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熱中症、屋内だからと安心してはダメ!

2022.07.13 00:00

2021年の熱中症による救急搬送数が最も多かったのは7月です。発生場所は炎天下の屋外が多いと思うかもしれませんが、実際には屋内が最も多く、約40%を占めています。家の中で過ごすときも熱中症対策は欠かせません。


特に高齢者は熱中症に気をつけて

気温や湿度が高いと、体は汗をかいたり、皮膚近くに血流を集めて皮膚から熱を逃がしたりして、体温の上昇を防いでいます。ところが、体内の水分や塩分が不足すると内臓や脳を巡る血流も減り、めまいや立ちくらみ、こむら返りなどの熱中症の症状が現れます。そのまま高温多湿の環境に居続けると、頭痛や吐き気・嘔吐、倦怠感などが現れ、さらに熱中症が進むと熱を体外に発散できなくなり、内臓がダメージを受け、場合によっては生命に危険が及ぶこともあります。

特に高齢者は注意が必要です。若い人に比べて体内の水分量が少なく、脱水を起こしやくなっています。また、発汗機能が低下して汗をかきにくいうえ、暑さやのどの渇きを感じにくく、自覚症状のないまま熱中症が進行することも多く見られます。


熱中症対策のポイントの一つはこまめな水分補給

熱中症対策のポイントは2つです。一つは「水分の補給」です。

のどが渇いて水を飲みたいと思うときにはすでに脱水が始まっています。のどが渇く前に水分を補給することが大切です。一度にたくさん飲んでも水分は胃にとどまり、腸へはなかなか送られません。1日1.2ℓ程度を目安に、こまめに水分補給をしましょう。

ただし、水分であれば何でもよいわけではありません。ビールなどのアルコール飲料は利尿作用があり、飲んだ以上の水分が尿として排泄されてしまいます。水や麦茶などが適しています。

たくさん汗をかいたときは、体内の塩分も少なくなっているので、スポーツ飲料や塩分を含んだ経口補水液を飲むとよいでしょう。


もう一つのポイントは暑さに気をつけること

熱中症対策のもう一つのポイントは「暑さ」に気をつけることです。室内では高温多湿にならないようエアコンや扇風機などを上手に利用しましょう。外出する際には炎天下を避け、日陰を歩くようにします。汗が蒸発しやすい素材の衣類を着用したり、つばの広い帽子で直射日光を避けたりするのもおすすめです。

周囲に熱中症が疑われる人がいた場合、「FIRST」で対応してください。水分補給(Fluid)、体を冷やす(Ice)、涼しいところで安静(Rest)、15分ほど様子をみる(Sign)。それでも改善しなければ治療(Treatment)が必要。119番通報して病院へ搬送します。ただし、意識がない場合は無理に水を飲ませず、すぐに119番通報を。

なお、熱中症や脱水についてわからないことがあるときは薬剤師に気軽にご相談ください。


イラストレーション:堺直子