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HONDA CB750F/CB900F 1979y

2018.01.25 09:35

HONDA CB750F/CB900F 1979y

(リード)

世界を席巻し、「ナナハン」の名を世界中にとどろかせた初代CB750Four。1969年に登場して以来、約10年間にわたって熟成を図られてはきたが、他社の猛烈な追い上げを前にしてはさすがに精細を欠いていった。

(本文)

 そして'78年、実に10年ぶりにCB750のフルモデルチェンジに着手する。そのベースとなったのは、1970年代後半に耐久レースを荒し回り、3年連続して耐久チャンピオンに輝いた「RCB」であった。

 RCBの最大のウリであるDOHCエンジンは、カワサキのZ1/Z2、スズキのGSシリーズとは異なり、吸排気効率を高めながら重量を減らして燃焼効率を高めるために、1気筒当たり4バルブが採用されており、カムシャフトは2本であった。この強力無比なエンジンを市販車に採用するために、ダブルクレードルフレームが新設計され、CB750K(1978y.12)が発売された。CB750KはCB125Tから続くタンク、サイドカバー、そしてテールカウルまで流れるようなラインを持ち(「インテグレート・ストリームライン」と呼ばれた)、アルミ製のコムスターホイール、CB750Fourから受け継ぐ4本マフラーといった具合に、スポーティというよりはどっしりとした重量感、安定感を漂わせたモデルであった。

 CB750Kをリリースした翌'79年、ホンダは同じくRCBベースのCB900Fボルドールを海外で発売する。CB750Kよりも洗練された、RCB風の流麗ボディには4into2のエキゾーストマフラーが組み合わされ、一段とスポーティなモデルであった。それから約半年ほど遅れてCB 750F(FZ)が待望の国内デビューを果たす。

 KとFは外観上の違いだけではなく、Fの最高出力のほうが4into2マフラーの採用によって3ps高い68psを実現。同時に3kgの軽量化にもつながっている。ブレーキもKがフロント=ダブルディスク、リア=リーディングトレーリングのドラムであるのに対し、Fではリアもディスクブレーキという「トリプルディスク」を装備している点もポイント。 また、CB750Fには、ジュラルミン製のセパレートハンドルやバックステップ、リアサスペンションにはRCB譲りの「FVQダンパー」を装備。伸び側に3段、圧側に2段、さらにスプリングレートを5段階に調整でき、合計30通りのセッティングを可能にするなど、Kどころか、他メーカーのライバルと比較しても当時としては文句なくトップレベルの足まわりが与えられていた。

 実際には、セッティングの自由度の高さを持て余すオーナーがほとんどだったとしても、それは今日の最新モデルにも共通して言えること。重要なのは変更可能かどうかとう付加価値であり、そうした装備群の充実がライダーたちの購買意欲を高めたのも事実だ。

 750Fの走りに関しては、跨ってまず感じるのが車体の重さである。車高の高さがさらにそう感じさせるのかもしれないが、見た目の軽快感からは意外なくらい、ずっしりとした重さを身体中に感じる。もともとが900と共通のボディなので、止まっている時の重さはむしろ当然のことかもしれない。もちろん、走り出してしまえばそこそこに軽快で、なおかつ安定した乗り味が堪能できるあたりは、むしろ900のそれに近い印象として、ポジティブに捉えたい。

 また、9、000rpmで68PSを発生するエンジンの、DOHC4バルブらしい伸びやかさや官能的なエキゾーストノートも十分に魅力的だ。デビューと同時に人気を博したCB750Fは、初代のFZからほどなくしてハロゲンヘッドライトを採用したFAへと進化し、1981年4月にはフロントブレーキやマフラー、コムスターホイールなどに手直しが加えられ、最高出力も2psアップの70psとなったFBが登場。

 そして翌'82年6月には、それまで19インチだったフロントホイールが18インチへと小径化され「ブーメランコムスター」を採用したFC(いわゆる最終型)へと続いてゆく。その間、RCBをモチーフにした大型カウルを採用した「ボルドール」モデルや「インテグラ」モデルも登場し、'83年のCBX750Fへ国内フラッグシップの座をバトンタッチした。

 一方、CB900Fとして登場した海外向けのモデルはというと、アメリカの国内レース「AM Aスーパーバイクレース」で、あのフレディ・スペンサーのライディングによって活躍していた。しかし、900ccというやや中途半端な排気量では、市場においては他社のリッターマシンに対して苦戦を強いられた。そうした状況を打破するための足がかりとなったのが、1981年に登場した「CB1100R」である。このCB1100Rをベースとして、1983年にCB1100 Fがデビューし、CB/Fシリーズは完結する。こうしてまたCBシリーズは、バイク史の中で神話化されていくのである。

CB750F 1980y

 早くもマイナーチェンジとなった750Fだが、一次・二次減速比の変更による中低速域の出力特性の改善と、ハロゲン・ヘッドライトの採用と、極わずかな変更に止まっている。リアに装着されているFVQは、5段階のスプリング調整と、ダンパーの伸び側3段/圧側2段が個々に調整できるシステムを採用している。発売から1年を経過し、ライバルには、カワサキZ750FX-II、スズキGSX750E、ヤマハGX750といった魅力的なモデルも多く存在する。が、ハイスピードコントロールに優れたCB750Fがトップの人気を維持する。

CB750F 1982/CB750F-INTEGRA 1982

  '82年モデルの型式名称はCB750FCで、大きな特徴となるのは、フロントを19→18インチとし、ワイドホイール化を図ると同時にブーメランタイプに変更。フロントフォークの大径化と共に、新たに追加されているのはアンチダイブ機構のTRAC(4段階調整付き)、肉抜きされたステップホルダー、リアにはリザーバータンク付のショックユニット等が与えられている。Fシリーズ最終モデルということで、豪華な足まわりを奢られたFCは、それなりに魅力的でもあった。しかし、すでにVF750Fが待機している時期でもあり、何故か虚飾感を拭いきれず、FBに思いを馳せた人も少なくなかったはず。FCをベースに、ABS樹脂のフェアリングを装備したインテグラには、ビルトインタイプの電圧計とクォーツ時計がセットされる豪華仕様。抜群のウインドプロテクションは、風防効果はもちろんのこと、雨天走行でも驚くほどの威力を発揮した。