に今は約700社。
もちろん私も含めて、まだ結果をだせていない企業もその中には多く含まれます。
だからといってなにもやらない理由にはなりません。
今日はこれからの最初の日。Still One Day
アフリカのことわざでよく言われるものに
「早く行きたければ、一人で行け。遠く行きたければ、みんなで行け。」
というものがあります。
しかし、今残されている社会課題に簡単に解決するものは実際ありません。
きっと、一人では、早くもどこにも行くことができないのではないか、、と私は考えています。
一人ではいけない。だから、みんなで一緒に行こう。ちゃんとやろう。
ちょっとでいいので、やってみようと思っていただいた方の勇気を私に預けていただけませんか。
全力で、その勇気をカタチにするために、必要な場にお連れすること、一緒に歩むことは約束します。
2022年7月12日
株式会社冒険の旅/株式会社masterpeace
代表取締役 窪田 篤